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田臥勇太インタビュー「NBA挑戦がなかったら今の自分は無い」

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ゲームの中の選手を自分でコントロールすることによって、“感じる”ことができる

――普段はテレビやインターネットでNBAの試合をどれぐらいご覧になっていますか?

毎日観てます。1日1試合は必ず観て、それ以外にハイライトも観ているので、だいたい観てます(笑)。

――田臥選手の好きなチームはレイカーズとのことですが、最近のNBAで注目しているチームはどこでしょう?

チームとしては、やはりゴールデンステイト・ウォリアーズが勢いもあるし話題性もあるので注目しています。チームメイトとも、ウォリアーズの連勝や勝利数の話をしたり、「ステフィン・カリーが何点入れた」といった話を毎日のようにしています。

――NBA 2K16をプレイする際は、昔から好きなレイカーズを使うのか、それとも強いウォリアーズを使うのか、どちらのタイプでしょうか?

今だと、ウォリアーズを使って勝ちたいですね(笑)。

――田臥選手の好きな選手はクリス・ポールとのことですが、最近のNBAで注目している選手は誰でしょうか?

最近だとアイザイア・トーマスですね。やはり同じサイズで、ポジションも同じポイントガードということもあって、見ていて勉強になります。先日、ボストン・セルティックスがウォリアーズに勝った試合(現地4月1日)も面白かったです。

――NBA 2K16ではNBA選手の動きを忠実に再現していますが、日本の子供たちや若い選手がこのゲームをプレイすることで、NBA選手の動きやリズムを学ぶことができると思いますか?

思いますね。ゲーム画面を見てもらうとわかりますが、NBA 2K16は本当に細かい所まで描かれています。自分が子供の頃はこういったゲームが無かったので、ただ映像を観るだけだったのですが、今はゲームの中の選手を自分でコントロールすることによって、“感じる”ことができると思います。「自分がどう動けば、相手がどう反応する」といったことが、ただ映像を観るだけよりも、もっと感じやすくなるというのは、プレイを学ぶ上で大きな武器になると思います。

NBAの内側を良く知っている方が作ったストーリー

――NBA 2Kシリーズの次回作NBA 2K17のカバー選手を予想していただきたいのですが、田臥選手が考える本命選手と、「この選手になったら意外性があって面白そう」という大穴選手を教えてください。

本命は、やはりカリーでしょう。子供への影響力も絶大ですし、「初の2年連続カバー選手」ということでも十分に話題性があります。今の活躍を見ていると、ずっとカリーがカバー選手でいいんじゃないかとさえ思いますね(笑)。大穴には、せっかくなら若い選手を挙げたいので、今シーズンの活躍も加味してニューヨーク・ニックスのクリスタプス・ポルジンギスはどうでしょうか? 外国人選手が初めてNBA 2Kシリーズのカバーを飾ることになるので、NBA 2Kの世界市場のシェアも伸びそうですから。

――NBA 2Kシリーズでは、自分の顔をカメラでスキャンして、自分そっくりのマイプレイヤーを作ることができますが、田臥選手は自分と体型やポジションが同じマイプレイヤーを作るタイプですか? それとも、全く違う体型やプレイスタイルの、例えばシャキール・オニールのようなマイプレイヤーを作って、ゲームの中でいつもの自分とは違うプレイを楽しむタイプですか?

自分と同じマイプレイヤーを作ります。自分のサイズとプレイスタイルでどう動けるのか、というのをゲームの中で試してみたいので。それに、自分がビッグマンになってプレイするのは、想像すらできませんから(笑)。

――MyCAREERモードでは、高校~大学~NBAというプロセスを疑似体験できますが、ゲームをプレイしながら御自身のNBA挑戦の経験を思い出すことはありますか?

ありますね。NBA 2K16では、ヘッドコーチやGMとの会話や、NBAの施設の中などがリアルに再現されていますから、「NBAに入るためにはこういう道のりがあるんだよ」ということを、このゲームを通して勉強することができると思います。

――今回のMyCAREERモードは、映画監督のスパイク・リー監督が製作に関わっています。NBAやバスケットボールの世界に詳しいリー監督が作ったストーリーは、実際にNBAを経験した田臥選手から見てどのように感じましたか?

エージェントとの関係であったり、選手である自分の友人がビジネスのパートナーになったりといったことは、日本では馴染みの薄いことですが、アメリカにいると身近にある出来事です。そういった世界も、今回のMyCAREERモードでは忠実に描かれていたので、「さすがはNBAの内側を良く知っている方が作ったストーリーだ」と感じました。

バスケットボールに対する向き合い方や姿勢を本当の意味で学べた

――実際に田臥選手がNBAに挑戦された経験の中で、とても高い壁を感じた部分と、逆に「この点に関しては、意外とそこまで大変ではなかった」ということを挙げていただけますか?

大変じゃなかったことは無いですね。やはりNBAは世界トップなので。ただ、とにかくNBA挑戦はいろいろなことがチャレンジなんですけれど、「そのチャレンジをする機会を与えてくれる」という意味では、それこそ僕がNBA挑戦の機会を得られたように、「絶対に無理」ということはないです。何かのきっかけがあったりだとか、コネクションがあったりだとかすると、NBAチームから「じゃあ練習に来ていいよ」という連絡を貰えるチャンスが巡ってきたりするので、あきらめずに夢を見てもらいたいです。本場の選手のレベルやスキルの高さだとか、メンタルの強さだとかといった高い壁は、実際にアメリカに行ってみて体験することですが、そこに至るまでのチャンスはいたる所にあります。

――今年7月のリオデジャネイロ・オリンピック世界最終予選、そして2020年の東京オリンピックに向けて日本代表の若手選手も成長してきて、代表チームのロスター枠争いも激しさを増しています。そんな中、田臥選手はチーム最年長となった今もチーム内の競争に勝ち残り、中心選手として日本代表を牽引しています。かつてNBAに挑戦した経験は、現在の田臥選手のバスケットボールと向き合う姿勢や、チーム内でのリーダーシップの示し方に、どのような影響を与えたとお考えですか?

NBA挑戦がなかったら今の自分は無いと思っています。アメリカでNBAに挑戦していた頃に、いろいろな選手と対戦したり練習したりするなかで、バスケットボールに対する向き合い方や姿勢を本当の意味で学べました。そこで学んだ「とにかく毎日全力を尽くして、気持ちを込めてプレイする」ということは、今も自分がバスケットボールを続けているうえで非常に大切にしていることですし、それが自然とチームを引っぱることに繋がると信じています。

――富樫勇樹選手や渡邉雄太選手や八村塁選手など、今の日本代表候補にはNBA入りを期待される若手選手がたくさんいますが、なかでも田臥選手が注目する日本の若手選手は誰でしょうか?

やはり、その3人には注目しています。渡邉選手は日本人で初めてNIT(National Invitation Tournament)で優勝しましたし、八村選手が進学するゴンザガ大はなかなか行ける大学ではないですから、僕も経験したことが無いような、そういったチャレンジをしている選手達には期待しています。

とにかく「優勝したい」という気持ちしかない

――現在、NBL最後のシーズンの真っ只中ですが、田臥選手の所属するリンク栃木は現在2位(4月4日時点)で、優勝に向けて好位置をキープしています。NBLの最後のチャンピオンになることは田臥選手にとってどのような意味がありますか?

「NBL最後のシーズンだから」ということは関係なく、とにかく「優勝したい」という気持ちしかないです。優勝は簡単なことではないからこそチャレンジし甲斐があるので、今はその目標を達成できるように全力を尽くしたいと思っています。

――リンク栃木ブレックスのチームやファンの盛り上がりはいかがでしょうか?

チームメイトも同じ目標に向かって一生懸命やっていますし、ファンの皆さんも僕達と一緒に優勝したいと思って応援してくださってるのが凄く伝わってきます。是非とも、チームメイト、そしてファンの皆さんと一緒に優勝を掴み取りたいと思っています。

――NBA 2K16では、NBAのアリーナの雰囲気やテレビ放送の演出といったNBAのエンターテインメント性も再現されています。今秋開幕するB.LEAGUE(以下、Bリーグ)の3つのミッションの中にも「エンターテインメント性の追求」や「夢のアリーナ」という取り組みが挙げられていますが、Bリーグのスタートにより日本のバスケ界にどのような変化が訪れることを期待されていますか?

バスケットボールの技術の部分に関しては、もっとレベルを高くして、もっと競争が生まれるようにしないといけないです。また、アリーナに関しては、試合を観に来てくださるファンの方々が「このアリーナに試合を観に行きたい」とワクワクしてくれるようにしていきたいですね。僕がアメリカでプレイしていたときもそうですし、今も毎年のようにNBAのプレイオフの試合を観に行ったりしているのですが、NBAのアリーナは、チケットを取るところからワクワクして、会場に行く前もワクワクして、会場に着いたらワクワクして……と、ワクワクしっぱなしなんです。Bリーグでも、そういったワクワク感を、選手とファンの皆さんが一体となって作り上げていければと思っています。

――今後は「Bリーグの試合を観てバスケに興味を持ち、NBA 2Kシリーズをプレイする人」や「NBA 2KシリーズをプレイしたことがきっかけでBリーグの会場に足を運ぶ人」が相乗効果的に増加することも予想されます。そこで、最後に田臥選手の考えるNBA 2K16の一番の魅力と、Bリーグへの抱負をお願いします。

NBA 2K16は、自分で操作しながら本当にリアルなバスケットボールを体験できますから、このゲームで存分にNBAの世界を味わって頂きたいです。そして、日本では今秋よりBリーグが開幕しますので、是非アリーナに足を運んでいただいて、楽しいエンターテインメントな部分をはじめとする、バスケットボールのいろいろな魅力を実際に感じてもらいたいです。また、自分は選手として、バスケットボールの楽しさを1人でも多くの方に感じていただけるように頑張りたいと思います!

インタビュー:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho
協力:2K Japan http://nba2k.jp/


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ