[宮地陽子コラム第97回]アメリカ代表キャンプに参加したグリズリーズのマイク・コンリー「オリンピック出場は僕の夢」

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Mike Conley Grizzlies

代表キャンプに参加することの意味


7月下旬のアメリカ代表のミニキャンプには、渡邊雄太が2ウェイ契約を交わしたメンフィス・グリズリーズのベテラン・ポイントガード、マイク・コンリーも参加していた。2007年のNBAドラフト全体4位でグリズリーズが指名し、それ以来、グリズリーズ一筋という、まさにチームのリーダーだ。

昨シーズンは左足踵の故障のために12試合にしか出場できず、1月に手術を受けてシーズン終了となったが、現在では、身体的にはほとんど何でもできるくらいまで回復してきているという。もっとも、秋のトレーニングキャンプ開始時に万全の状態となるように、今は慎重に負荷を上げている段階のようで、代表キャンプでもシューティングドリルなどには参加したものの、5対5のスクリメージなどは横から見学するに終わった。

それでも、代表キャンプに参加することには意味があったとコンリーは言う。

「(5対5のスクリメージなどを)サイドラインから見ているだけなのは楽しくなかった。ただ、故障していて、全部に参加できるわけではなくても、このキャンプには参加したかったんだ。ここにいる選手たちといっしょに過ごしたかったし、彼らから知識を得たかった。彼らが練習し、向上し、いろいろな方法で競うのを見たかった。そういったことを経験することで、間違いなく自分も向上できる」。

故障からのリハビリは、毎日同じことの繰り返し。退屈になりがちだ。それだけに、アメリカのトップレベルの選手たちが集まる場に来たことは、秋に向けてさらに頑張るためのモチベーションを刺激される出来事だったという。

「間違いなくモチベーションは刺激されている。1年通してモチベーションは保っているけれどね。もっと、いろいろできると感じているし、シーズンが始まるのが楽しみだ」。

Mike Conley Grizzlies
7月下旬にラスベガスで行なわれた米代表ミニキャンプに参加したコンリー Photo by NBA Entertainment

「オリンピックに出ることは、僕の夢」


今回のキャンプに招待された選手たちは、来年のFIBAワールドカップと、さらにその翌年、2020年東京オリンピックに出場するチームの候補選手たちだ。自身初のアメリカ代表入りを目指すコンリーにとって、オリンピックは特に思い入れがある舞台だという。何しろ、父、マイク・コンリーSr.は陸上選手として何度もオリンピックに出場し、バルセロナ・オリンピックでは三段跳びで金メダルも取っているのだ。

「オリンピックに出ることは、僕の夢だ。父は何度もオリンピックで競っていたしね」とコンリーは言う。

「僕にとっては、オリンピックはとても大きなことだ。アメリカ代表でこれだけすばらしい選手たち、多くのすばらしいコーチたちが築いてきたすばらしいプログラムでプレイできることは大きな意味がある。それを達成するためには何でもできることはやるつもりだ」。
また、コンリーは、まだ日本を訪れたことはないという。

「東京は大都会で、人が多くて、多くのテクノロジーにあふれていると聞いている。一度、訪れてみたい。中国には行ったことがあるけれど、日本は中国とも少し違うというのもわかっているし、行くことができたら、また違う経験になるだろうね」。

Mike Conley Grizzlies
1月の手術以来、完全復活に向けてリハビリに励む(写真は3月中旬のワークアウトの様子) Photo by NBA Entertainment

渡邊雄太へのメッセージ


グリズリーズはこの夏、コンリーやマルク・ガソルら、グリズリーズを支えてきたベテラン選手を残しつつ、一方で若返りを図る補強をいくつも行なった。ドラフト全体4位でジャレン・ジャクソンを指名したほか、サンアントニオ・スパーズの制限付きフリーエージェントだったカイル・アンダーソンと契約し、トレードでギャレット・テンプルを獲得。フロントの意図としては、主力を残すことで競争力を保ちつつ、ディフェンスを強化し、グリズリーズのアイデンティティだった『グリット&グラインド』を復活させようということらしい。コンリーも、「大きな話題を呼んだリーグの他の補強に比べると、うちのチームのこの夏は小さな補強だったかもしれない。けれど、僕らにとっては大きい補強だった。チームが成し遂げられたことにワクワクしている」と、新チームに期待を寄せる。

新契約選手の一人として、日本人選手と2ウェイ契約を交わしたことはコンリーも知っていた。そこで、新入りの渡邊のために、グリズリーズがどんなチームで、メンフィスがどんな町なのか描写してもらった。

「彼(渡邊)にグリズリーズについて語るとしたら、まずは、このチームで僕らが築いてきたカルチャーは、ハードに、フィジカルに、楽しくプレイしているという話をすると思う。照明が当たるなかでショーを見せるのは僕らのやり方ではない。僕らにとって大事なのは勝つこと。コート上で勝つために必要なことをやることなんだ」。

「メンフィスはアメリカ南部の町で、とても落ち着いていて、のんびりしたところで、町の中を動き回るのも苦労することはない。人口も多いわけではなく、とてもいい人たちがいて、食べ物もおいしい。夏は暑いけれどね。バスケットボール好きの町だから、特にバスケチームにとってはすばらしい町だよ」。

文:宮地陽子  Twitter: @yokomiyaji

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著者
宮地陽子 Yoko Miyaji Photo

スポーツライター/バスケットボールライター