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[コラム]NBAファイナル第1戦と第2戦のメディアの反応の違い(長澤壮太郎/WOWOW NBA ONLINE)

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待ちに待ったNBAファイナルがはじまりました。

頂上対決は西地区の王者ウォリアーズと東地区の王者キャバリアーズ。

両者共に危なげなくプレイオフを勝ち抜き、ウォリアーズは無傷の12連勝。一方のキャブズも11勝1敗。お互いほぼ完璧な勝ち上がり方でファイナルを迎えました。

NBA史上初となる3年連続の同チーム対決。過去2回の対決は1勝1敗と分けており、今回の3回目でどちらが優っているのかが決まるという状況に、世界中のメディアが『三部作映画の完結章』、あるいはボクシングに例えて『第3ラウンド』などと大きく取り上げています。

個人的にも日本でのレブロン・ジェームズ(キャバリアーズ)ファンとステフィン・カリー(ウォリアーズ)ファンはしっかり確立されている印象があるし、この対決に対する注目度は非常に高いと思っています。この2強対決はシーズン前から世界中のメディアとファンから最も望まれていたものではないでしょうか。

しかしいざ蓋を開けてみると、2戦を終えた時点でウォリアーズが2連勝。内容的にも1試合目で22点差、2試合目で19点差と大差がついています。

ファンやメディアの間でもウォリアーズが強いだろうとの予想はついていたものの、キャバリアーズにはNBAの“キング”レブロンがいる。だから一進一退の競り合いになるだろう。というより、むしろそうなって欲しいと……。

世紀の対決ゆえ、きっと初戦からもつれにもつれ、最後の1秒まで手に汗にぎる展開に! と勝手に期待していた我々にとってはちょっと期待外れなシリーズ幕開けになりました。
メディアもファンもファイナルになると思い入れが強いのでしょうね。1試合ごとに『ウォリアーズが強すぎる!』『レブロンもキャブスも太刀打ちする術なし!』など、結構極端な報道を目にします。最近は新聞記事よりも断然速くtwitterやブログなどのネット記事で試合直後の感想をホカホカの状態で伝えるため、より感情的になるのでしょう。

この2試合で特に面白かったのがこういったメディアの反応。初戦を終えた後の報道は試合内容についてのtweetや報道が多く、先勝したウォリアーズにどうキャバリアーズが対抗するべきなのか? ディフェンスが崩壊した原因や改善策など、どこも真面目に報道していました。

しかし、2戦目を終えた時点で対応策を打って出たはずのキャバリアーズが万全を尽くしたにもかかわらず力負けしてしまった。この状況に記者や評論家たちからの細かい戦術や技術的な評論が一気に少なくなり、その分「KDというモンスターがいた誤算」「単純にスターの数が違う」という見出しが増えたのです。

きっと記者や評論家たちをもってしても、KDが加入して最高に噛み合っている現状のウォリアーズの強さに対しての明確な攻略法が見つからないのでしょうね。

記者たちが一夜明けて上げている記事は、もはや試合の内容から脱線し始め、「第4Q、必死にコート上で食い下がるレブロンをよそに、カリーが床で昼寝した」や、「なんか様子がおかしいぞ、カイリー。膝の怪我か?」等。そこに食いついたファンが「試合中に昼寝するなど、なんたる侮辱。許せん!」「カイリーはシュートが入らなくなるとすぐ膝問題を持ち出す」など、違ったところですっかり盛り上がっています。

プレイオフで彼のプレイを見ているとあまりにレベルが違い過ぎて、NBAよりレベルの高いリーグ(実際には存在しないが)に所属するべきなのでは? と思ってしまうほどですね。

レブロンに匹敵して、目覚ましい活躍を見せているのが、ウォリアーズのKDことケビン・デュラント。チーム自体がスター軍団の集まりで、どこからでも相手を崩す実力を持っていながら、チームが時折苦戦する試合で彼は見事にエース級の実力を発揮し、73勝した昨季のチームを解体してまで、彼を獲得したことが正解であったことを証明しています。

そんなウォリアーズの元ヘッドコーチで現コメンテーターのマーク・ジャクソンは、先日の放送中に「もしも私がチームのGMもしくはコーチで自陣にKDが加入するという知らせをもらったならば、さっさとホテルに帰ってベッドでゴロゴロして寛いでいるよ」と発言。彼さえいれば指導をしなくても勝てると言いたかったのでしょう。熱い指導で有名な彼にここまで言わせるKDの実力はやはり凄いとしか言いようがありません。

そんな過熱する脱線報道の中でも、決定的に笑ったのが…… >>>コラムの続きはWOWOW NBA ONLINEでチェック!!

文:長澤壮太郎( WOWOW NBA ONLINE Twitter: @gwf_tokyo , @WOWOWNBA

WOWOW NBA ONLINE 6月7日掲載 Vol.285 長澤壮太郎が語る「NBA inside 情報 from Sotaro!」より

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