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タロン・ルーHC、歓喜の涙「たくさんの感情が溢れてきた」

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6月19日(日本時間20日)に行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズとのNBAファイナル第7戦で、クリーブランド・キャバリアーズを球団初優勝に導いたタロン・ルー・ヘッドコーチが試合後、記者会見でメディアからの質問に答えた。


――NBAにはたくさんのコーチがいて、多くのシーズンで指揮をとりながらもあなたが今座っている場所にたどり着けない人もたくさんいます。この4、5か月のことは、あなたにとってどのようなものであったと総括する?

厳しいものだった。とても、とても厳しかった。だけどもたくさんの素晴らしい友と素晴らしい家族を築きあげることができた。このチームはグレートだ。彼らはヘッドコーチ就任初日から私を支えてくれた。厳しい状況の中でチームを引き継いだんだ。君たちには僕が引き継いだときの状況は分からないと思うけどね。そしてレブロン・ジェームズのいるチームを引き継いだんだ。これはタフな道のりになると分かっていたよ。

だけど選手たちは私を100%信頼してくれた。この組織が僕を信じてくれた。ダン・ギルバート(筆頭オーナー)、ネイト・フォーブス(共同オーナー)、ジェフ・コーエン(共同オーナー)、そしてデイビッド・グリフィン(GM)がね。

試合の後は、泣かないと決めていたんだけど……。いつもは自分に厳しくしていて、泣かないんだ。だけど試合の直後は、兄のグレッグが来ていたんだけど彼はこう言ったよ。「泣いてるのを初めて見たよ」って。たくさんの感情が溢れてきたんだ。最後のブザーが鳴り終わったとき、信じられないような気持ちになった。本当か? 本当なのか?ってね。

――第3クォーターに起こったことを少し教えてくれますか? あなたたちは素晴らしいランを仕掛けた。後半はビハインドからスタートしましたが、全く違うリズムで第3クォーターを迎えたように見えました。

ハーフタイムには選手たちにこう言ったんだ。前半には私たちの持てる全てを発揮したようには思わないってね。たくさんのミスを犯してしまった。ゲーム7を戦うにあたって最大限の力を注ぎ込めていなかったんだ。トロント(ラプターズ)との第6戦の後には、これが最大の努力だと伝えた。あの試合では自分たちにとって最大限ハードにプレイできたように思う。

今日の前半にはそれができなかった。後半が始まったときに、我々はディフェンスに強い意識をもって臨んだ。J.R.・スミスが連続8得点で貢献してくれた。これがとても大きかった。そしてこのことが我々を勢いづかせてくれたんだ。

ディフェンス面では、このシリーズの最後の5戦は素晴らしかった。ゲームプランに従ってしっかりプレイしてくれた選手を称えたい。いくつかの修正を行ない、そしてそのゲームプランにこだわってプレイした。自信を決して失わなかった彼らを本当に称えたい。

――レブロンは相変わらずの偉大なプレイぶりだったけども、カイリー・アービングもこのプレイオフを通じて、そしてこのシリーズにおいても成長して、さらなる高みに到達した。コーチとして彼のような若く才能ある選手がNBAで自分の道を切り開いていくのを見るのはどんな感じ?

素晴らしいことだよ。彼は去年怪我に泣かされたことを知っているからね。彼とケビン(ラブ)はNBAファイナルを戦うことができなかった。リハビリと肉体の強化で長く厳しい夏だった。彼らは素晴らしい仕事をしたよ。

プレイオフに突入したとき、彼が100%の状態だと感じたし、リズムに乗っていた。カイリーがまた特別な選手に戻ったんだ。知っての通り、今日彼が決めた3ポイントシュートはNBA史上最高のシュートのひとつだ。特にいまだかつて1勝3敗からカムバックした例がないということを知っていたならなおさらだね。相手のホームでファイナル第7戦を戦って勝ったのは18チーム中、たったの3チームだけだ。そのことを考えたら、NBA史上最高のビッグショットのひとつだね。

――レブロンがトロフィーを受け取ったときに感極まって涙を流したのを見たとき、52年もの間プロスポーツのチャンピオンシップから遠ざかっていたクリーブランドを一身に背負う重圧を想像できましたか? その姿を見て自分も感極まってしまった?

その場面を見ていないんだ。自分も泣いていたからね。たくさんの感情が溢れ出てきた。レブロンにとっては特別なことだ。彼はそれに値する。ハードワーカーで、13年もの間NBAの顔であり続けている。彼は常にトップを走り続けているんだ。2回の優勝を成し遂げたマイアミから、このクリーブランドに優勝をもたらすためだけに戻ってきた。そしてそれを成し遂げたんだよ。

――残り1分、89対89で同点の場面、あなたはタイムアウトをとって、その直後のオフェンスでカイリーが3ポイントを決めた。タイムアウトではどんな言葉をかけた? そして何をしようとしていた? 3ポイントを狙っていた?

(ステフィン)カリーにディフェンスをさせた状態でカイリーにボールを持たせて、1on1の状況を作ろうとした。前にも言ったように、彼らは素晴らしいディフェンスを有するチーム。ポイントガードからセンターまで、全員がスイッチしてディフェンスしてくる。

だから、ダブルチームの状況を強いて、味方1人をフリーにするのが難しいんだ。バスケットボールをしたことがある人なら、ボールマンがディフェンスを2人引き付けてチームメイトのオープンな状況を作ろうとするものだ。

けれども、ウォリアーズのディフェンスにはそれが通用しない。だから我々はマッチアップを工夫して1対1の状況を作り出そうとしたんだ。3ポイントかそれ以外かは明確に決めていなかったが、カイリーは勝負所で怖じ気づくことなくビッグショットを決めた。あれこそがタイムアウトで狙っていたものなんだ。

選手には、あと1回の得点とあと1回のディフェンスが必要だと話した。そしてそれを実行することができたよ。


[特集]2016 NBAファイナル: ウォリアーズ vs キャブズ


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ