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NBA理事会がドラフトロッタリー制度見直し案を否決

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ニューヨークで開催されたNBA理事会では、多くのことが議題に上った。その中でも、特に問題視されたのは、ドラフトロッタリーに関する懸案だった。現地22日、AP通信が伝えている。

フィラデルフィア・76ersは近年、ドラフトロッタリーで上位指名権を獲得する確率を高めるため、プレーオフ争いから脱落した後で、故意に負けるようなメンバーを編成して試合に臨んだと見られている。

上位指名権の獲得を目的に故意に負ける戦術を取るチームが出ないよう、下位でシーズンを終えたチームにドラフト上位指名権などのインセンティブ(報奨)を与えないという案が今週はじめに提案され、理事会がどう判断するかに注目が集まった。

しかし、市場の小さなチームと大きなチームとの実力差にさらなる隔たりが出る可能性のある案の承認に理事会は物怖じし、同22日に実施された投票の結果、可決に必要な23票を下回る17票しか賛成を得られず、否決された。

NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、同案否決に関し、以下のようにコメントしている。

「オーナーは、本質的に故意による結果ではない点を懸念したのだろう。勝つチームを作るためのインセンティブ、そして最下位のチームにドラフト1位指名権を与えるなど、チーム再建に充てるインセンティブの最適なバランスを見極める必要があるのは明白だ」。

投票の結果、今後も現行通り、レギュラーシーズンを最下位で終了したチームが1位指名権を獲得する可能性が最も高くなり(25%)、上位4位指名以上の指名権を獲得することになる。理事会はさらに検証、検討するため、NBA競技委員会に同議題を預けた。

競技委員会は、最下位チームが1位指名権を獲得する可能性が著しく減少し、リーグ1位となったチームが上位指名権を獲得する可能性を高くする案を理事会に提出。Yahoo! Sportsによれば、否決された案の中には、最下位チームがドラフト7位指名権を獲得する可能性があるものもあったという。

故意に負けるチームを編成したと批判された76ersは、近年のドラフトで上位指名権を獲得し、マイケル・カーター=ウィリアムズ(ガード)、ナーレンズ・ノエル(フォワード)、ジョエル・エンビード(センター)、そしてヨーロッパの注目株ダリオ・サリッチを指名した。しかし、76ersのサム・ヒンキーGMは、チームのアプローチを弁解するつもりはなく、数年以内にイースタン・カンファレンスで優勝を争えるチームを作るベストな方法と見ているようだ。

ただ、シルバーは、「今の方法に異議を唱える必要性は見当たらない」とした上で、以下のように懸念も表明している。

「個人的な見解だが、最も懸念していることは、各チームの熱心なファンにも、チームがドラフト上位指名権を獲得することが再建を成功させる最大の近道であり、本来の実力を発揮しないときがあると思われていること。また、それに付随して各チームにかかるプレッシャーだ」。

現行のロッタリー制度が採用された1985年以降、最下位のチームが1位指名権を獲得したケースは、2004年のオーランド・マジックなど、わずかに4回しかない。また、直近2年連続で1位指名を引き当てたクリーブランド・キャバリアーズは、そのときワースト9位と3位の成績だった。

 

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