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ニックスがデリック・ローズ獲得に踏み切った理由

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ジェフ・ホーナセックを新ヘッドコーチとして招聘する以前から、ニューヨーク・ニックスのフロントは、中長期的にチームを引っ張ることのできる“リードガード”の獲得を狙っていた。そして、ニックス球団社長のフィル・ジャクソンは、シカゴ・ブルズとの間で5選手を含むトレードを成立させ、2011年のシーズンMVP受賞者デリック・ローズを獲得した。

ジャクソンは、MSGネットワークの特別番組で、ポイントガードの獲得が最優先だったことを明かしている。

「スティーブ(ミルズ、ニックスGM)とも以前から話をしていたことで、我々のチームには、アグレッシブなプレイが必要と感じていた。フルコートを使ったアグレッシブなアタックが必要と感じた。(ローズ獲得は)それを実行するための、1つの手段だ」。

ローズを獲得する交換要員として、ニックスは、ホセ・カルデロン、ジェリアン・グラント、ロビン・ロペスをブルズに放出し、トレードの過程でトニー・ローテンを解雇した。ジャクソンは、2016年3月下旬にブルズと2試合連続で対戦した際、ローズのプレイに目が留まったと話している。ローズは、同2試合で合計51得点、7アシストをあげ、フィールドゴール成功率も50%を超えた。それら2試合のパフォーマンスで、ジャクソンのローズに対する関心が強まったという。

「彼は、シーズン終盤にかけて、非常に良い形で回復してきていると思った。ブルズとの最終戦で彼が見せたプレイに感心したよ。これまでに問題を抱えていたが、それはバスケットボールには付き物だ。このビジネスでは、いかなる決断を下そうと、得るものと失うものが混在する」。

絶頂期のローズは、類稀な身体能力の高さで対戦チームの選手を圧倒する、爆発的で、力強いPGだった。2010-11シーズンには平均25得点、7.7アシスト、4.1リバウンドを記録する活躍で、シーズンMVPに選出された。

ジャクソンは、「我々は常に、リードガードの重要性について話をしていた。彼は決断力があり、積極的な選手で、非常に高いレベルにある」と、ローズを称えている。

しかし、MVPを受賞した10-11シーズン以降、不運にも負傷が続き、ローズは何度となく戦線離脱を余儀なくされてしまう。それでも昨シーズン中には、オールスターに選出された当時の輝きを垣間見せるまでに回復。3月の試合では、カミソリのようにキレのある動きでインサイドに侵入し、リム周辺でも印象に残るフィニッシュシーンを見せ、平均16.6得点、4.5アシストを記録した。ようやく健康体を取り戻したローズが加わることで、PGから勢いが付くニックスのオフェンスが見られるようになるかもしれない。

ホーナセックHCは、「彼が加わることで、ボールをプッシュできる。ペネトレイトする力、またはオフェンスを組み立て始めた段階で彼がアウトサイドにパスを出し、ほかの選手が3ポイントシュートを決める場面も見られるかもしれない」と、ローズがチームにもたらす効果について語った。

「4、5年前のデリック・ローズのスピードではないかもしれないが、けがから回復した今だって、十分に速い選手だ」。

ジャクソンもホーナセックHCも、新チーム加入を喜び、2011年のプレイを取り戻すため、心機一転して新チームでの仕事に意欲的なローズを高く評価している。新天地では、背番号もブルズ時代の1番から25番に変更することが決まった。

ジャクソンは、「彼も(トレードを)喜んでいた。しっかりと練習しているだろうし、堅実なプランを持って取り組んでいるはずだ。我々は、彼のドライブ力を理解している。彼の持つ能力の中でも重要な部分だ」と、語った。

ドラフトでは、地元のシカゴを本拠地に構えるブルズから指名され、7シーズンもプレイする幸運に恵まれた。HCの変更、ロスターの刷新に伴い、ブルズはトレードの道を模索した。キャリアの過渡期を迎え、来季が契約最終年となるローズは、ニューヨークこそ新たな居場所であると、証明しなければならない。

原文:Inside The Deal: Why Phil Jackson Traded For Derrick Rose by Jonah Ballow/Knicks.com

Photo by Knicks.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ