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チーム一丸のマブスが悲願の初優勝

Jun 13, 2011 14:10

dallas-mavs-526-3-061211_500.jpg現地12日、2011年NBAファイナル第6戦がマイアミのアメリカン・エアラインズ・アリーナで行われ、3勝2敗と王手をかけていたダラス・マーベリックスが105対95で勝利し、1980年のチーム創立以来、史上初の優勝を飾った。
ファイナルMVPには今シリーズで平均26.0得点を記録したダーク・ノビツキーが選ばれた。


序盤はヒートが12-1のランを作るなど、ランでリードを奪い合う展開となった。得点の低さから批判されていたヒートのレブロン・ジェイムスが最初のシュートを4本決め、復調の兆しを見せる。
対するマブスは、前半だけで19得点したジェイソン・テリーが大活躍も、エースのノビツキーが大ブレーキ。ノビツキーは序盤のファウルトラブルに加え、前半を終えFGが1/12と、先行きは暗かった。

 

ノビツキーが不調ながら、テリーを中心とした面々の活躍でリードを保つマブス。第3Q中盤にはタイソン・チャンドラーが4ファウルとなり、更に苦しい展開が予想されたが、代わりの伏兵、ブライアン・カーディナルが躍動。カーディナルはまずドライブからノビツキーのスリーをアシストすると、しつこいディフェンスで相手のシュートミスを誘発し、ウェイドからチャージングを奪う大活躍。
これでなんとか流れを保ったマブスは、エディー・ハウスにボールを触られ、あわやターンオーバーの危機に陥ったジェイソン・キッドがスリーを沈め、第3Q残り47.7秒でスコアは79対71に。これでマブスは完全に波に乗った。

 

第4Q開始からヒートが5連続得点を挙げたが、ホゼ・バレアがスリーでヒートの流れを断ち切る。このQの中盤を迎えると、ノビツキーが遂に眠りから覚める。
逆転を目指すヒートが必死の形相で得点すると、ノビツキーが得点し返す展開に。ノビツキーは試合最後の8分で10得点を挙げ粘るヒートを寄せ付けず、チームを見事優勝に導いた。

 

選手、HCの両方でリーグを制覇した史上11人目の人物となったマブスのリック・カーライルHCは、「このチームは本物のチームだ。古臭い集団で、速く走ることも、高く跳ぶこともしない。うちのチームはお互いを助け合うんだ。我々は正しくプレイすることができた。ダラスの街にとって素晴らしい偉業を成し遂げた」と語った。

 

勝利したマブスは、第1Qから得点を挙げ続けたテリーがゲームハイの27得点を挙げ、ノビツキーが21得点、11リバウンドを記録。3戦連続で先発したバレアは15得点で勝利に貢献した。

 

この試合でマブスは、スタッツ上ヒートを圧倒したわけではない。
FG成功率はマブス(50.0%)がヒートをわずか2.8%上回り、42.3%の確率で決めたスリーも相手より4本成功が多いだけ。スティールは16とヒートを4つ上回ったが、逆に相手よりも10個多い24ファウルを犯している。

 

しかし、第4戦のノビツキーの発熱によりさらにチームがまとまったマブスは、出場した全員が渋い活躍を見せる。
カーディナルに加え、ディフェンス職人とみなされていたスティーブンソンがこの日もスリーを3本沈め、経験の浅いマヒーミさえもオフェンスリバウンドで貢献。特に試合終盤は大ベテランのキッドが見事なタイムマネジメントを見せ、マリオ・チャルマーズの速攻でのシュートをブロックしたタイソン・チャンドラーは記録に残らずもオフェンスリバウンド争いでボールを何度もチップしマイボールにするなど、猛攻を見せるヒートを上手くコントロール。
オフェンスではエースの不調の中、第3Qまでは2006年のファイナル敗退の屈辱をノビツキー以外に唯一知るテリーが牽引。最後はエースにバトンを託すチーム内の信頼関係、それに第4Qは8本中5本のFG成功で応えたエースも見事だった。

 

33歳のテリーは「今夜、我々が正しかったことが証明された」と喜びを語った。

 

38歳のキッドは「この道のりが信じられない。この旅の中で、チームメイトが私にチャンピオンリングを獲って欲しいと言っているのがわかった。彼らは今日素晴らしいプレイをした。これは私にとって3度目のファイナルだから、3度目の正直ということだね」と語った。

 

敗れたヒートはレブロン・ジェイムスがチームトップの21得点、6アシスト。クリス・ボッシュは19得点、8リバウンドを記録。先発で出場したチャルマーズは18得点、7アシスト、ウェイドは17得点、8リバウンドをあげた。しかし、勝負所でフリーのスリーを決められず、追い上げムードの中ターンオーバーを犯すなど、経験不足を露呈した。

 

ウェイドは、「マブスの活躍は素晴らしいチームだ。我々は、現時点でチームとしてより優れている相手と戦ってしまったということだ」と語った。

 

敗れたヒートだが、ビッグ3結成初年度からファイナル進出を果たすなど、先行きは明るい。空中分解しなければいずれリーグを制するのは確実と思わせる強さも見せた。同じ顔合わせだった2006年のファイナルも、アロンゾ・モーニングやゲイリー・ペイトンらの大ベテランが悲願の初優勝を狙ったヒートが、新鋭のマブスを抑え優勝している。今回のヒートにはまだまだベテランの意地を上回るだけの決意が足りなかった。

 

ジェイムスとの再契約が叶わなかったクリーブランド・キャバリアーズのオーナー、ダン・ギルバート氏はツイッターで「マブスが止まることはなく、そして今組織全体がチャンピオンリングを得た。(優勝に)近道なんてないんだ」と発言している。

 

今ファイナルで平均26.0得点、10.2リバウンドを記録しファイナルMVPを獲得したノビツキー。これまではディフェンスができない、ソフトで、勝負所に弱いと揶揄され続けてきた。
前回のファイナル進出の翌2006-07シーズンにはチームをリーグ最高勝率に導きシーズンMVPを受賞も、プレイオフ1回戦敗退の浮き目にあった。しかし、時には惨めな姿を晒し批判されながらも逃げ出さず、NBAキャリアを始めたダラスの街を愛しチームを支え続けたノビツキー。そのスマートなプレイスタイルとは裏腹に、泥臭くも奮闘してきた13年のキャリアが遂にファイナルMVPという形で実を結んだ。

 

プレイオフ開幕前には優勝候補として見なされなかったチームを優勝に導いた32歳のノビツキーは、「まだ信じられない。我々はとても長い間、とてもハードにプレイしてきた。ここまで来る道のりは長かった。世界で最高のチームにいるという気持ちは言葉にできない」と語った。

 

リーグを代表する選手が、キャリア全盛期のうちに自らの意思で1チームに集まり共に新たな王朝を築き上げようとしたヒート。ジェイムスは出身地のチームを捨ててまで、新天地で新たな歴史を作ることに挑んだ。
しかし、現代のリーグでは希少な生え抜きの大エースを擁し、各々が役割を全うしチーム一丸となって戦ったマブスがヒートの野望を打ち砕いた。
これはスターが1チームに集まろうとする、ボストン・セルティックスがビッグ3結成初年度の2008年に優勝を果たして以降作られた現在のリーグの風潮に、スーパースターは一人でも優れたサポーティングキャストさえいれば勝利できるとの一石を投じたに違いない。

 

エースに君臨し続けたノビツキー、17年目のキッドを始めベテラン揃いながらも、優勝経験のある選手は皆無だったマブスの悲願への想いの強さが、ヒートのビッグ3の抱いた野望を打ち砕いたファイナルだった。


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