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第5戦敗戦も主導権はいまだウォリアーズにあり

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6月13日(日本時間14日)にオラクル・アリーナで行なわれた2016 NBAファイナル第5戦で、ゴールデンステイト・ウォリアーズが97-112で敗れたという結果に違和感を覚えるとすれば、それは今季のウォリアーズにとって初体験の出来事が起こったからだろう。

今季はプレイオフを含め、ウォリアーズはファイナル第5戦までホームでわずか3敗しか記録していなかった。第5戦の雰囲気は、いつものようにウォリアーズファン一色で、ドレイモンド・グリーンの出場停止処分に繋がった小競り合いを起こしたクリーブランド・キャバリアーズのレブロン・ジェームズに対する反応からか、試合前から会場内は騒々しかった。

憎きキャブズを下し、ホームで2連覇達成という舞台は整っていた。だが、ウォリアーズは今季初めて、ホームでの試合で二桁得点差で敗れた。

前半からジェームズとカイリー・アービングを中心とするキャブズのオフェンスが目立った。それでもいつものウォリアーズならば、絶え間なくシュートを成功させ続けるオフェンスと、強力なプレッシャーをかけ続けるディフェンスで、対戦相手のベストプレイヤーの勢いを消し去り、勝利をものにする、というケースが多い。

この日も、クレイ・トンプソンが前半終了までに12本中8本の3ポイントシュート成功を含む26得点を決めるなど、その予兆はあった。オクラホマシティ・サンダーとのウェスタン・カンファレンス・ファイナル第6戦で、プレイオフ新記録となる11本の3P成功を含む41得点をあげたときのように、チームの窮地を救ってきたオールラウンドシューターの活躍により、ウォリアーズが歴史的なシーズンを連覇という形で締めくくるかと思われた。

しかしながら、チームの失速と共に、トンプソンのリズムにも変化が生じ、後半は8本中3本しかシュートを決められなかった。チームとしても、特に第4クォーターはオープンな状態での失投が続き、後半は21本中3本しか3Pを成功させられなかった。

この試合でキャブズは、ジェームズとアービングがそれぞれ41得点をあげ、NBAファイナル史上初めて同一チームの2選手が揃って40得点以上をマークする記録を生んだ。

それでもウォリアーズがクリーブランドでの第6戦を楽観視できる要因は少なくない。

ウォリアーズは、第5戦でキャブズに試合を通じて3P成功率53%を許したものの、第3Q終了時点での点差はわずか9点(84-93)だった。第4Qのシュートミスでキャブズの勢いを止められなかっただけにすぎない。

勝てばプレイオフシリーズ勝ち上がりが決まる試合に敗れたのは、スティーブ・カー・ヘッドコーチ就任からの2年間でわずか2度目だ(3勝0敗で迎えたヒューストン・ロケッツとの2015年カンファレンス・ファイナル第4戦以降初めて)。また、プレイオフシリーズでの第5戦で敗れたのは、カーHC就任以降初めてのことだった。

トンプソンは試合後、自身のシュートセレクションが悪かったと自分を責めたが、同時に、「彼は驚異的な選手。特にオフェンス面ではね。彼に苦しめられた」とも話し、アービングのパフォーマンスを称賛することも忘れなかった。

第6戦では、フレイグラントファウルの累積ポイントによって第5戦の出場停止処分が科されたグリーンも復帰する。きっとウォリアーズの面々は、今までのやり方を貫き、2連覇を決められると感じているはずだ。

グリーン不在の第5戦では、カーHCは、第1Qだけで10選手をコートに送り出し、機能する方法を探そうとした。それにもかかわらず、61-61の同点で前半を折り返すことができた。試合を通じて苦労させられた印象は強いものの、第4Qには逆転可能な範囲までキャブズを追い詰めてもいる。

第5戦で左ひざを痛めたセンターのアンドリュー・ボーガットは、14日(同15日)のMRI検査の結果次第だが、おそらく第6戦を欠場するだろう。しかし、今季2連敗を喫したのはわずかに1回という事実、そしてグリーンが復帰することを考えれば、シーズンを通じてウォリアーズの強みとなっているスモールラインナップで第6戦に臨む可能性は高い。彼らはチームにとって適切な手法を取り、2年連続でクリーブランドで優勝を決めることを目論んでいるのだ。

王者は、第5戦でキャブズのベストショットを浴び続けた。だが今度は、敵地での第6戦でノックアウトパンチをお見舞いする番だ。第5戦は残念な形で敗れたとはいえ、ウォリアーズはいまだにチームが有利な状況にいることを理解している。

原文:Don't be fooled; Warriors still are in control of NBA Finals, and they know it by Alex Wong/Sporting News(抄訳)


[特集]2016 NBAファイナル: ウォリアーズ vs キャブズ


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ