NBA

ラプターズの救世主、ビズマック・ビオンボ

Author Photo
Sporting News Logo

トロント・ラプターズは、クリーブランド・キャバリアーズとのイースタン・カンファレンス・ファイナル第4戦に105-99で勝利し、シリーズ対戦成績を2勝2敗のイーブンに戻した。ラプターズを勝利に導いたのは、フィールドゴール合計43本中28本を成功させ、67得点をあげたカイル・ラウリーとデマー・デローザン(ラウリーは35得点、デローザンは32得点)の2人だった。

第1戦から2連敗を喫した時点では、誰も想像していなかったことが現実に起こっている。ラウリーとデローザンのプレイもさることながら、ラプターズが勝利した第3、4戦の勝負所を振り返ってみると、そこには必ずビズマック・ビオンボの存在があった。

103-99とラプターズが4点リードで迎えた第4戦の第4クォーター残り1分12秒、ビオンボはJ.R.・スミスの3ポイントシュートをブロック。このディフェンシブリバウンドをパトリック・パターソンが掴むと、ラウリーがジャンプシュートを外したものの、ゴール下にはビオンボの姿があり、オフェンシブリバウンドを獲得した。ラプターズのタイムアウトを経て迎えた残り22.5秒、ラウリーがドライブからスミスをかわしてレイアップをねじ込んで勝負をつけたわけだが、この場面でも、トリスタン・トンプソンを抑えるビオンボの好プレイがなければ、ラウリーの得点は生まれなかったかもしれない。

すでに十二分の活躍を見せていたビオンボだったが、残り4.9秒、カイリー・アービングが3Pを外した後のリバウンドを確実に奪うと、ホームのスタンドから“MVP!”チャントで称えられた。

2016 プレイオフに入ってからのビオンボを見ていると、1年前の夏、シャーロット・ホーネッツが、適正価格と見られた400万ドル(約4億3900万円)のクオリファイングオファーを提示することを拒んだ選手を見ているとは、到底思えない。

今でこそチーム内のディフェンスでの役割を理解し、リム周辺の番人として活躍するビオンボの姿を見られているが、少し前までは、成長速度も十分とは言えず、ボールをキャッチしてもターンオーバーを記録するなど、苦しい時期も経験した。

それが今では、球団史上初のNBAファイナル進出まであと2勝に迫っているチームの核を担う選手にまで成長したのだ。

第3、4戦での合計ブロック数(7)と、フィールドゴール試投数(10)がほぼ同じことを考えれば、ビオンボ自身が今後もオフェンスでの役割に混乱することはないだろう。得点を決めるのは、ラウリーとデローザンの仕事だからだ。今シリーズで勝利した2試合で7ブロック、40リバウンド(第3戦ではプレイオフ戦での球団記録26リバウンド、第4戦では14リバウンド)をあげたことで、ビオンボは自分の仕事が何かを把握し、瀕死の状態にあったチームを救った。

ビオンボの活力はチーム内にも浸透している。ウサイン・ボルトのようなポーズを決め、ディケンベ・ムトンボのようにブロックを決めた後で指を左右に振ってみせる。ときには試合中に笑顔を見せ、手を叩き、コート上で喜びを享受しているかのように振る舞う。いや、彼は心から楽しんでいるのだろう。ビオンボの活躍なくして、2016 プレイオフでラプターズが成功を収めるのは不可能だ。

ラプターズも、ビズマック・ビオンボも、もし出会っていなければ、今この舞台には立っていなかっただろう。まさしく、“パーフェクトマッチの関係”、と言って良い。

原文:Bismack Biyombo is the heart of Toronto and a joy for fans everywhere by Jordan Greer/Sporting News


2016 NBAプレイオフ試合結果


著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ