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[宮地陽子コラム第82回]NBAで生き延びるコツを体現するベテランたち(1)

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「プロとしての仕事はプレイすることだけではない」

今シーズンの開幕を目前にした10月14日、リチャード・ジェファーソンは2シーズンを過ごしたクリーブランド・キャバリアーズからトレードで出された。開幕ロスター確定に向けての人数合わせとラグジュアリータックス(贅沢税)の節約のためだった。

トレードで移った先のアトランタ・ホークスも、ジェファーソンを戦力として欲したわけではなく、合わせて譲渡されたドラフト2巡目指名権が目的だった。キャブズの陰のリーダーとしてチームをまとめ、チームメイトたちから好かれ、2016年のNBA優勝に貢献したベテラン選手が、まるで廃品回収のようにチームから出されることになるとは、プロの無情さを感じたトレードだった。

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しかし、まわりがセンチメンタルになるのと対照的に、ジェファーソン本人は意外なほどサバサバとしていた。キャブズのチームメイト、チャニング・フライらといっしょにやっていたポッドキャスト『ロード・トリッピング』で、ジェファーソンは、ドウェイン・ウェイドが9月末にキャブズに加入したときからチームを離れることになるとわかっていたと言い、それを恨むことなく受け入れた理由について「キャリア終盤だしね。おばあちゃんが95歳で亡くなったら、『早すぎた』とは誰も言わないだろう?」と笑い飛ばした。

そして、当初の予定通りにトレード先のホークスを解雇されてフリーエージェントになると、1年契約でデンバー・ナゲッツに加わった。入ってすぐ、ジェファーソンはこう言っている。

「僕のプロとしての仕事は、プレイするだけでなく、チームが最適な状況になるように貢献することだ。それは、若い選手を助けたり、見て気づいたところで手助けすることも含まれる。僕が若かった頃に、年上の選手がやってくれたのと同じことをやるだけ。"ペイ・フォワード"しているだけだ」。

ナゲッツでのプレイタイムや試合での役割についても「年寄りだからね。どんな役割だって構わない。仕事があるだけで嬉しいことだ。どんなことでも貢献できたら嬉しい」と、とにかく達観している。ナゲッツのような若手が多いチームにとって、ジェファーソンのようなベテランの存在は値千金だ。

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ