6月8日(日本時間9日)に行なわれたNBAファイナル2018第4戦は、ゴールデンステイト・ウォリアーズが108-85でクリーブランド・キャバリアーズを下し、2連覇を達成した。試合後、ウォリアーズのスティーブ・カー・ヘッドコーチがメディアとの質疑応答に応じた。
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カーHC: 始める前に、キャバリアーズの素晴らしいシーズンを祝福したい。知ってのとおり、私はシーズン中に彼らをたくさん見てきた。我々はいつも彼らを注視しており、彼らには3つの異なるバージョンがあった。レギュラーシーズンの彼らを見る限り、ここに彼らがたどり着いたことには驚いたよ。そこまでのようには見えなかった。
だが、タロン・ルーHCがチームと一緒にやってきたことは明白であり、レブロン・ジェームズが日々やってきたことは素晴らしかった。彼らは見事に走ったんだ。最後は我々に多くのタレントがおり、彼らがやった以上の才能があって、タレントたちがこの優勝をもたらしてくれた。
しかし、キャバリアーズにはおめでとうと言いたい。では、質問をどうぞ。
――キャバリアーズがここまで来たことに驚いたとのことだが、自分たちについても同様に疑問を感じた時はあったか?
間違いなくあった。レギュラーシーズン最後の1カ月は本当に難しかったよ。プレイオフが始まったら良くなってほしいと願っていた。良い形で始められていなかったからね。最後の17試合で10敗したと思う。この旅路がいかに我々にとって厳しかったかを示している。我々は自分たちの守備を見出さなければいけないと分かっていた。
サンアントニオ・スパーズとの第1戦というプレイオフの最初に、ポップ(グレッグ・ポポビッチHC)はシーズンを通じて相手が最高の守備だったと言ってくれたと思う。ステフ(ステフィン・カリー)の負傷でアンドレ(イグダーラ)が代わりに入り、得点をあげ、多才ぶりを示し、あのシリーズで守備の心構えを植え付けてくれた。それで我々は動き出したと思う。
――カリーは第2戦でファイナル新記録となる9本の3ポイントショットを成功させた。今夜は37得点。ファイナルMVPに選ばれるのに、あとは何が必要なのか?
もちろん、MVPを受賞できればステフにとって良かっただろうけど、正直なところ、今の彼はそれほど落胆していないと思う。自分の周囲にタレントたちがいる素晴らしさの一つは、優勝できるということだ。2年前の我々は敗れた。第7戦でキャバリアーズに負けたのは厳しかった。それでステフが出てきて、タイトルを勝ち取ることを考えてKD(ケビン・デュラント)を“採用”したんだ。
当時のハンプトンでの話し合いに私もいたが、誰もファイナルで誰がMVPになるかなんて聞いていなかったと思う。一緒に優勝しようとか、そういうことだけだった。君らメディアはMVPについて記事を書けばいい。我々は気にしていないんだ。
――来年はあなたをボストンで待つべきか、それともここクリーブランドにまた来るべきか?
来年のことは、もっと後に考えるだろう。今夜は我々にとって祝う夜だ。NBAで優勝するのは本当に長期に及ぶ苦労なんだよ。9カ月も身を粉にして戦うんだ。そして4年連続でここファイナルにたどり着くのは…ルーHCともこのシリーズの前にオークランドで会った時に話していたんだ。ここに来るだけでも難しいことなんだよ。両チームとも4年連続で本当に大変なことを乗り越えてきたんだ。ただ、たどり着いてからは、我々が勢いに乗ったと思う。
――デュラント加入以降、スポットライトと称賛を共有しようというカリーの意欲をどうみたか?
それが彼という人なんだ。変わったわけじゃない。ステフはいつだって最も自分勝手ではない選手の一人だった。彼は本当に素晴らしい人なんだ。
これだけのコンビネーションを見られるのは稀だよ。以前も言ったが、もう一度言う価値がある。素晴らしい才能と謙虚さのコンビネーションだ。それがウチの大変な強みなんだよ。多くの面でそれが球団全体を方向付けている。
すべてはステフ自身なんだ。彼の家族やバックグラウンドに基づき、人生で彼が学んできたことなんだよ。彼が我々、彼がチームということだ。ただただ、素晴らしい人だよ。彼を指導できる私はとても幸運だ。
――この4年を戦ってきたが、コーチとして、対戦相手として、ジェームズと戦い、そのためのゲームプランを立てるのはどれほど大変なことなのか。
彼は本当にとんでもないよ。コートに立つたびに、彼はリングに向かうか、3Pを狙えるシューターの一人を見つける。彼自身も3Pの脅威を加えた。最初にここで対戦した時に、我々は彼のショットを恐れていなかった。彼のパワーやペネトレーション、パスを恐れていたんだ。でも、今はすべてが怖い。
5年前の時点ですでに歴代トップ5の一人だったということが、何よりもジェームズという選手を証明していると思う。5年前から今まで、彼は10倍もうまくなったようだ。たくさんのスキルを加えてきたのだからね。
いつもマイケル・ジョーダンやジェームズのことを聞かれるが、答えるのは難しいんだ。私に分かるのは、2人は私が見てきた中で最高の選手たちということだけだよ。彼らは非常に異なる選手たちだ。ただ、君らがランク付けをしたいといっても、彼らはまったく同じだよ。
――デュラントが加入したのは、キャバリアーズがあなたたちを倒した翌シーズンのことだった。この2年は、ジェームズに対して何か違うことをしたのか。それとも、3勝1敗としてから逆転優勝された際にジェームズに何ができるか学んだのか。
本当に違うことは何もしていない。できる限り最善の仕事をし、彼の前で対峙しようとし、ファウルしないようにしなければいけないだけだ。我々は非常に多才な守備のロスターに恵まれている。
正直、シリーズの鍵の一つとなったのは、第3戦でアンドレが戻ってきたことだと思う。あれでほかの選手たちが安堵できた。ドレイモンド(グリーン)やKD、クレイ(トンプソン)がね。アンドレをレブロンにあてることができ、それでみんながいくらか休めた。あれで様相を変えることができたんだ。アンドレはリーグ有数の守備ができる。第3戦と第4戦では彼が素晴らしい仕事をしてくれた。
ジェームズを抑えようとしたりすることはない。彼に仕事をさせなければいけないだけだ。そしてここ2試合で我々はその点で良い仕事ができたと思う。
――4年間で3度目の優勝だが、今回が最も厳しかったか。ほかの2度の優勝時にはなかった挑戦などあったか?
4年連続でファイナルに戻ろうとしていたという点から、最も厳しかったのは確かだね。3年前にここに座っていた時のことを覚えている。夢のようだった。今回はもっと現実的だ。ごう慢と受け止めないでくれ。ウチにタレントがおり、経験を積んできたということだ。
でも、とても違う気分だよ。とにかくうれしいのは同じだが、3年前は優勝が信じられなかった。今は確かに信じることができる。ただ、大変だった。そしてどんどん難しくなるんだ。
来年はもっと厳しくなるだろう。オールスターまで私は表に出ないよ。いずれにしても私の言うことを聞かないだろうからね。ありがとう。
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