NBAプレイオフ2017は4月15日(日本時間16日)から始まる。イースタン・カンファレンスのシード4チーム(ボストン・セルティックス、クリーブランド・キャバリアーズ、トロント・ラプターズ、ワシントン・ウィザーズ)は、そのまま勝ち進むのか。それとも、1回戦から番狂わせはあるだろうか。
戦いの火ぶたが切って落とされるのを待つ必要はない。『Sporting News』のショーン・ディビニー記者が予想している。ただし、間違えたとしても彼を責めないでほしい。
NBAプレイオフ2017 イースタン・カンファレンス予想
ボストン・セルティックス(1位)対シカゴ・ブルズ(8位)
背景
セルティックスは先週のキャバリアーズとの天王山を落として1位から陥落したが、終盤のキャバリアーズの停滞を生かした。バランスの良いチームだが、アイザイア・トーマスのほかにスーパースターがいない。昨夏も、2月のトレード期限前も、球団はその問題を解決しようとした。目標のひとりは、ブルズのスター、ジミー・バトラー。だが、バトラーはブルズに残留した。そして今、バトラーは古巣対決となるラジョン・ロンドとともにセルティックスとの対戦に臨む。
キープレイヤー
セルティックス1年目のアル・ホーフォードは、特に攻撃面で見事なパス(自己最多の平均5アシスト)に加え、3ポイントショットも35.8%を記録した。だが、彼は特別にアグレッシブな攻撃の選手ではない。今季は平均14.0得点。NBAの3年目以降で最低の数字だ。しかし、彼が15得点以上あげた試合で、セルティックスは22勝8敗を記録した(15得点未満の試合は23勝14敗)。プレイオフではトーマスへの守備が鍵となる。ホーフォードが安全弁にならなければいけない。
注目の数字
2度のファイナル進出に貢献した古巣と対戦するロンドは、今季平均9.4得点とキャリアで下から5番目の数字。シーズン途中でローテーションから外された。だが、直近12試合では平均12.2得点、8.3アシスト、6.2リバウンドを記録している。このシリーズでブルズにミスを犯せる余裕はごくわずか。セルティックスと競うには、ロンドの活躍が必要だ。
予想
セルティックスにとって、簡単な対戦ではない。トップシードといえど、プレイオフの経験が圧倒的に不足しているのだ。セルティックスが勝つはずだが、6試合を要するだろう。
クリーブランド・キャバリアーズ(2位)対インディアナ・ペイサーズ(7位)
背景
9勝12敗でレギュラーシーズンを締めくくり、守備に興味がないかのように怠けていた様子の終盤戦のキャバリアーズが、プレイオフで我々が期待するキャバリアーズと同じなのか、ポストシーズンの活気を身につけているどうかを見極めなければならない。その活気はあるようだ。ただそれは、イーストの競うレベルが迫力にかけるからであり、キャバリアーズにはまだ最も違いをつくれるレブロン・ジェームズがいるからだ。最後に5連勝で締めくくり、浮上したペイサーズだが、経験豊富なキャバリアーズ相手にその幸運が続くことは期待できない。
キープレイヤー
もちろんジェームズだ。攻守において、昨季のファイナル後半のように、このポストシーズンもけん引しなければならない。彼は攻撃を引っ張るだけでなく、ペイサーズのスター、ポール・ジョージのチェックもしなければならないのだ。
ジョージは直近12試合連続で20得点以上を記録し、平均30.8得点をマークしている。だが、ジェームズは平均26.4得点、8.6リバウンド、8.7アシスト、フィールドゴール成功率54.8%、3P成功率36.3%と、32歳にしてキャリア最高のシーズンのひとつを過ごしている。一方で、平均出場時間も37.8分とリーグトップ。彼がコートにいないときはキャバリアーズが持続できないことを示している。カイリー・アービングとケビン・ラブ以外の脇役たちが十分ではないのだ。
キャバリアーズは今でもイースト最高のチームだ。だが、彼らが再びファイナルに進むには、ジェームズが見事なレギュラーシーズン以上のことをする必要がある。
注目の数字
キャバリアーズは全ポゼッションの16.4%を記録しているトランジションから1試合平均20.4得点(リーグ4位)をあげ、エフィシェンシー(1ポゼッション当たりの得点)はリーグ4位の平均1.16得点をあげている。ただし、ペイサーズも相手チームの速攻で平均14.7失点しか記録しておらず、相手のトランジションに対して非常に優れた仕事をこなすチームだ。ペイサーズが良いシリーズにするためには、キャバリアーズを走らせないようにしなければいけない。
予想
このシリーズではペイサーズが下回っており、競っていくためには、守備の規律とジョージの攻撃面での爆発が必要となる。しかし、競うだけの十分な“火力”はない。よって、キャバリアーズが5試合で制すだろう。
トロント・ラプターズ(3位)対ミルウォーキー・バックス(6位)
背景
今季はドウェイン・ケイシー・ヘッドコーチにとって、キャリアを通じて最高の出来だったかもしれない。必要不可欠のスターであるカイル・ラウリーとデマー・デローザンの負傷離脱に対応しつつも、球団記録2位の51勝を達成した。新加入のサージ・イバカとPJ・タッカーをうまく組み込んだことを示している。だが、バックスとの対戦は厄介だ。クリス・ミドルトンが復帰し、マルコム・ブログドンがスタメン入りしてから生まれ変わったチームである。最後の30試合で20勝10敗を記録しており、ラプターズもかなり苦しめるだろう。
キープレイヤー
平均22.9得点、8.7リバウンド、5.4リバウンドを記録し、ヤニス・アデトクンボにとってはブレイクのシーズンとなった。前回のプレイオフでは2015年にブルズとの第6戦で、マイク・ダンリービーへのファウルで退場となっており、雪辱を期している。デマーレイ・キャロル、タッカー、そしておそらくイバカとの厳しい対決が待っているだろう。アデトクンボはまだ自身のジャンパーを信じておらず、得点するのにバスケットを狙おうとすることに頼る。対するラプターズの守備は、ペイント内での失点の少なさでトップ10だ。アデトクンボはエルボー(FTライン両端付近)からのジャンパーを試す機会になるかもしれない。
注目の数字
アップセットを演じられる力を持つとみられるチームを相手に、ラプターズはラウリーがまだ健康を取り戻さなければならない。彼の攻撃機会の8%以上に相当するピック&ロールで、ポゼッション平均1.07得点を記録しているように、彼はピック&ロールでリーグ最高の選手だ。だが、リーチがあるバックスには苦しめられるだろう。ピック&ロールの選手に対し、バックスはポゼッション平均0.77得点しか許していない。これはリーグ2位の数字だ。ラウリーの復帰を歓迎するラプターズにとって良いデータではないだろう。何か策を練る必要がある。
予想
良いシリーズになるはずだ。昨季、カンファレンス決勝に進んだラプターズだが、それまでの2つのシリーズでともに第7戦まで戦っている。今回も同じようになることが容易に想像されるだろう。ラプターズが第7戦で勝利。
ワシントン・ウィザーズ(4位)対アトランタ・ホークス(5位)
背景
ウィザーズは38年ぶりに地区優勝を果たした。ジョン・ウォールが負傷からの復帰に苦しみ、序盤は7勝13敗だったにもかかわらず、1978-79シーズン以来となる49勝をあげている。一方のホークスは、32勝23敗から終盤に苦戦。その後の27試合で16敗を喫した。1月に刷新も考え、その場合はポール・ミルサップも退団していただろうが、プレイが良くなっていたことでホークスは取りやめた。結果的には、再建にこだわるべきだったかもしれない。しかし、彼らは10年連続でプレイオフの舞台に戻ってきた。現在のイーストでは最長の数字だ。
キープレイヤー
健康だったブラッドリー・ビールが、ようやくウォールのように平均23.1得点、FG成功率48.2%、3P成功率40.4%と活躍した。対するホークスは守備レーティング(100ポゼッション当たりの平均失点)がリーグ4位。ミルサップとドワイト・ハワードがおり、相手をペイントに入れないことには長けている。ウォールがリングに向かってドライブすることがより厳しくなるだろう。ビールは3P成功への重圧がかかる。
注目の数字
8.4は、今季のティム・ハーダウェイJr.にとって非常に重要な数字となった。『Basketball-Reference』による、彼がコートにいるときといないときのホークスの得点失点差のデータだ。ハーダウェイがプレイしているときは100ポゼッション平均109.0得点だが、彼がいないとこの数字が100.6得点となる。ホークスの守備は堅いが、力あふれるウィザーズに張り合うには、得点する必要もあるだろう。ハーダウェイJr.の活躍がカギになる。
予想
接戦となることは確かだ。だが、ウィザーズのほうがよりバランスの取れたチームであり、最後は勝ち抜くだろう。ウィザーズが6試合で勝利。
原文: NBA playoff bracket 2017: Picks, predictions for Eastern Conference first round by Sporting News(抄訳)