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[コラム]NBAファイナルで作られた新たな歴史(佐々木クリス)

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What's up!? みなさん、こんにちは! 今回もこうしてコラムを書いていると言うことは2016 NBAファイナルが盛り上がっている証拠、世界最高峰のバスケットボールを1試合でも多く観戦できることはありがたい限りです。 

1試合でも多く……そう2016 NBAファイナルは第4戦を終えた時点で前年度チャンピオンのゴールデンステイト・ウォリアーズが3勝1敗とシリーズ王手。逆境に追い込まれたクリーブランド・キャバリアーズ。NBAファイナルの舞台で彼らの立場から逆転優勝したチームは過去に無く、大方の見方は大勢が決しており勝負は第5戦でつく、といったものでした。 

ところが第4戦途中で交錯したドレイモンド・グリーンとレブロン・ジェームズのイザコザをNBAが精査したところ、第5戦が始まるまでにグリーンに対してレブロンの下腹部への不必要な接触をフレグラント1、レブロンの威嚇行為に対してテクニカルと判定。これによりグリーンはプレイオフ期間中のフレグラント・ポイント(フレグラントには1、2の2種類があり。危険なファウル、不必要な接触が発生した場合に宣告。試合中にフレグラント2が宣告されると1発退場ともなります)が累計4に達し、1試合の出場停止処分が言い渡されました。 

レブロンの挑発に乗ってしまい墓穴を掘った形になったグリーン。当然第5戦を待つ数日間、両チームの間で思惑は渦巻き、会見場、SNS上、様々な場所で処分が正当だったかどうかを含め物議を醸したのは皆さんご存知の通り。 

そして結果もまたご存知の通り。 

ファイナル史上初めて2人のチームメイトが同一試合で40得点超え。『特別であれ』とレブロンが声をかけ続けてきたカイリー・アービングは神がかっており、タフショットと呼ばれる難易度の高いシュートを次から次へと沈めて見せれば、レブロンも今季プレイオフ最多8本のペイント外のシュートを決め、外角を沈めることで今でもリーグ随一の破壊力を持つことを改めて証明。昨年ファイナルに続いて第5戦終了時点ではいまだ勝敗で劣勢のキャバリアーズの選手でありながら、レブロンこそファイナルMVPに相応しいとの意見が沸き立ちます。 

同時にウォリアーズのこれまでの成功にグリーンが果たして来た役割も明確化。伊達に今季ウォリアーズが勝利したレギュラーシーズン、プレイオフの合計88試合全てに出場したチーム唯一の選手ではないと感じさせてくれました。 

出場停止を受けているときはアリーナにも入れないというリーグの規定から、オラクルに隣接するMLBオークランド・アスレチックスのコロシアム内、スイートルームで試合を観戦したグリーン、当然ながらチームに迷惑をかけた……その気持ちを『痛々しかったよ。人生で一番変な1日だった。感情があちこちに飛び回って、興奮しているとき、イライラしているとき、落ち込んでいるとき、ローラーコースターのようだった』とコメントをしているのです。と、同時に、彼の性格を考えると『俺の重要性が分かったか。6戦で決めれば丸く収まるぜ』と想像してもあながち間違っていないはず……でした。 

ところが第6戦の結果もみなさんすでにご存知ですよね。 

そんなこんなでグリーンの欠場は直接、または間接的に、レブロン&アービングの第5戦の歴史的な活躍をもたらし、第6戦ではレブロンが16年ぶりとなるファイナルでの2試合連続40得点以上でチームを導き前年王者から2連勝をもぎ取って、2016年の決着はNBAファイナル第7戦へと持ち越し。 

もはや運命は神のみぞ知る! といった状態でしょう。

そしてもうひとつ、第6戦に歴史が誕生しました。 

それが奇抜なスーツで知られる、TNTのお洒落サイドラインリポーター、クレイグ・セイガーさんの登場です。

NBA中継でお馴染みセイガーさん、もはや伝説の方と申し上げて間違いはないのですが、なんとキャリア30年以上にしてNBAファイナルでのリポートは初!! これまで彼が勤める放送局TNTではなくABC/ESPNがファイナルを放映してきたことがその要因なのですが、2つの放送局が折り合いをつけ第6戦のリポーターに抜擢されたのでした。

第6戦でのリポーター抜擢発表を受けてセイガーさんは『ターナー(TNT)とESPNの両局に対してファイナル放送チームの一員となるべくこのような機会を与えてくれて感謝しています。このシリーズはとても注意深く観戦しております。ファイナルそのものから気をそらせたくはありませんが、とてつもなくエキサイティングになるであろう第6戦を直に観戦する事を楽しみにしています。NBAのコミュニティと言うのはとても素晴らしいもの、この機会を大変光栄に思います』とコメント。 

ただ、なぜセイガーさんは自身の存在を“ファイナルから気をそらす”ものといったのでしょうか。 

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文:佐々木クリス( WOWOW NBA ONLINE Twitter: @chrisnewtokyo

WOWOW NBA ONLINE 6月17日掲載 「Vol.227 佐々木クリスが語る『ドレイモンド・グリーン第5戦出場停止がもたらした奇跡』」より


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