NBA

大型トレードでキャブズが得た新たな選択肢

Author Photo
Sporting News Logo

ようやくカイリー・アービングとアイザイア・トーマスを含む大型トレードが成立した今、クリーブランド・キャバリアーズは球団の未来を考えられるようになった。今後について、『ESPN.com』のデイブ・マクメナミン記者が分析している。

DAZNでFIBAアメリカップ、ユーロバスケットをチェック!

キャブズが8月30日(日本時間31日)夜にボストン・セルティックスとのトレードを正式に成立させたことは、カイリー・アービング時代の終わりを意味する。そして球団に中長期的な新たなオプションを与えた。

キャブズの決定にかかわるある人物は、当初の条件にマイアミ・ヒートの2020年ドラフト2巡目指名権を加えられたことについて、『ESPN』に「今回のトレードで得た可能性に興奮している」と語っている。

キャブズが失った選手は、2017年NBAファイナルで平均29.4得点、4.4アシスト、4.0リバウンド、フィールドゴール成功率47%、3ポイントショット成功率42%、フリースロー成功率90%をマークした選手だ。そのアービングのキャブズでのキャリアは、もう過去のものになった。

今後キャブズが集中すべきことは、今の戦力をどうすれば最大限に活用できるか、どうすれば4年連続でファイナルに進出できるか、そしておそらく来年のファイナルに進出すれば4年連続のマッチアップとなるゴールデンステイト・ウォリアーズをどうすれば倒せるかについてだ。

今季のキャブズの懸念材料はディフェンスだ。昨季は100ポゼッションあたりの平均失点でリーグ22位の108.0失点を記録。新たに加わったジェイ・クロウダーは屈強なペリメーターディフェンダーで、レブロン・ジェームズ、ケビン・ラブのバックアップを務められる。また、年間8~10試合は休養のために欠場するジェームズに代わって先発出場することもできる。

仮にケビン・デュラント、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという4人のモンスターを擁するウォリアーズと再び激突することになれば、十分なディフェンダーを揃えられなければ勝ち目はない。ジェームズ、クロウダー、JR・スミスに加えて、トリスタン・トンプソン、セディ・オスマンあるいはイマン・シャンパートのコンビネーションで対峙すれば、理論上は対等なマッチアップになるだろう。参考までに、昨季100ポゼッションあたり平均115.6得点を記録したウォリアーズは、セルティックス戦でクロウダーが出場した時間帯には100ポゼッションあたりの得点が平均100.0得点に落ちたというデータも存在する。

シーズン開幕から守備のアイデンティティを持ち、厳しさの増すプレイオフを迎えるまでにチーム内にそれを浸透させることは、キャブズが再び優勝を決める舞台に勝ち上がるために重要だ。

また、ブルックリン・ネッツの2018年ドラフト1巡目指名権は、ロッタリー(全体1~14位)指名権、もしくはネッツが今季苦戦すればトップ5以内の指名権に化ける可能性がある。来夏ジェームズがキャブズとの最終年となる契約を破棄してフリーエージェントになる可能性は高く、もし再スタートを切ることになれば、球団にとって大きな意味を持つ。今回のトレードで獲得したアンテ・ジジッチの成長も期待できるほか、ヒートの2巡目指名権で指名する選手が将来的に実を結ぶ可能性もある(クロウダーとトーマスは2巡目で指名された)。だが、これらもすべて将来の話だ。

今キャブズが考えるべきは、来夏チームを取り巻く状況が悪化する前に、どうやって球団史上2度目の優勝を成し遂げるかということに尽きる。幸いにも、イースタン・カンファレンスでライバルになり得るのは、複数回の優勝が期待された2008年と同様の力を手にしたと思っているセルティックスしかいない。

1回の優勝が2回目の優勝を保証するわけではない。クリーブランドに初めて優勝リングをもたらす活躍を見せたアービングの放出は、キャブズにとって2回目のリング獲得に影響を及ぼすのだろうか? その答えは、今季導き出される。

原文:New options afoot for Cavs on court by NBA.com(抄訳)


著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ