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[渡邊雄太 NBAサマーリーグ リポート4]4試合目にして初の先発出場に「信頼を得ている証拠なのかな」(宮地陽子)

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ネバダ州ラスベガスのUNLV(ネバダ大ラスベガス校)キャンパスで行なわれているNBAサマーリーグは、7月11日(日本時間12日)から決勝トーナメントに入った。渡邊雄太が所属するブルックリン・ネッツは予選リーグで0勝3敗と全敗で、決勝トーナメント1回戦の相手は同3戦全勝のヒューストン・ロケッツだった。

コックス・パビリオンで行なわれたこの試合で、渡邊はサマーリーグ4試合目にして初めて、スターターに抜擢された。前の3試合でも、控えからの出場とはいえ、平均出場時間はチーム最長の27分39秒だっただけに、渡邊自身もスターターのほうが上だと思っているわけではないと言いながらも、「やっぱりスターターで起用されるっていうことは、信頼を得ている証拠なのかなとは思う」と、コーチ陣に感謝した。

以前より厳しいマーク


渡邊にとって、試合序盤からオフェンスのリズムをつかみにくい試合となった。ロケッツのディフェンスがすべてスイッチで守ってきたこともあり、ネッツのガード陣はミスマッチを突いてインサイドにドライブインで攻め続け、外で待っていた渡邊はほとんどボールに触る機会もなかった。また、前の試合で4本の3ポイントシュートを決めている渡邊に対してのマークも以前より厳しくなっていた。サマーリーグ開始から6日間で4試合目ということで、身体も少し重く感じたという。

「(前の試合で3Pを)4本決めたんで、やっぱりディナイ(パスを受け取れないようにする守り方)は激しくなっていたなっていう感じはします。あと、オフェンスの流れ的にもチームメイトがよくドライブにいってフィニッシュまでいっていたので、リズムはちょっとつかみにくいと思いました」。

第1クォーター終盤に右コーナーから打った最初の3Pはエアボールとなって外れた。NBAの3Pラインは、一番短いコーナー位置でもNCAAの3Pラインより40cm近く遠い。この距離で練習してきたとはいえ、シュート練習で打つのと、ディフェンスがいる試合中に打つのはまた違う。

渡邊は「その(距離の)感覚の違いもありますし、シュートチェックの激しさ、速さも違います。いろんな要素があって、まだ対応しきれていない。そこはこれから成長していかなきゃいけない部分かなと思っています」と反省した。

第2Qが始まって早々にベースラインからのジャンプシュートでこの試合最初の得点をあげ、また前半終了間際にはスクリーンからゴールに向かってスリップしたところにパスをもらってレイアップで4点目。後半は、第4Qに3Pを1本打っただけで、そのシュートも外し、結局、試合を通して打ったシュートは合計5本、4得点に終わった。

チームで2番目に多い出場間とリバウンド


オフェンスでは最後まで波に乗れなかったが、それでもチームで2番目に長い26分2秒の出場時間が与えられたことは、オフェンス以外の面でも戦力として期待されている証だ。試合を通して獲得したリバウンド7本も、センターのジャレット・アレンの11本に次いで、チーム2番目に多かった。

渡邊自身、試合後にリバウンド本数を聞いて驚いたぐらい本人は自覚がなかったそうだが、それでも、シュートが入らないときこそ、ディフェンスやリバウンドなど他の部分で手を抜かないという彼の日頃の姿勢が表れた数字でもあった。

「シュートってどうしても波があるじゃないですか。どんなにいいシューターでも外すときは外しますし、ステフ・カリーでも10本外したりということもあったので。ただ、そういうときにいかにディフェンスとかリバウンドとか、いつでもできることで頑張れるかっていうことが大事になってくると思うので。7リバウンドは知らなかったですけれど、まぁ、いい数字だと思います」。

Yuta Watanabe
ロケッツ戦に先発出場した渡邊雄太は中国出身のジョウ・チーともマッチアップ Photo by NBA Entertainment

ネッツのサマーリーグチームのヘッドコーチを務めるジャック・ボーンは、渡邊がオフェンスでリズムに乗れなかったことについて、「ロケッツのプレイの仕方もあって、彼はボールをあまり多く持つことがなかった。きょうはガードが支配する試合で、彼はあまりボールに触る機会もなかった。それ以上でもなく、それ以下でもない」と擁護した。

活躍して話題になれば、次の試合ではスカウティングされ、マークはさらに厳しくなる。それは大学でも経験してきたことだ。マークされたということはそれだけ認められた証拠でもある。今後は相手ディフェンスへの対応力も必要になってくるが、サマーリーグはそういったことも含めて経験の場だ。

次の試合でしっかり修正していきたい


ネッツは、引き離されそうになった試合を何度か追い上げたものの、ターンオーバーからの失点がかさんだこともあり、102-109と敗れて4連敗。13日(日本時間14日)に敗者戦として組まれたインディアナ・ペイサーズとの試合がサマーリーグ最終戦となる。

渡邊は「(スターターで使ってもらったので)もうちょっと結果を残したかったですけれど、ディフェンスの部分ではいつも通りしっかりできていたと思いますし、あと、きょうはちょっとシュートが入らなかったので。次の試合でしっかり修正していきたいです」と、反省しながら、最終戦に向けての意気込みを語った。

ところで、対戦相手のロケッツには、現中国代表のメンバーで、渡邊がかつてU18アジア選手権で対戦したことがあるジョウ・チーがいた。ジョウは去年のドラフトでロケッツに2巡目指名され、1シーズンのNBA経験がある。

「彼はあの時からNBA選手になるって言われていましたし、きょう改めてやってみて、NBAで去年やっている分、また一味違うなっていう感じもしました。でもU18でやっていた相手と、またこういう舞台でできるっていうのはいい機会ですし、すごく楽しみました」と渡邊。NBA選手としては一歩先を行くアジアのライバルを追いかけ、渡邊の挑戦は続く。

文・写真: 宮地陽子 Twitter: @yokomiyaji

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[ハイライト動画]サマーリーグ決勝トーナメント1回戦に先発出場した渡邊雄太が4得点、7リバウンド


渡邊雄太出場予定 ネッツのサマーリーグ日程・成績


7/7 AM6:00 ネッツ 80-86 マジック| 戦評 コラム|  ハイライト動画
7/8 AM8:00 サンダー 90-76  ネッツ| 戦評 コラムハイライト動画
7/10 PM12:00 ネッツ 68-79 ティンバーウルブズ| 戦評 コラム| ハイライト動画
7/12 AM7:00 ネッツ 102-109  ロケッツ | 戦評 コラムハイライト動画
7/14 AM5:00 ネッツ vs ペイサーズ (トーマス&マック・センター)
※日時は日本時間の試合開始時間(ラスベガスとの時差+16時間)。全試合の日程は こちら

日本でのNBAサマーリーグ放送・配信予定


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[特集]渡邊雄太 NBAサマーリーグ2018挑戦記

著者
宮地陽子 Yoko Miyaji Photo

スポーツライター/バスケットボールライター