NBA

ウォリアーズを苦しめたサンダーの“死のラインナップ”

Author Photo
Sporting News Logo

ウェスタン・カンファレンス・ファイナル第3戦、第1クォーター残り7分32秒、オクラホマシティ・サンダーのビリー・ドノバンHCは、センターのスティーブン・アダムズを下げてガードのディオン・ウェイターズを送り出した。対するゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHCは、センターのアンドリュー・ボーガットに代えて別のセンター、フェスタス・エジーリを投入した。

これでサンダーはウェイターズ、ラッセル・ウェストブルック、アンドレ・ロバーソンとガードが3選手に。ケビン・デュラントがパワーフォワードを務め、フォワードのサージ・イバカがセンターに入った。一方、ウォリアーズは伝統的なセンターがコートに立つ形だ。

サンダーの方がスモールラインナップにしたのである。これは普段のウォリアーズがやることだ。だが、今回はウォリアーズがサンダーの「死のラインナップ」に苦しむことになったのである。

ドノバンHCは試合後、「あれで攻撃面でのスペースをもう少しつくることができた」と明かした。

「ボールハンドラーが何人かいたことで、ラッセルとケビンを一緒にプレイさせることができた。アンドレもスペースを手にすることができたと思う。ディオンにもいくつかのチャンスにつながった。前半はあれが少し起爆剤になったと思う」。

少しの起爆剤? 実際には、このスモールラインナップは第3戦の鍵となった。サンダーのリードは14-11から30-20と広がっている。この間に16-9と突き放したのだ。サンダーは第2Qでアダムズを再び入れる前にわずかな時間でスモールラインナップを使い、2-0とリードを広げている。

そして55-44でリードしていた第2Q残り4分42秒、ドノバンHCは再びアダムズを下げる。ここから再びサンダーの「死のラインナップ」が発動し、残り27秒でデュラントをベンチに下げるまで、14-3とウォリアーズを突き放した。ここで69-47と試合の大勢を決めたのだ。

スモールラインナップでスペースができたのは明らかだ。前半、サンダーはこのラインナップで7本の3ポイントシュートを放ち、3本成功させている。2ポイントシュートは11本のトライで8本成功。そのすべてがダンクかレイアップだった。

最も重要なのは、このラインナップでのトータルスコアでサンダーが32-12と上回ったことだ。

だが、ドノバンHCがその効果を最小限にしか語らなかったのも理解できる。彼にとって気乗りしない、レギュラーシーズンで落胆させられたラインナップなのだ。NBA.comのスタッツによると、今季このラインナップは25試合で採用されたが、平均プラスマイナス(得失点差)は48分換算でマイナス32点という数字に終わっている。

また、ドノバンHCは守備的な観点から少しラッキーだったことも理解している。ウェストブルック、ウェイターズ、ロバーソン、デュラント、イバカを相手に、前半のウォリアーズはフィールドゴール22本中5本成功にとどまった。ステフィン・カリーは6本中成功なし、ドレイモンド・グリーンはレイアップを4本外し、そのうちの2本はデュラントにブロックされている。これが常に起きることを期待するほど愚かなコーチはいない。

第1戦の記憶もある。ドノバンHCは残り4分5秒でスモールラインナップにしたが、7-14とうまくいかなかったのだ。後半はアダムズかエネス・カンターが常にコートに立ち、挽回して勝利を手にしたドノバンHCだが、第2戦ではスモールラインナップを使わなかった。

それでも、スモールラインナップを選択肢の一つとし続けたことは、ドノバンHCの功績だ。これはボーガット、エジーリ、アンダーソン・バレジャオをローテーションし、サンダーのサイズに合わせようとするカーHCのゲームプランを崩壊させた。

カーHCが誇る「死のラインナップ」ほど、ドノバンHCはウェストブルック、ウェイターズ、ロバーソン、デュラント、イバカのラインナップを信頼していないかもしれない。カーHCが対応策を見つける可能性もある。だが、少なくとも第3戦では致命的な打撃を与えたのだ。

原文: Thunder unveil their own 'Death Lineup' that could prove fatal to Warriors by Sporting News (抄訳)


2016 NBAプレイオフ試合結果


著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ