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リオデジャネイロ・オリンピックに出場するかどうかは個人の選択

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リオデジャネイロ・オリンピックに向けて、ジカ熱だけでなく、水泳やカヌーが行なわれる水辺でのスーパーバクテリアの問題もニュースになった。アメリカのアスリートたちには、国のために競う不変の義務があるが、大陸的なパンデミックを避けるために家に残るという道徳的義務もある。

「行く」と言うことも「残る」と言うことも難しいのだ。だが実際には、選択はそれ以上に個人的なことである。

政府が禁止していないだけに、アメリカのアスリートたちに辞退を求める論理的理由はない。一方で、スポーツは戦争ではないのだ。オリンピックの期間に忘れることは難しいが、これはスポーツなのである。資格を持つアスリートがさまざまな理由で欠場することはあり、その理由を誰かに説明する必要はない。

だが、特にオリンピックで金銭や露出を必要としない選手たちにとって、特にNBAの選手たちにとって、リオで健康を損なうリスクを負う必要はあるだろうか? そこに何があるのだろうか?

米国男子バスケットボール代表候補31名のうちすでに、ステフィン・カリー(ひざ)、ラマーカス・オルドリッジ(指)、クリス・ポール(手)、アンソニー・デイビス(ひざと肩)、ジョン・ウォール(ひざ)が負傷で辞退を表明している。ラッセル・ウェストブルックとジェームズ・ハーデンは、明確な負傷ではない理由で辞退した最初の選手たちだ。

だが、実際は「出る気がしない」というだけで十分なのだ。2012年大会で金メダルを獲得している彼らにとっては特にそうだろう。

当然である健康への心配や、アメリカ代表が給料を支払うわけではないこと、そして決断を説明する必要がないことから、ウェストブルックとハーデンはすでに十分なことをやってきた。彼らは、「ノー」と言うための権利を勝ち取る必要さえもないのである。7月の大半を検査に費やさなければいけない必要はない。

一方で、例えばボストン・セルティックスのアイザイア・トーマスは、カリーやポール、ウォールが出場しないのであれば、議論するまでもないという。彼は、「アメリカ代表でプレイするチャンスが欲しい! その歴史を見て、小さなガードはトライアウトにすら選ばれないんだ」と述べている。

トーマスにとっては今回が唯一のオリンピック出場の機会かもしれない。彼にとっては、意味のあることなのだ。

トーマスは非常に優れたNBAの選手であり、ほかの国の先発ポイントガードより優れているだろう。情状酌量の余地がある変わった理由の数々がなければ、このチャンスを手にすることはなかったはずだ。1週間、発熱と発疹があっても、たいした代償ではないのである。

だから、スーパースターたちが辞退しても、何を気にする必要があるのだろう? ウェストブルックたちがいなくても、ケビン・デュラントがいる。ハーデンがいなくても、レブロン・ジェームズがいるではないか。

原文: Why would any NBA superstar want to risk his health at the 2016 Rio Olympics? by Sporting News(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ