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[コラム]NBAファイナル2017:第4戦に渦巻いた様々な感情(佐々木クリス/WOWOW NBA ONLINE)

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どこから始めるべきか……1Q49得点という記録か、前半86得点? 1チームによる24本の3pt成功? それともファイナルの舞台で許されたプレーだったのかも定かでないレブロンのボード当て独りアリウープか? 覆されたドレイモンドの退場? Or 1on1無双アービングのマンバ・メンタリティ?

このゲームはとにかく観戦するものすら疲労の極限に追いやった。頭の中でバスドラムがズンズン響くほどに。

確実なのはウォリアーズファンが“ほうき”を手放すことを余儀なくされ、ウォリアーズが目前に捉えていた史上初プレーオフ16連勝での優勝という大記録も立ち消えとなったこと。

猛獣は手負いでも強大だった。初めて戦った2007年のファイナルと今の自分の比較を求められたレブロンは『当時の俺はクソだった。現在はクソじゃない』と会見場の笑いを誘い、深く被った黒のキャップは眼を隠すものの久しぶりに白い歯をカメラのレンズに捉えさせた。試合ではアービング、ラブ、トリスタンにJRと脇を固める役者達もその持ち味を遺憾なく発揮した。

もちろんクリーブランドに集まった2万人を超えるキャバリアーズファンのエネルギーも凄まじかった。第3戦はアリーナMCや音響に煽られて出ている印象だった声も、第4戦では前面に押し出されていた。MVPコールに、審判への抗議、特大顔パネルを掲げて相手選手を心理的に揺さぶろうとするチャント、どれもスポーツ“ファナティック”そのものと言える。

ウォリアーズを応援する者、キャバリアーズを応援する者、ひとりのファンとしてただ楽しもうとする者、全ての人々に共通して他者が奪えないもの、それはあの時、あの瞬間に感じた感情=エモーションだ。

そして選手たちも誰にも奪われることのない瞬間を生きている。僕自身、2012年から数えて6度目となるファイナルを目撃する中で、歴史に刻まれる結果としてのファイナルはひとつしかないが、ファイナルを経験する人々の心に残る“現在”というものは未来に立って振り返った時、決して同じではないと感じている。

どんなモーメントに生き、どんなエモーションに自分を浸すのか……。

ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは第4戦の前のインタビューで『知られたことだが以前にもここ(クリーブランド)で優勝を決めた。それは素晴らしい感情さ、他の奴らのコートで勝利し、彼らのロッカーで祝杯をあげ、彼らのファン達を黙らせる。アスリートとして最も気持ちいいのは敵の縄張りで彼らの観衆を静かにすることだ。それゆえ(今年も達成出来たら)素晴らしい感情になる』とリポーターからの仮定の話に応えていた。

『と同時に最終的には、どこで優勝を決めようと構わない、優勝が出来ればね。ここで勝つ機会が与えられている、なのでそのアドバンテージをモノにしたい。出来るだけ早く幕引きをしたいね』と彼は続けた。

ウォリアーズの優勝が当然のものといった語り口は当然キャバリアーズの耳にも入る。

プレイオフに入ると必ずSNSを一切遮断するレブロンとは違い、第4戦で両チームTOPの40得点をあげたK・アービングは第4戦を迎えるにあたってウォリアーズ側から聞こえてくるこれらの”おしゃべり“が『幾らか余計に動機付けしてくれた』と振り返る。

『特に俺に取ってはね。何故なら今夜敗れていたとして、彼らが我々のホームコートで祝おうものなら、敗北の苦さは同じじゃなかったと思うから』と明らかにおしゃべりの相手を頭にイメージしていた。

口は災いの元…人はそう言う。

しかし、珍しく試合中にレブロンとコート上で口論となったK・デュラントがこの瞬間と試合を取り巻くヴァイブスを試合後に語った。……>>>コラムの続きはWOWOW NBA ONLINEでチェック!!

文:佐々木クリス(WOWOW NBA ONLINE Twitter: @chrisnewtokyo, @WOWOWNBA

WOWOW NBA ONLINE 6月11日掲載 「Vol.287 エモーショナル・ダメージ」より

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