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クラッチタイムに強い今季のバックス

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11月10日(日本時間11日)にAT&Tセンターで行なわれたサンアントニオ・スパーズ戦の第4クォーター終盤、それまで4勝6敗の成績で同試合に臨んだミルウォーキー・バックスに対し、スパーズはマヌ・ジノビリがスクリーンを有効に使ってドライブを仕掛け、ジョン・ヘンソンのファウルを誘いながらジャンプショットを成功させた。この試合が行なわれた時点で、スパーズはホームでの直近270試合中230試合近くに勝利を収めていた。そんなスパーズを相手に、バックスは89-87にまで詰め寄られた。

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だが、ここ20シーズンで、バックスよりも“クラッチタイム”で優れたチームは、2008-09シーズンのクリーブランド・キャバリアーズしかいない。

ここで言うクラッチタイムとは、第4Q残り5分以内で5点差以内の展開のことを指す。バックスは、12月9日(同10日)のユタ・ジャズ戦を終えた時点で、今季45分間のクラッチタイムを経験し、同時間帯に122点を記録しつつ、失点をわずか75点に抑えた。これはクラッチタイムの守備力としては直近20シーズンで最も圧倒的な数字だ。

今季のバックスは、先述のスパーズ戦(94-87で勝利)、10月18日(同19日)のボストン・セルティックス戦(108-100で勝利)を含め、同条件となった試合で10勝3敗という戦績を残している。

だが、この数字に何か意味はあるのだろうか? ただランダムに発生する小さな出来事の一種なのだろうか?

興味深い数字がある。今季のバックスは、攻撃権の回数を示すペースが、クラッチタイムではリーグ7位なのに対し、それ以外の時間では同26位という数字を残しているのだ。

その大きな要因の1つには、バックスがクラッチタイムにリーグ最多のターンオーバーを対戦相手に強いていることが挙げられる。つまり、相手のミスを誘い、速い展開に持ち込んで得点を量産しているということだ。仮に、今後バックスが接戦の終盤に現在と同様の割合で相手のターンオーバーを引き出せないとしても、終盤に相手の攻撃を遅らせることができれば、何かに繋がるかもしれない。

バックスのクラッチタイムを引っ張っているのは、ヤニス・アデトクンボ、エリック・ブレッドソー、クリス・ミドルトンの新ビッグ3だ。この3選手それぞれがコートに出ていた時間帯と、ベンチに下がっていた時間帯との得失点差を表すプラスマイナスを見ると、その凄さがわかる。

ここまでのクラッチタイム合計104分間に記録した3選手のプラスマイナスの合計は、なんと+119にのぼる。アデトクンボは同104分間に5スティール、3ブロック、ブレッドソーはフィールドゴール14本中7本成功、ミドルトンは獲得したフリースロー18本を全て成功させ、バックスはこれらの試合で7勝0敗をマークしている。もっとも、ビッグ3だけではなく、マルコム・ブログドン、トニー・スネル、ヘンソンも、出場したクラッチタイム合計70分間で1回もターンオーバーを記録していない。

数字上の話など、あまり大したことではないかもしれないが、少なくとも、今のバックスの主力が、プレイオフのような重圧のかかる試合で実行できるプレイのヒントにはなり得る。

今季のバックスは、第4Qに記録した相手との得点差がリーグ29位の-2.4なのだが、それは単に勝負を決めるのに終盤までもつれる試合が多いことの裏返しでしかない。今季最もクラッチタイムが短いヒューストン・ロケッツは、試合の43分(残り5分)が経過するまでに勝負を決めてしまっている試合が多い。

アデトクンボは今季の平均出場時間でリーグ1位(37.7分)、ミドルトンが同6位(36.9分)の数字を記録している。つまり、今のバックスには、勝ち試合でまだスター選手に休養を与えられるだけの余裕がないということだ。

だが、あと少しのところまで来ている。彼らにはスター選手が生まれ、勝利という結果もついてきているのだから。

原文:WHY ARE THE BUCKS SO GOOD IN THE CLUTCH? by Alex Boeder/Bucks.com(抄訳)

Photo by Bucks.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ