NBA

プレーオフ準決勝プレビュー: ウィザーズ対ホークス

Sporting News Logo

2014-15シーズンはイースタン・カンファレンス第1シードを獲得、オールスターゲームには4選手が出場、そしてマイク・ブデンホルザーHCが年間最優秀HC賞を受賞するなど、順風満帆のレギュラーシーズンを送ったアトランタ・ホークスにとって、カンファレンス準決勝はまだ超えたことがない壁である。これまで準決勝に進出した回数は15回だが、1度も決勝に勝ち上がった経験がない。

たとえ第1シードといえ、簡単ではないプレーオフ戦に加え、下位シードながら上位シードのトロント・ラプターズを相手に4連勝で1回戦を突破したワシントン・ウィザーズが相手となるだけに、決して気を抜くことはできない。

ブデンホルザーHCが率いるチームは、常に目先の戦いに集中してきた。ブルックリン・ネッツとの1回戦では戦前の予想よりも苦戦を強いられた感が残ったが、何よりも重要なのは、彼らがカンファレンス決勝までホームコートアドバンテージを持っているという事実だ。

一方のウィザーズは、ラプターズとの1回戦からベテランのポール・ピアースが調子を上げてきている。ボストン・セルティックス時代から、何度もホークスの前に立ちはだかってきた百戦錬磨を擁するウィザーズが、再び上位シードを相手にどういう戦いを見せるか、弥が上にも期待してしまう。

そんな両チームのシリーズで注目される5つのポイント、展望、勝敗予想を、NBA.comのセクー・スミス記者が独自の視点で予想した。 

◆5つの注目ポイント 

1. オールスターポイントガード対決

これまでならば、ジョン・ウォールがサイズ、スピード、身体能力でジェフ・ティーグを上回ると評価されていた。しかし、今季レギュラーシーズン中に3度対戦した両者の成績を比較してみると、ティーグはウィザーズ戦で平均21.7得点、7アシスト、2.3リバウンド。ウォールはホークス戦で平均21得点、9.8アシスト、5.3リバウンドを記録。特筆すべきはターンオーバー数で、ティーグが平均2なのに対し、ウォールは6.8と多い。だが、両者の実力は互角と言って良いだろう。今回のマッチアップは、ティーグ、ウォールがリーグを代表するエリートPGとして一皮むけられるかの戦いになりそうだ。

2. ピアースはラプターズとの1回戦と同様に、ホークスとホークスファンを苛立たせられるか? 

トライはできるだろうが、今のホークスは感情に左右されない。ファンは、ピアースの発言に反応するだろ。そして、ピアースが今シリーズにも持ち込む駆け引きに対しても、冷静に対処するはずだ。

3. カイル・コーバーとブラッドリー・ビールでは、シューターとしてどちらが大きなインパクトを残せるか?

ビールは今季ホークスとの4試合に出場し、フィールドゴール成功率35%、3ポイントシュート成功率26%と苦しんだ。もしデマーレ・キャロルとのマッチアップになれば、攻略するのは簡単ではない。
対するコーバーも、今季ウィザーズ戦に3試合出場し、平均9.0得点、FG成功率37%、3P成功率40%をマークするなど得意としているわけではなさそうだが、プレーオフで3P成功率40%を記録しているだけに、ウィザーズ戦でも好調を維持しそうだ。

4. ネッツとの第6戦(1回戦)から僅か39時間後の準決勝スタートの影響は? 

無いだろう。ネッツと第6戦までもつれた時点で、ホークスはタイトなスケジュールになることを覚悟していたはず。ましてやこの時期ともなれば、疲労は言い訳にできない。より良いプレーをして、戦いを制することができるチームこそ、勝者に相応しい。
 
5. ウィザーズのフロントコートは、負傷に苦しむアル・ホーフォードとポール・ミルサップを上回れるか?
 
ホークスの弱点は、フロントコートの層と言われ続けているが、それでもホーフォードとミルサップは負傷を抱えながら結果を残している。サイズでは、マーチン・ゴータットとネネのほうが有利。しかし、1回戦でホークス敗れたネッツにも、サイズで上回るブルック・ロペスがいた。

◆シリーズ展望 

ホークスの肝は、ボールムーブとスピード。攻撃を引っ張るのはティーグだが、試合展開を変える理想的な能力を持つデニス・シュローダーも控えている。ネッツとのシリーズでも効力を発揮した、ティーグとホーフォードによるピック&ロールに気を取られると、スペースを見つけるのが上手いコーバーの3Pを止められなくなる。

ウォールが好調ならば、ウィザーズは正面から対戦相手を攻略可能で、速攻でも上回れるだろう。シュートレンジが広いビールの力も大きい。ゴータットをゴール付近に置き、残りの4選手がペリメーター内でプレーする戦術によりミスマッチを生みやすいという利点もある。仮にホークスがウィザーズの出方を読めずに右往左往するようなら、圧倒される可能性もゼロではない。

◆勝敗予想 

プレッシャーのかからないウィザーズに対し、ホークスには年間60勝を記録したチームへの期待が大きい。つまり、ホークスは何が何でもウィザーズに勝利し、カンファレンス決勝に勝ち上がる必要がある。
目に見えない要素で上回っているのはウィザーズだろう。しかし、レギュラーシーズンを通してホークスと同等のリズムと調子を維持できたチームではない。

マッチアップの観点からみても実力が拮抗しているウィザーズとのシリーズだが、ホークスがホームコートアドバンテージを生かし、4勝3敗で勝ち上がると予想したい。

著者