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渡邊雄太がこの夏8チーム目となる76ersのワークアウトに参加「凄く価値のある1か月だった」(杉浦大介)

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Yuta Watanabe 76ers Sixers

日本バスケットボール界期待の星、渡邊雄太が6月18日(日本時間19日)にフィラデルフィア・76ersのドラフト前ワークアウトに参加した。5月中旬にジョージ・ワシントン大学を卒業した渡邊にとって、これが8つ目のNBAチームとのワークアウトだ。練習終盤の様子はメディアにも公開され、地元記者たちが見守る前で様々なメニューが行なわれた。

フルコートでの3on3では、渡邊はドラフト指名候補と目されるアリゾナ大出身のアロンゾ・トリアーと同じチームでプレイした。

「3on3をやったときはもう足が動かなくなっていました。(最近は)1日おきくらいのペースでワークアウトをやってきたので、さすがにちょっときつかった」。

終了後、渡邊は疲労困憊した表情でそう述べた。実際に前々日にはゴールデンステイト・ウォリアーズのワークアウトにも参加するなどかなりのハードスケジュールで、この日は少なからず疲労のあとも見てとれた。そのせいでシュートタッチは良いとは言えなかったが、それでも得意のディフェンス、リバウンドなどでアピールした。

「印象的なプレイをしていたよ。あまり手の内(評価)を見せたくないが、先月の『プロ・デー』(渡邊が契約しているエージェント会社ワッサーマンが主催した公開ワークアウト)のときから注目していたんだ。スタミナと走力がある。才能のある選手だ」。

現役時代に2度オールスターに選出され、現在は76ers傘下のGリーグチーム、デラウェア・ブルーコーツのGMを務めるエルトン・ブランドも渡邊の献身的なプレイを讃えている。

Yuta Watanabe Elton Brand 76ers Sixers フィラデルフィア・76ers

ワークアウトを視察し、渡邊についての感想を述べるエルトン・ブランド

先月21日のブルックリン・ネッツを皮切りに、ワシントン・ウィザーズ、アトランタ・ホークス、オクラホマシティ・サンダー、インディアナ・ペイサーズ、フェニックス・サンズ、そしてウォリアーズのワークアウトに参加。ウィザーズとホークスのワークアウトの間にはイタリアで行なわれたNBAグローバルキャンプ(有望なインターナショナル選手を集めたワークアウト)にも参加した。

21日のドラフトを控えるなか、ドラフト前のワークアウトは今回の76ersが最後だったという。ハードで充実した日々を、渡邊は「凄く価値のある1か月だった」と振り返った。

ドラフト指名があるかどうかは微妙なところだが、本人は「そこにはこだわっていないです」と淡々と述べている。

「僕の目標はそこ(ドラフトで指名されること)ではありません。目指すのはその後のサマーリーグ、NBAのトレーニングキャンプ。ドラフトされようがされまいが、やることは変わりません」と、静かに先を見据えている。

田臥勇太(当時サンズ、現Bリーグ 栃木ブレックス)に続く日本人2人目のNBAプレイヤーは誕生するのか。夢に向けた渡邊の挑戦はこれからさらに本格化していく。

文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura

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杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。