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ポール・ピアースがあと1年だけ現役を続ける理由

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ポール・ピアースは、ロサンゼルス・クリッパーズの選手の力量を見定め、オフシーズン中のトレーニング時の感触を確かめた結果、去就に関する決断を下した。

NBAキャリア18年のベテランは、クリッパーズの優勝のため、19年目のシーズンもコートに戻ることを決めた。

「歳を重ねたベテラン選手というのは、夏に駆り立てられる気持ちを失った瞬間、シューズを脱ぐ時期だと思う」と、ピアースは言う。

「夏が始まった頃は、ジムにトレーニングに行く気にすらならなかった。でも、時間が経過していく中で、昨シーズンを振り返って、チームメイトのことを考えた。そうしたら、嫌な後味しか残っていないことに気が付いた。シーズンの終わり方もそうだし、自分自身のプレイについても同じように思った。それで、『自分のやりたいようにやろう。あと1度だけ、このチームで優勝する機会にかけてみよう』と思った」。

ピアースは、何年も一緒にプレイしているチームの核となるグループの力、お互いを理解し合っている関係性に自信を深めている。昨季は残念ながらプレイオフ・ファーストラウンドでポートランド・トレイルブレイザーズに敗れたが、その苦い経験がチームの結束を強め、次のステップに進む準備を整えたと確信している。ピアースの言葉を借りれば、「試験を乗り越え、苦難を乗り越えてきた」ということだそうだ。

2016-17シーズン中に39歳になるピアースは、「何かを乗り越えるには、苦しいことも必要なときがある」と、話す。

「それで僕は、『なぜあと1年やらない? けが人が多くてプレイオフで負けたのだから、なぜあと1年やらないんだ?』と考えた。もちろん、(優勝するには)優れたチームでなければならないし、運も必要。それでも、あと1回、やってみようと思ったんだ」。

ピアースは地元ロサンゼルスで、しかもクリッパーズでの優勝を、「後世まで語り継がれる名誉」と形容する。「それだけの目標があるからこそ、8月から始動できた」とも続けた。

いずれにせよ、ピアースはあと1年だけ現役を続けることを決断した。たとえどういう結果に終わろうとも、NBA史上最高の選手の一人としてコートを去る。

現役選手で通算2万5000点、7000リバウンド、4500アシスト以上をマークしているのは、ピアースのみだ。オールスター10回選出、優勝、NBAファイナルMVPに輝いた経験のほか、通算3ポイントシュート成功数では歴代4位(2128)、通算出場試合数では同15位(1318)、通算得点では同16位(2万6316点)という成績を残し、キャリア平均得点は20得点を維持している。

チームメイトのジャマール・クロフォードは、ピアースをラッパーに喩えるなら、考えるまでもなくビッグネームになると語った。

「彼はスヌープ・ドッグのような存在。OG(模範的存在を意味するスラング)さ。全てを目の当たりにし、達成してきた。何もかも経験していて、知識も豊富。彼は、僕たちを助けるためにチームにいてくれる。もちろん王者であって、ベストプレイヤーの一人さ。だから、オンコート、オフコートに限らず、それが何であれ、可能な限り彼から学ぼうとしている」。

ピアースの存在は、ボストン・セルティックスのヘッドコーチを務め、現在はクリッパーズの指揮を執るドック・リバースHCにとっても大きい。リバースHCは、今回の現役続行という決断は必然だったと考え、ピアースが現役最終年に臨む手法を評価している。

「最後のシーズンに臨む彼の手法は素晴らしい。特に精神的なアプローチが良い。きっと素晴らしい旅路になるだろう。その一員となれて光栄だ」。

また、ガードのクリス・ポールは、クリッパーズでの優勝という形で、ピアースに最後の花道を飾ってもらいたいと語った。

「もちろん、僕たちはポールに頂上に立ってもらいたい。それが究極の目標になるね」。

原文:Pierce Explains Why He Decided On One More Year by Rowan Kavner/Clippers.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ