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[宮地陽子コラム第82回]NBAで生き延びるコツを体現するベテランたち(2)

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「常に準備している」ネルソン

ウェイドがキャブズに加入したことでジェファーソンが押し出されたように、ジェファーソンがナゲッツに加わったことで解雇されたベテラン選手がいた。ジャミア・ネルソンだ。昨シーズンまで2シーズン半の間、若いナゲッツを支えるベテランとして貢献していて、今シーズンも引き続きチームに残留と見られていたが、ジェファーソン加入でその状況が一変。ロスター枠をあけるために開幕直後の10月18日に解雇された。

ナゲッツのヘッドコーチ、マイク・マローンは、ネルソンが若い選手たちに対して見せていたリーダーシップやメンターの役割を絶賛し、「彼はここにいる間に、まわりに大きな影響を与えた」と称えた。それだけ重要な存在でも、解雇されてしまう世界なのだ。

しかし、ネルソンもジェファーソンと同じように切り替えが早かった。ナゲッツから解雇された直後、いったんは故郷フィラデルフィアに戻ったが、すぐに、ラジョン・ロンドの故障でポイントガードが必要になったニューオーリンズ・ペリカンズから声がかかり、車と飛行機で合計10時間近くかけてペリカンズの遠征先、ロサンゼルスに移動した。そして契約書にサインすると、その日の夜には試合に出た。しかも、接戦の第4クォーターに10分近く出場し、勝利を決めるとどめの3ポイントショットを決めている。試合後に、ペリカンズのアルビン・ジェントリーHCが「彼はこの試合だけで契約金をもらうにふさわしい活躍だった」と言うほど、頼もしい活躍ぶりだった。

試合後、ネルソンに、チームに合流した直後の試合で、いったいペリカンズのオフェンスをどれぐらい理解してプレイしていたのか聞くと「全部だ」との答えが返ってきた。冗談かと思ったら「本気だ。デンバー(ナゲッツ)と似たようなオフェンスだから、簡単だったんだ」とネルソン。

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さらに、チーム合流当日にいきなり競り合いの第4Qに出場したことについても、「いつ、何が、なぜ起きるのかと予測することはできないから、常に準備しているだけだ。自分でワークアウトして、コンディションは保ってきたからね」と、できて当然とばかりのコメントだった。

「いつ、何が、なぜ起こるか予測することができない」──。それは、試合中だけでなく、チームとの契約やチーム内の役割でも同じことだ。

ジェファーソンといい、ネルソンといい、開幕直後から、NBA経験豊かなベテラン2選手に、NBAで生き延びるために必要なたくましさを見せつけられた。

文:宮地陽子  Twitter: @yokomiyaji

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ