今からおよそ2年前、サンフランシスコ市街から車で30分ほどの場所に2Kのゲームを開発する『ビジュアル・コンセプト』社のモーション・キャプチャー・スタジオ、通称「Mocap Studio」(モーキャプ・スタジオ)が建設された。
このスタジオは、モーション・キャプチャー用のスタジオとしては北米で最大級の規模を誇り、その広さや充実した最新設備の恩恵を受け、2Kのゲームのクオリティは格段にアップした。
『NBA 2K16』では、スパイク・リー監督がここで「MyCareer」モードで使用するオリジナル映画を撮影したことでも話題となったので、このスタジオのことをご存知の方も多いのではないだろうか。今回は、このモーキャプ・スタジオの内部を取材できるということで、世界中から数多くのメディアが詰めかけた。
[動画]先日公開された『NBA 2K17』のモーション・キャプチャー・スタジオ、通称「モーキャプ・スタジオ」に潜入。ここで撮影された選手のリアルな動きが、ゲームに反映される pic.twitter.com/MX7wczhGFX
— NBA Japan (@NBAJPN) September 6, 2016
モーキャプ・スタジオ内の撮影スタジオに入ってまず驚かされるのが、NBAサイズのハーフコートがスッポリ入るほどの広大なスペースだ。観客席がないので雰囲気は練習場に近いが、周囲を白いカーテンで囲まれているので、かえって選手の頭の中ではアリーナの様子を頭の中でイメージしやすいかもしれない。
また、コートサイド上部の壁には巨大なスクリーンが2台設置されており、1つのプレイをするたびに選手自身もリプレイを確認することができるようになっている。これもまた、実際のNBAの試合さながらの雰囲気を演出することに一役買っている。
この日は、スペシャル・ゲストとしてカール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)とディアンジェロ・ラッセル(ロサンゼルス・レイカーズ)が登場し、モーション・キャプチャーの一連の作業工程をメディアの前で実践してくれた。
スタジオに到着した選手がまず最初に向かうのは、モーション・キャプチャー用のスーツを着用する更衣室だ。ここで選手は頭の先からシューズの先まで合計で60個ものマーカーを取り付ける。このマーカーは光を反射する仕組みになっており、撮影の間、全方位から照射される赤色の光を反射し続ける。そして、そのマーカーが反射した光を、スタジオ内に設置された148台のカメラが捉え、瞬時にコンピュータ上で選手の動きが再現されるのだ。
また、選手が使うボールや、バックボード、リング、そしてコートの隅にまでマーカーが配置され、選手の動きだけではなく、ボールの動きやサイズ、位置関係などといった膨大なデータを一度に取得することが可能となっている。
コートのフロアの素材にはスポーツ・マットが使用されている。この素材を採用した理由について聞くと、「モーション・キャプチャーには光の反射を利用するため、普通の木製フロアではなく光を反射しない素材を選んだということが第1の理由。その上で、選手のパフォーマンスを最大限に発揮できる素材を選んだ」という。
また、「スポーツ・マットは網目状になっているため、万が一選手に取り付けたマーカー等が脱落した場合でも、落下物が隙間に入るので、データの計測に問題が発生しないし、落下物によって選手が怪我をすることを未然に防ぐこともできる」のだという。
ちなみに、選手がドリブルやステップに違和感を感じないようにするため、フロアの下には振動や衝撃を測定するセンサーは取り付けていないそうだ。
文・写真:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho
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