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NBAファイナル2017 第3戦 スタッツ分析:キャブズが試合終盤に沈黙

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2017年プレイオフのベストゲームと呼べる NBAファイナル第3戦 で、ゴールデンステイト・ウォリアーズはクリーブランド・キャバリアーズを118-113の僅差で破り、プレイオフでの成績を15勝0敗に伸ばした。

キャブズはレブロン・ジェームズとカイリー・アービングが合わせて55%のシュート率で77得点し、今シリーズ見せた中で最もオフェンスが機能した試合だった。しかしそれでも足りず、終盤ウォリアーズが6点差をかき消した。残り45秒でケビン・デュラントがこの試合で最も重要なシュートとなった逆転スリーを決め、ウェスタン・カンファレンスの覇者はそこからリードを失うことはなかった。

ボックススコア

NBAプレイオフ史上最も圧倒的な快進撃を見せるウォリアーズがここ3年で2度目の優勝にリーチをかける中、あるひとつの数字が目についた。

第3戦の基本スタッツ

ペース:103.3 - 48分換算の両チームの平均ポゼッション(攻撃機会)数

ゴールデンステイト

OffRtg:113.9
eFG%:57.8%
FTA/FGA:0.289
TO%:17.4%
OREB%:22.9%

クリーブランド

OffRtg:109.7
eFG%:51.1%
FTA/FGA:0.278
TO%:11.7%
OREB%:21.7%

※表記説明
OffRtg = 100ポゼッションでの平均得点
eFG% = (FG成功数 + (0.5 * スリー成功数)) / FG試投数
FTA/FGA = フリースロー試投数 / FG試投数
TO% = 100ポゼッションでのターンオーバーの割合
OREB% = 獲得可能なオフェンシブリバウンドのうち実際に獲得した割合

気になる数字

6 - 試合の最後にキャブズの攻撃が無得点に終わった回数

分析

残り3:09で、キャブズは素晴らしいドライブ&キックからJR・スミスがスリーを決め、113-107とリードを広げた。その時点でキャブズは94ポゼッションで113得点、1ポゼッションあたり1.20点というペースで得点していた。

そしてそこからこの試合最も長い無得点時間が続くこととなる。デュラントがスリーを外したあと、JR・スミスも1本外し、レブロン・ジェームズがオフェンシブリバウンドを取ったあとに出したパスをケビン・ラブがファンブルした。

その直後、キャブズが終盤最大のディフェンスでのミスを犯し、ステフィン・カリーが速攻でコートのど真ん中をドライブしてレイアップすることを許した。カイリー・アービングは次のプレイで、自ら外したシュートのリバウンドをドレイモンド・グリーンから奪うという素晴らしい動きを見せて持ち直したかのように見えた。しかしそのあと、アンドレ・イグダーラの上から放たれたジェームズのターンアラウンドシュートは外れた。

そこからデュラントがトリスタン・トンプソンの上からシュートを決め、ウォリアーズを2点差に引き寄せた。タイムアウト明けに、キャブズはカイル・コーバーのオープンコーナースリーという最高の形でシュートを放つも外れてしまい、ボールを拾ったデュラントがそのまま運び、ジェームズの上からスリーを決めた。

この時点でキャブズはタイムアウトをひとつしか残していなかった。第4Q途中にジェームズとアービングを少し休ませるためにひとつ余計にタイムアウトを使っていたのだ。アービングは後半フル出場し、ジェームズは第3Q終わり近くにわずか34秒ベンチに下がっただけだった。

キャブズのタロン・ルーHCはそこでタイムアウトを使わないことを選択し、アービングはクレイ・トンプソン相手にアイソレーションを仕掛けた。2-for-1(※クォーターの終わりに2回攻めて1回守るという時間の使い方)をする時間を残さないばかりか、厳しいステップバックスリーを外してしまった。アービングはこの日7本のスリーを全て外した。自身のキャリアで7本以上スリーを打ったのは114回(レギュラーシーズンとプレイオフ含む)あるが、全て外すのはわずか2度目だった。

キャブズはその酷いポゼッションのあと、デュラントをファウルするまで12秒を使ってしまうというメンタル的なミスを犯してしまった。デュラントが両方フリースローを決めたあと、キャブズは最後のタイムアウトを使用したが、ジェームズのコーナーからの3ポイントショットをアンドレ・イグダーラが食い止めた。そしてジェームズが最後にボールに触れていたため、ボールはウォリアーズへと渡った。

カリーが2本フリースローを決め、ラブがスリーを外し、キャブズの3Pは44本中12本成功(27%)まで落ち、ペイントエリア外のシュートも56本中17本成功(30%)と精彩を欠いた。

最近見た試合では間違いなくベストゲームだった。そして試合終盤、片方のチームが見事なプレイを披露するなか、もう片方はそれができずに終わった。今年のプレイオフで一番のディフェンスを見せているウォリアーズの力はもちろんあるが、今回はクリーブランドのミスのほうがそれよりも目立った印象だった。

原文: The Finals Stat: Game 3 -- Cavs come up empty down stretch by John Schuhmann/NBA.com

[特集]NBAファイナル2017


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ