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NBAファイナルプレビュー:ウォリアーズ対キャバリアーズ

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ついに2016-17シーズンも、NBAファイナルを残すのみとなった。

6月1日(日本時間2日)から始まるゴールデンステイト・ウォリアーズ対クリーブランド・キャバリアーズによる対決を前に、ファイナルの注目ポイントを紹介したい。

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NBAファイナル2017

ゴールデンステイト・ウォリアーズ(ウェスタン・カンファレンス1位)対クリーブランド・キャバリアーズ(イースタン・カンファレンス2位)

背景

またしてもNBAファイナルで顔を合わせた。

NBAファイナル史上初となる3年連続の同一カードの実現だ。今プレイオフはここまでゴールデンステイト・ウォリアーズが12勝0敗、クリーブランド・キャバリアーズが12勝1敗という圧倒的な戦績を残し、ウェスタン/イースタン・カンファレンスの覇者となった。

シーズンを通じ、両チームがファイナルで激突する可能性が疑問視されたことはほとんどなかった。しかし、ここまで独走状態でファイナルに辿りつくとは想像できなかった。

最終的には、レギュラーシーズンも、ファイナルまでのプレイオフ戦の結果も問題ではない。8か月という長いシーズンは、2015年優勝チームのウォリアーズと、2016年王者キャブズの対決のためにあったのだ。さらに言うならば、両チームの対戦は、昨年7月にフリーエージェントとなったケビン・デュラントが、ボストン・セルティックスらの誘いを断り、オクラホマシティ・サンダーからウォリアーズに移籍した時点で運命づけられていたのかもしれない。

Cavaliers Warriors Kevin Durant Kevin Love

今回のファイナルは、両チーム合わせてオールスター7選手という豪華な顔ぶれになった。キャブズにはレブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブ、ウォリアーズにはデュラント、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンというスター選手が所属している。予想通りの2チームが勝ち上がってきたと言えるし、NBAにとっては最高のカードともなった。それでも、ウォリアーズとキャブズがカンファレンスをあまりにも圧倒しすぎたため、ファイナルまでのシリーズが退屈なものとしてみなされてしまった側面はある。ファイナルに相応しい、エキサイティングで競争力の高いシリーズが実現しなければ、この6週間のポストシーズンの印象を変えるのは難しい。

それを実現するには、ファイナルまでの13試合を通じてキャブズを引っ張ってきたジェームズの素晴らしいパフォーマンスが必要だ。正確なシュート、効率的なスコアリングに加えて、普段通りレベルの高いパス、リバウンド、ディフェンスで魅せてもらいたい。

単純に選手層を比較すれば、ウォリアーズにアドバンテージがある。昨年のファイナル第7戦は、両チーム共に疲労が色濃く、ウォリアーズに至っては第4クォーター残り4分から苦し紛れの3ポイントショットの連投に終わった。だが今年のウォリアーズには、得点能力に秀で、対戦相手にとって致命的となるミッドレンジから正確なショットを決められるデュラントがいる。デュラントの存在が試合に変化をもたらすだろう。今年のウォリアーズには、昨年なかった特性が加わったのだ。

スター選手が揃う両チームに課せられた使命は、ラリー・オブライエン・トロフィーを勝ち取ることだけではない。ここまで盛り上がりに欠け、不発に終わっているポストシーズンを救う役目をも担っているのだ。

キープレイヤー

2015年のファイナルを思い出してもらいたい。2年前のファイナルMVPに輝いたのは、カリーでもトンプソンでもなく、アンドレ・イグダーラだった。2年前の再現は難しいだろうが、今年も同様に毎試合でジェームズを抑えるという、大変プレッシャーのかかる役割をこなさなければならない。イグダーラは、強靭さと俊敏性、知性を兼ね揃えたリーグでも稀有な存在で、守備で信頼の置けるプレイができる数少ない選手の一人だ。

オフェンス面でイグダーラに要求されることは少ない。今季はレギュラーシーズン中に平均7.6得点、プレイオフで6.5得点を記録しているイグダーラは、ペリメーター内でのショットの調子を著しく落としている。3ポイントショットもポストシーズンを通じ27本中わずか3本しか成功させられていない。オフェンスで足を引っ張らないようにするためにも、ファイナルでは改善が必要だ。

Cavaliers Warriors Andrew Iguodala

守備においては、前述の通り、ジェームズとのマッチアップに対応しなければならない。これはイーストでは誰も成し遂げられなかった難題だ。

キャブズとファーストラウンドで対戦したインディアナ・ペイサーズは、ポール・ジョージがジェームズに挑んだが、平均32.8得点、フィールドゴール成功率54.3%を許した。続くカンファレンス準決勝でキャブズと対戦したトロント・ラプターズは、PJ・タッカーらがマークについたものの、ジェームズは平均36.0得点、FG成功率57.3%を記録。33歳という年齢を考えれば、イグダーラが今回のような難しいケースを任される機会は今後減るだろう。昨年のファイナルで3勝1敗の状態からファイナル史上初めて逆転負けを喫した要因の一つには、イグダーラの健康状態が挙げられる。第6戦で腰を痛めたイグダーラは、第6戦と第7戦で本来のプレイができなかった。今年は休養十分の状態でファイナルを迎えられるため、ウォリアーズにとっては、イグダーラに少しでもジェームズのプレイを制限してもらいたいところだろう。

注目の数字

22.0

これは、ウォリアーズが今年のプレイオフ中にトランジションから記録している1試合の平均得点(リーグ最多)だ。通常、レギュラーシーズンと比べてポストシーズンに入ると守から攻への速い切り替えからの得点は落ちるのが常なのだが、今季のウォリアーズは、レギュラーシーズン中に記録したリーグ最多の24.7得点から、わずか2.7得点しか落ちていない。昨年はレギュラーシーズン中にトランジションから22.5得点を記録したのに対し、ポストシーズンでは18.2得点にまで落ち込んだ。今年のウォリアーズは、プレイオフでも走力を落とさずオフェンスを機能させられていることがわかる。

では、キャブズにウォリアーズのトランジションを止められるのか? レギュラーシーズン中に何度も指摘されたキャブズの問題点は、トランジションに対する守備だった。トランジションによる1試合平均失点はリーグ25位の18.9点だったのだが、ポストシーズンでは速攻対策に意識を置いた結果、失点を15.1点に改善している。

今年のプレイオフ中にウォリアーズが記録した全ポゼッションの20%は、トランジションから得たもので、そこからの3P攻勢により一気に試合の流れを持っていく傾向が強い。キャブズに求められる対応は、可能な限りウォリアーズの選手をハーフコートに留めておくことだ。

Cavaliers Warriors Kyrie Irving

予想

ボストン・セルティックスとのカンファレンス決勝 第3戦に敗れたとはいえ、キャブズが誇るラブ、アービング、ジェームズによる“ビッグ3”の威力は凄まじかった。また、ファイナル進出を決めた同第5戦では、セカンドユニットのカイル・コーバー、デロン・ウィリアムズの活躍も目立った。

それでも、キャブズはウォリアーズのペースにはついていけないだろう。キャブズは第7戦までもつれた昨年のファイナルとほぼ同じラインナップだが、ウォリアーズはアンドリュー・ボーガット、ハリソン・バーンズが退団し、デュラントが加わった。デュラントは今年のプレイオフで平均25.2得点、FG成功率55.6%を記録し、チームの期待に応えている。

あらゆる意味において、今年のファイナルは競ったシリーズになることが求められている。3年連続の対決ということもあり、注目度も増している。だが、タレントレベルでキャブズを上回るウォリアーズが、第6戦までに2年ぶりの優勝を決めると予想したい。

原文:NBA playoffs 2017: Finals pick, predictions for epic Cavs vs. Warriors III by Sean Deveney/Sportig News(抄訳)


各シリーズの日程&結果

プレイオフ組み合わせ(勝ち上がり表)


著者
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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ