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2015-16 戦力分析:デンバー・ナゲッツ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、デンバー・ナゲッツ編を紹介しよう。  

2015-16 NBA全30チーム戦力分析 


新選手、HC:エマニュエル・ムディエイ、マイケル・マローンHC、コスタス・パパニコラウ
 
退団選手:タイ・ローソン

2014-15シーズンが開幕する前の時点では、デンバー・ナゲッツの現状は悪化することはないと思われていた。しかし、現実は違った。その結果、オフには大きな見返りを得られないままチームのベストプレイヤーを放出することに。

オールスター級の実力者でありながらも素行に問題のあったタイ・ローソンの扱いに困り果てていたナゲッツは、オフにローソンが飲酒運転で逮捕されたことで見切りをつけ、ヒューストン・ロケッツへのトレードを決断。ナゲッツにとって1つの転換期になったことは間違いないだろう。

まず新HC探しから始めたナゲッツは、サクラメント・キングスでHCを務めたマイケル・マローンの起用を決めた。マローンHCがキングスを解雇された理由は、デマーカス・カズンズとの衝突ではなく、気まぐれなオーナーとの対立によるものだった。NBAで長期に渡りアシスタントコーチを務めた父を持つ新HCは、選手と良い関係を築ける性格の持ち主で、高く評価されている。ブライアン・ショー前HCによる実験が失敗に終わり、選手との関係性に亀裂が生じていたことを考えれば、たしかな人選だった。

大物選手を獲得する金銭的余裕の無いナゲッツが次に取った行動は、現有戦力であるダニーロ・ガリナリ、ウィルソン・チャンドラーとの延長契約締結だった。ここ2年けがに苦しみ本来のプレーができていないガリナリだが、昨季終盤戦は良いプレーを見せ、完全復活の兆しを示した。もし健康なら、得意のアウトサイドシュートなど、得点力でチームに貢献してくれる。そして、スウィングマンとして定評のあるチャンドラーをチームに残す安全策を取った。

問題はローソンが抜けた穴をどう埋めるかだったが、これも神様の恵みか、あるいは哀れみか、ドラフトで適任者の指名に成功する。

ナゲッツは、NBAで戦えるサイズを持ち、1年間中国リーグで武者修行を積み、選手として成熟したエマニュエル・ムディエイを7位で指名。NBAでの実績はないが、可能性を感じさせる人材を育てるため、チームはベテランのジャミアー・ネルソンと再契約を結んだ。プロフェッショナリズムに通じ、ハードワークを厭わないネルソンの助言は、ムディエイの成長に大いに役に立つと考えたからだ。

昨季30勝52敗に終わったナゲッツには、大物フリーエージェント選手、もしくはBリストの選手にとっても魅力的なチームではない。しばらくは強豪揃いのウェスタン・カンファレンス下位に低迷するだろうが、今はチームの総年俸を抑え、ロッタリーで将来有望な選手を指名する道を選択する方が健全だ。

来季は、ムディエイにNBAチームを率いる方法をミスから学ばせる時期として使うべき。今は期待値も小さく、ファンも今後のチームについて考えてくれているのだから、チーム再建を急ぐ必要はない。

今後のナゲッツは、ムディエイの成長、そして辛抱強いマローンHCの手腕にかかっている。来年、もしくは再来年もロッタリーに回る公算は高いだろうが、それがチームを正しい方向に導いてくれると期待したい。

原文: 30 Teams, 30 Days: Nuggets build around Mudiay, Malone by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ