NBA

[コラム]注目スタッツ『ペース』に見るレギュラーシーズンとプレイオフの違い(佐々木クリス/WOWOW NBA ONLINE)

Author Photo
Sporting News Logo

What's up!? みなさんこんにちは佐々木クリスです。いよいよ東西カンファレンスファイナルまで進み、NBAファイナルもすぐそこまで来ています。ゴールラインが見えてくるとシーズンが終わってしまのか? と寂しさも感じてしまうのですが、このままクライマックスまでみなさんと一緒に楽しんでいけたらと思っています!

そして今回はレギュラーシーズンとプレイオフの違いについて、ある数字に着目して見たいと思います。それではLet's go!

プレイオフではペースが遅くなるのか?

1戦必勝、1つのルースボール、リバウンドにかける熱い思い、激しくなる身体のぶつかり合い。バスケットボールにおける全ての局面で気迫がこもった白熱の展開になるのがプレイオフ。一瞬の気のゆるみも許されない駆け引きが毎試合我々を魅了してくれるが、レギュラーシーズンとの違いを語る上で良く引き合いに出される、試合の攻守の早さとも言えるだろうか、NBAの試合48分間に両チームが何回攻撃権を得たかを示すもの…それが「ペース」。

プレイオフにおいて常々『1回、1回の攻撃がとても重要なのでゆっくりとしたハーフコートバスケットの展開になりペースが遅くなる。なので、ディフェンスが得意でスローペースを好むチームが優位』ということが言われてきた。しかし、本当にそう言えるのか、今回はそんなレギュラーシーズン、プレイオフのペースを比較、検証してみたい。

20年前より10回も攻撃回数が増加

NBAを語る上で当たり前に言われてきた定説。気になり始めたのは数年前なのだが、まずNBAでは近年3ptシュートの絶対数が劇的に増加していると共に、レギュラーシーズン中における1試合のペースも20年前のリーグ平均と比較すると2016-17シーズンは10回も多く攻める増加となっている。

NBA.com/stats の公式で出ている96-97シーズンから抽出していくと年表は以下の通りだ。

1996-97 89.78
1997-98 92.96
1998-99 91.58
1999-00 95.67
2000-01 93.8
2001-02 93.33
2002-03 93.63
2003-04 92.69
2004-05 93.56
2005-06 92.9
2006-07 94.3
2007-08 94.8
2008-09 94.11
2009-10 95.1
2010-11 94.53
2011-12 93.75
2012-13 94.43
2013-14 96.33
2014-15 96.3
2015-16 98.08
2016-17 98.72

レギュラーシーズン中のペースの増加について考える上で、戦術的な事項を書き記す前に、いくつか過去のNBAのルール変更が大きく関わっている事実も見逃してはならない。

1999-00 ボールを保持し進行する選手への進行の自由を制限するハンドチェッキングの廃止

2001-02 フロントコートにボールを運ぶまでの猶予が10秒から8秒に短縮/イリーガル・ディフェンスの廃止(ZONE解禁)とディフェンス3秒の導入

90年代後半のNBAではスローテンポでロースコアゲームが続き、得点を取る、というバスケットボールの魅力を損なわないためにリーグが意図的にてこ入れしたことは紛れもない事実で、バスケットボールが誕生してから“観られる”ことを意識しながら多くのルール変更をしてきた歴史とも合致する考え方だ。

振り返ってみれば記録的なトリプルダブル数の誕生は、この時NBAがリーグとして決断したことに端を発すると言えるかも知れない。さらに莫大な放映権料を受け取るリーグの長期的な視点を持った戦略は見事的中、今も世界中に多くの新しいファンを生み出し、古くからのファンも引きつけて離さない。

2007-08シーズンをひとつのピークとして一旦数字が下降気味になったのは、2008年にドック・リバースHCに率いられ優勝したボストン・セルティックスが実行したあるスペシャリストによるディフェンスの考え方がリーグに徐々に広まった結果と僕は観ている。 熱心なファンならお気づきと思うが……>>>コラムの続きはWOWOW NBA ONLINEでチェック!!

文:佐々木クリス(WOWOW NBA ONLINE Twitter: @chrisnewtokyo, @WOWOWNBA

WOWOW NBA ONLINE 5月18日掲載 「Vol.279 プレーオフ都市伝説、真相は?」より

WOWOW NBA ONLINE コラム バックナンバー


著者