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ウォリアーズは“悪役”なのか?

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レブロン・ジェームズとクリス・ボッシュがマイアミ・ヒートに加入した2010年、ヒートは一躍NBAを代表する“ヒール”扱いを受けることとなった。だが、『スリーキングス』結成1年目のNBAファイナルでダラス・マーベリックスに敗れて以降、2年目からは観る者を楽しませるプレイを見せ、2連覇を達成した。

それからわずか数年しか経過していないものの、今季のゴールデンステイト・ウォリアーズは、当時のヒートに酷似していると言わざるを得ない。昨季レギュラーシーズンで73勝9敗をあげ、NBA年間最多勝利記録を更新したウォリアーズの周辺では、彼らがリーグの悪役かどうか、という議論が起こっているほどだ。

先日、ステフィン・カリーが自宅で催したプライベートパーティでは、アルファベットが一字ずつ描かれた巨大な風船で、アメコミの主役に匹敵する人気を誇る悪役を意味する『SUPER VILLAINS』というワードを作ったのが話題となった。カリーは「お金のかかる風船ジョーク」と語ったが、『ESPN』のクリス・ヘインズ記者は、ウォリアーズ内にヒール意識は無い、と伝えた。


ケビン・デュラントは、ある日を境に突然『Super Villain』扱いされることに困惑すると、ESPNに語った。

「正直に言うけれど、『Super Villain』の意味がわからない。冗談ではなく真剣なんだ。どういう意味? わからない。本当に見当もつかない。(カリーの自宅での催しは)単なるパーティで、遊びのつもりでやったこと。何も別にに、『コートではヒールになろうぜ。周りの全員に怒りをぶつけよう』ということではないよ」。

だが、ドレイモンド・グリーンの存在を忘れてはならない。デュラントは、チーム内に“悪者”という単語が似合う選手はいるかと聞かれると、「ドレイモンドは悪者だね」と答えた。

「皆、彼が嫌いだからね。そういう役を演じているわけではなくて、彼そのものだから。彼は情熱を持ってプレイして、相手チームやファンを怒らせている。大学のときから変わっていない。きっと、多くの人は、『ドレイモンドがいるからウォリアーズは悪者だ』という見方をしているだろうね。でも、それが彼という人だから。それがドレイモンド・グリーンをドレイモンド・グリーンたらしめている」。

思ったことを口に出すグリーンの言葉は、スイス・アーミー・ナイフ級の切れ味を持つ。11月18日(日本時間19日)にTDガーデンで行なわれたボストン・セルティックス戦後には、デュラントが移籍しなかったことで選手本人に罵声を浴びせたセルティックスファンに苦言を呈し、翌19日(同20日)ハリス・ブラッドリー・センターで行なわれたミルウォーキー・バックス戦の最中には、重要な局面で相手のプレイを守備で止めた後、「勝負を決める得点を自分に求めるのは敬意を欠く行為だ」と話し、積極姿勢を欠いたチームメイトを戒めた。

そんなグリーンはESPNに、「皆、自分たちに悪者になってもらいたいと考えているんだと思う」と、語る。

「悪者になってもらいたいと考えられているても、気にならない。前にも話したように、気にしていないから。腹も立たない。家に帰ってから、『皆が俺を悪者だと思って見ているよ』なんて考えたりはしない。ただの冗談のつもりで周りが言っているだけだと思っているよ。もし本気なら、悪者になってあげるよ」。

グリーンは、誰がチームに加わろうと、どんな陰口を叩かれようと、チームの試合に対する準備は一切変わらないとも言う。

「これまで通り。『自分は大物』、『自分は悪者』とか、ああだこうだ言う連中もいるだろうけれど、僕たちは違う。姿勢が変わることでアプローチの仕方が変わるのは、問題になりかねない。チームは何も変わっていない。試合前の掛け声も変わっていないし、コートへ向かう前にステフが言う台詞も変わっていない。決して、『いいか皆、周りが俺たちを嫌っている。さぁ、やってやろうぜ』という感じではないよ。そんなこと誰が気にするって言うんだ?」。

原文:Golden State Warriors not about to pay much attention to villains label by NBA.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ