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NBAファイナル2017 第5戦 スタッツ分析:ステフィン・カリーの影響力

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今回はゴールデンステイト・ウォリアーズが最後までやり遂げた。 NBAファイナル2017 第5戦でクリーブランド・キャバリアーズに129-120で勝利 し、ウォリアーズはここ3年で2度目の優勝を果たすとともに、ファイナルMVPのケビン・デュラントの力を借りて昨年の雪辱も果たした。

20本中14本のシュートを決めて39得点をあげたデュラントが、スターが揃う中でまたもや最も輝いた。このファイナル中、平均35.2得点を記録し、エフェクティブ・フィールドゴール・パーセンテージ(eFG%=3ポイントショットを加味したFG成功率)は63.9%だった。

ウォリアーズが前人未到の16勝1敗という成績で球団史上5度目の優勝を飾ったファイナルで見られた数字に注目したい。

ボックススコア  

第5戦の基本スタッツ  

ペース:102 - 48分換算の両チームの平均ポゼッション(攻撃機会)数 

クリーブランド 

OffRtg:118.7
eFG%:59.7%
FTA/FGA:0.261
TO%:14.8%
OREB%:29.3% 

ゴールデンステイト 

OffRtg:126.1
eFG%:58.9%
FTA/FGA:0.311
TO%:12.7%
OREB%:31.7% 

※表記説明
OffRtg = 100ポゼッションでの平均得点
eFG% = (FG成功数 + (0.5 * スリー成功数)) / FG試投数
FTA/FGA = フリースロー試投数 / FG試投数
TO% = 100ポゼッションでのターンオーバーの割合
OREB% = 獲得可能なオフェンシブリバウンドのうち実際に獲得した割合 

気になる数字 

245 - ステフィン・カリーが2017年プレイオフ中に出場していた時間帯でのウォリアーズの得失点差(プラスマイナス)。

分析

これはこのスタッツが計測され始めてからの21年間で最も高いプラスマイナス値だ(選手のプラスマイナス値は1996-97シーズンから計測されている)。これまでの最高値は2001年にコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)が記録していた+213だった。ドレイモンド・グリーン(+227)もブライアントの記録を今年抜いた。

第4戦の敗戦でウォリアーズの平均得失点差は+13.5まで落ちてしまい、1971年にミルウォーキー・バックスが記録した史上最高値の+14.5を下回ってしまった。しかしカリーのプラスマイナス値を見れば、彼らがどれくらい圧倒的な強さを誇ったのかが明白だろう。

そして、カリーが得点リーダーでなくてもいかにこのチームにとって重要なのかを表している。オフェンスで彼が相手を引きつける力は、チームメイト全員の仕事をかなり楽にしてくれている。

レブロン・ジェームズがファイナルで平均トリプルダブルを記録した史上初の選手となったが、カリーも平均26.8得点、8.0リバウンド、9.4アシストでそう遠くなかった。セカンダリー・アシスト数(アシストの前のパス)は15本で、今ファイナルに出場した他の選手の倍以上の数字を記録している。ウォリアーズは第5戦にカリーとデュラントによるピック&ロールを多用し、デュラントが決めた60本のシュートのうち20本をカリーがアシストした。

カリーはレギュラーシーズン中の総プラスマイナス値が+1015で、2位には200点近い差をつけている。ウォリアーズはカリーが出場しているときは、彼がベンチにいるときよりも100ポゼッション平均で15.5点多く得点している。コートにいるときは100ポゼッション平均118.1得点で、ベンチに下がっているときは102.4得点だった。これは1000分以上出場した選手のコートにいるときといないときのOffRtgの差では最も高い数値だ。

プレイオフではその数字がさらに跳ね上がる。ウォリアーズはカリーがコートにいるときは100ポゼッション平均で123.1得点し、ベンチに下がっているときは95.9得点までその数字は落ちた。カリーはプレイオフ中に出場した601分中473分(79%)をデュラントとともに出場しているが、片方が出ていないときのウォリアーズは、カリーが出場してデュラントがベンチにいる時間(100ポゼッション平均117.2得点)のほうが、デュラントが出場してカリーがベンチにいる時間(同104.1得点)よりもオフェンスが良かった。

2度レギュラーシーズンMVPを獲得しているカリーは、3年連続でファイナルに進みながらも、まだファイナルMVPを獲得していない。しかしNBA史上最高のオフェンスのひとつをリードするトリプルスレット(シュート、ドライブ、パスができる)が彼であることは間違いない。

原文: The Finals Stat: Game 5 — Stephen Curry Proves To Be Difference Maker by John Schuhmann/NBA.com  

[NBAファイナル2017総集編]ゴールデンステイト・ウォリアーズ 優勝への軌跡


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ