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[コラム]“スニーカー・フリーエージェント”、ジョン・ウォールの葛藤(佐々木クリス)

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What's up!? どうも! 佐々木クリスです! もうすぐシーズンも折り返しですが、シーズンが熱過ぎて今年は暖冬ですね。ところで、みなさん頑張ってオールスター投票していますか? トロントでの開催が待ち遠しいですねー。さて、今回はオールスター! とは全く関係ありません。それではLet's go!

NBA情報をいろいろとチェックしながら今回のコラムはどうしようと思案していると、ふと目についたワシントンポストの記事

この記事によると、2年前に来日も果たしているワシントン・ウィザーズのジョン・ウォールが今までの代理人を解雇し、レブロン・ジェームズと旧知の仲で彼の代理人でもあるリッチ・ポールと新しく契約する見込みだというのだが、僕のTwitter(@chrisnewtokyo) でこの記事の情報を流した後も、どこか頭の片隅に残っていた。

というのは、この記事の中に昨年9月からウォールは“スニーカー・フリーエージェント”だという記載があり、僕も兼ねてからこの事実が気になっていたからだ。

“スニーカー・フリーエージェント”とは、現在どこのシューズメーカーとも契約下になく、どこのブランドでも履ける=どことでも契約できるということだ。もちろん契約してくれる相手があってのことだが……。

先ほども書いた通り、ウォールは2年前に来日。彼の情報を集めている人なら『え!? アディダスじゃないの?』と疑問に思ったはずだ。実際にアディダスはシグネチャーモデルのリリースに併せてアジアツアーを企画したし、ウォール本人とも綿密な打ち合わせを経てウォールのロゴを創り、シューズは2作目まで販売されていた。来日した際のウォールのワクワク感、誇らしげな顔、アディダスブランド以外のものにはサインしない忠誠心の強さ、もしくはビジネスマンとしての徹底振りも感心させられるものだった。

そんな彼がいまや無所属で、“シーズン序盤はロイヤリティにも繋がるので自身のモデルを着用していたが、最近はNIKEを着用している”と、記事に紹介されている。

このコラムでもたびたびNBA選手の着用シューズへのこだわり、特にシグネチャーモデルを持つことのステータスについては書かせていただいているが、今回のケースもこれに該当すると僕は思っている。

ウォールは前代理人を解雇してから15日空かないと正式に新しい代理人とは契約できない。記事はシンプルに事実を記してあるが、さらに特筆すべきはヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンが、昨夏にアディダスと結んだ2億ドルという巨額な契約やリッチ・ポールのかかえる10選手中9選手がNIKEとの契約下にあるということだろう。

ウォールはチャリティーにも積極的で、今季12月のイースタン・カンファレンス月間MVPにも選ばれている通り、ポイントガード(PG)が花形である現代のNBAにおいてその選手としての価値は疑いようがなく、シーズンMVPのダークホースと推す専門家もいるほどだ。

それは恐らく本人が人一倍信じていることだろう。信じるだけでなく、実際に価値に見合った注目をされないことにいらだちを隠さず口にする正直な選手でもある。

昨年7月に、かつてオクラホマシティ・サンダーでは控えPGにすぎなかったレジー・ジャクソンが巨額の契約をデトロイト・ピストンズと結んだときも、その不快感をあらわにしたし、今季のオールスター投票でここまで10試合の出場に留まるクリーブランド・キャバリアーズのカイリー・アービングが得票数で自分より票が多く、先発に選ばれる位置にいることも『あり得ないよ』と不満のようだ。

手を複雑骨折してもなお昨シーズンのプレイオフで強行出場をした彼らしい競争心がそこにはある。恵まれた運動能力だけではない、すべからくオールスター級のNBA選手の競争心は、近づくものを時に斬りつけるほどの鋭さにあると個人的には思っているし、それが彼らの努力の源だと思っている。

R・ジャクソンはタイミングが悪かった。来季から膨大なテレビ放映権料の恩恵で格段に上がるサラリーキャップの影響で、単純にウォールとジャクソンの金額を比べることはできなくなった。景気が上がれば給与も上がる。どこかで聞いたようなフレーズだが、市場拡大で上がるサラリーに妬いても仕方がない。ウォールには是非、次回のFAでジャクソンを超える額の年棒を目指していただきたい…… >>>コラムの続きはWOWOW NBA ONLINEでチェック!!

文:佐々木クリス( WOWOW NBA ONLINE Twitter: @chrisnewtokyo

WOWOW NBA ONLINE 1月15日掲載 「Vol.194 佐々木クリスが語る『J・ウォールの葛藤』」より

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ