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[コラム]5月に開幕するNBA公式eスポーツリーグ『NBA 2Kリーグ』が秘める他分野への相乗効果(西尾瑞穂)

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NBAオールスターゲームのティップオフを目前に控えた現地2月18日の朝、オールスターの取材に訪れた各国メディア向けに『NBA2Kリーグ』の説明会が開催された。

NBA2Kリーグとは、スポーツゲームの中で北米No.1の売り上げを誇るバスケットボールゲーム『NBA2K』シリーズを手がけるTake-Two Interactive社とNBAが手を組み、今年5月にスタートさせるeスポーツのプロリーグだ。

アメリカのプロスポーツリーグが公式のeスポーツリーグを運営するのは史上初となる。リーグ開幕初年度の今年は、NBA全30チームのうち17チームがNBA2Kリーグのチームを持つことが明らかになっており、来年以降もチーム数を拡大していく予定だという。

NBA2Kリーグの各チームには、それぞれ6名の選手がロスター登録される。今年のNBA2Kリーグに登録される選手の一次選考は1月1日から1月31日までに終了しており、現在は選手を102名にまで絞り込む『コンバイン』が行なわれている最中だ。

一次選考とコンバインは全てNBA2K18のオンライン上で行なわれる。まず、1か月の間に一次選考の通過条件であるPro-Amモードでの50勝を達成した選手が、次のコンバインに進むことができる。コンバインでは、選手は1つのポジションを選び、そのポジションで5対5のオンライン対戦を40試合する。その間リーグは全選手のプレイデータをトラッキングし、そのデータの分析を元に、リーグのロスターに登録する102名の選手を選考する。その後、選手はドラフトにより全17チームに割り振られる。

NBA2Kリーグに参入する17チームは、約6か月にわたってレギュラーシーズン、トーナメント、プレイオフを戦い、チャンピオンを決める。選手たちはリーグと6か月間のプロ契約を結び、シーズン中は各チームの所在地に生活拠点を構え、チームメイトと共にトレーニングを積み、公式戦を戦う。つまり、彼らは『eスポーツ版NBA選手』なのだ。

Brendan Donoghue NBA 2K League Managing Director

この日、リーグの説明とメディアとの質疑応答に対応したNBA2Kリーグ・マネージング・ディレクターのブレンダン・ドナヒュー氏(写真)は、NBA2K18が昨年発売された全カテゴリーのゲームの中で世界2位の売り上げを記録したことや、NBA2K18のオンラインユーザーが1日平均160万人(1か月平均500万人)に上ることを例に挙げ、新リーグの成功に自信をみなぎらせていた。また、『League of Legends』や『Overwatch』といったゲームのeスポーツリーグがすでに世界中で大成功していることも、NBA2Kリーグ成功の追い風になるはずだ。

しかし、いざ日本国内に目を向けると、eスポーツがまだまだマイナーな分野であることは否定できない。同じアジア圏でも隣の韓国はeスポーツが非常に盛んな国として知られており、なかには年間1億円を稼ぐeスポーツ選手もいるほどだ。韓国までとは言わないまでも、日本でもeスポーツが1つの競技として、そして1つの職業として認知されるために、財政面の充実や法の整備、プロモーション活動が必要になるであろう。

また、日本では、NBA2KシリーズとNBAとeスポーツの3つ全てのファンというのは非常に稀な存在だ。今後は、これらの個別のファン層を融合させなければならない。この点についてドナヒュー氏に聞くと、「例えば、私の12歳の娘はNBAは一切観ないけれど、NBA2Kシリーズをプレイしているお陰でNBA選手の名前はよく知っている。このように、バスケットボールという共通言語があれば、どれか1つの分野をきっかけにして、他の分野にも相乗効果が生まれるはずだ」というアドバイスをくれた。

NBA2Kリーグの開幕をきっかけに、NBA2KシリーズとNBAとeスポーツが相乗効果を生めば、それぞれの分野が日本国内で今まで以上に盛り上がる可能性があるはずだ。

文:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho

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