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[コラム] 佐々木クリスが語る 『フォア・ザ・レスト(For the Rest)』

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What’s up!? みなさんお元気ですか? 気温が少し春めいて来ましたが、WOWOWのスタジオでは花粉症の方が日々苦しんでいる今日この頃です。

さあ、最近はポストシーズンを占うような対戦がNBAで日々行われていますね。その中でもいくつかの試合の後に僕が感じたことを皆さんと一緒に考察したいと思います!

東西の首位対決となったアトランタ・ホークスvsゴールデンステイト・ウォリアーズ。ロードで今季NBA1番の成績を残しているホークスが、ホームでの成績がトップのウォリアーズ・ホームに乗り込んだ試合でもありました。互いに主力であり、リーグ屈指のシューターであるカイル・コーバー、クレイ・トンプソンを欠き、ゲームは必ずしも我々ファンが期待した内容とはなりませんでした。

戦術的なことを言えば、シューターを欠いてより大きな影響を受けたのはホークス。シーズン中から“どこでも、誰でも”脅威になれる事を信条としているホークスでしたが、いちばん味方のためにスペースを創ることに長けている選手がいないだけで、高確率のシュートを打つことに苦しみました。相手チーム100回の攻撃権あたりの失点がリーグ最小とディフェンス力があるウォリアーズはこの好機を見逃しませんでしたね。
 
試合中の解説でも何度かお話しさせていただいていますが、今季のウォリアーズはシーズンの“序盤”からプレーオフ、ファイナルを見据えて戦っていると常に感じます。それはトンプソンを欠くこのホークス戦とて例外ではなかったと思います。

これを理解するためには昨季プレーオフでのロサンゼルス・クリッパーズに対するシリーズ敗退に遡る必要があります。昨季攻撃面でステファン・カリーの速攻やピック&ロールにかなり頼っていたウォリアーズ。それ以外のオフェンスはトンプソンにスクリーンをかけるか、トンプソン、ハリソン・バーンズ、デイビッド・リーのポストアップがほとんどでした。

そこでクリッパーズはシリーズ勝利のため、“カリー”潰しに打って出たわけです。100%カリーを止めることは不可能だとしても、勝利の可能性がより高い戦法に賭けた。そして接戦の末、シリーズ制覇。

今季のウォリアーズはヘッドコーチの交代こそあったものの、昨季の反省を胸に携え、カリーに依存しない、カリーをトラップしても他の選手がきっちり状況判断出来ることを心がけて、ずっと取り組んできています。そう考えるとアンドレ・イグダーラをベンチから起用することの意義、トンプソン、ドレイモンド・グリーンの成長は緻密に計算されたものと振り返って納得していただけると思います。

ウォリアーズもまた“どこでも、誰でも”脅威になれることを信条として生まれ変わり、今季を戦ってきたということです。居たほうが何倍も良いが、先発センターであるアンドリュー・ボーガットを怪我で欠いても、トンプソンを怪我で欠いても“勝てる”チームに仕上がって、いや仕上げて来ているのです。
 
例年この時期になると、プレーオフ進出を確実にしたチームが主力級に休養を与え、出場時間を減らして今後の戦いに備えるといった戦法に出ます。昨季平均出場時間が30分を超える選手が1人も居ないまま優勝した史上初のチーム、スパーズがまさに得意としていることですね。  >>>続きはWOWOW NBA ONLINEでチェック!!

文:佐々木クリス( WOWOW NBA ONLINE Twitter: @chrisnewtokyo

※ WOWOW NBA ONLINE 3月20日掲載コラム「Vol.163 佐々木クリスが語る『フォア・ザ・レスト(For the Rest)』」より

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