NBA

[インタビュー]デマー・デローザン「僕らはやるべきことを分かっている」(デイビッド・オルドリッジ)

Author Photo
Sporting News Logo

そのツイートは、2月17日(日本時間18日)の午前6時6分に投稿された。オールスター選出4回、所属チームが球団史上最高のシーズンを送っている人物のアカウントだ。28歳のデマー・デローザンは普段静かだけに、「このうつは僕に勝る」とのツイートは周囲を驚かせた。

デローザンはトロント・ラプターズをかつて躍り出たことのない舞台、そのチャンスすらなかった舞台、すなわちNBAファイナルへと導こうとしている。だが、彼はそれをトロントとロサンゼルスを往復しながらやっているのだ。ロサンゼルスには、先日から父フランクが入院している。デマーにとって最大のコーチであり、評論家であり、彼の人生すべてにおける最高のチャンピオンだ。

近年、父は健康問題の再発に苦しみ、デマーは何度も両海岸を行き来して父親のそばにいつつ、決して試合を欠場しなかった(ただ、フランク氏は先月のオールスターで息子を見ようとステイプルズ・センターを訪れることができている)。

NBAをライブ視聴するならRakuten NBA Special

ラプターズは45勝17敗とイースタン・カンファレンスの首位に立ち、プレイオフでのホームコートアドバンテージ獲得に近づいている。万事順調という感じだ。だが、ツイッターでのデローザンでのコメントは、人生には夢が妨げられることもあるということを示している(デローザンはアカウントを乗っ取られたのではなく、自分のツイートだったと認めており、削除もしていない)。


――お父上はステイプルズ・センターでオールスターを見ることができたがどうだった?

良かったよ。良い時間を過ごせたようだ。外出して、それを楽しむことができたのは良かった。僕もうれしかったよ。彼も満足していた。

――今は?

父が家に帰るまでは分からないよ。12月23日からあそこにいて、今は3月2日だ。彼が嫌なのは分かる。母も先日、僕が家にいたときに言っていたよ。『この30年以上でこれだけ一緒にいなかったのは初めてよ』とね。そういうのはつらいよね。

――今はそのことに頭が向いていると?

間違いない。それは確かだ。プレイするときは、いつも自分にできる限りのことを尽くそうとしている。自分にできることをすることで、彼らが誇りに思ってくれ、良い気分になってくれるんだ。エネルギーのようなものを与えることができる。

――切り分けるのは難しい? コートが逃げ場だと言う人も多いが?

僕にとっては簡単だよ。プレイするときは集中する。親友の一人であるカイル(ラウリー)は僕のことをよく知っていて、試合が終わるとよく、まず『現実に戻れ』と言ってくるんだ。僕はデマーとしての現実に戻らなければいけない。クレイジーだよ。

――あのツイートをしてから耳にしたのは?

正直に言えるのは、反応を考えることすらなかったということだ。良し悪しを問わず、僕は注目を集めることを望まない。励みになる、ポジティブな、元気になる反応だった。クレイジーだ。でも、うれしかった。『君は私を助けてくれた。君がこういうことを乗り越えているなら、自分にもできる』とかね。バスケットボール以外で目にしたことで、最も素晴らしいことのひとつだった。

――まったく違う形で模範になれる。

そのとおりだ。自分で『模範になりたい』なんて思ったことはない。でも、そういうのは非常に重要だ。ある年上のコーチはメールで『若い頃に選手がそういうことを乗り越えたのを見ていたら、自分の助けとなっていただろう。そしてアルコール依存症にならなかったはずだ』とくれた。そういう言葉は信じられなかったよ。『僕は真実を話しているんだ』という風に思えた。

――取り組むのに公式に何かしているか?

いいや。いつか全部が終われば、そして夏には必ず終わるが、そのときは歓迎する。バスケットボールを永遠にすることはできないけど、ずっと続く役に立つ何かを自分がすることができれば、それはバスケットボール以上のことだ。それが人生だ。

――チームはイーストの首位。ロッカールームの活気は違う?

違うね。僕らは互いに楽しんできたけど、自分たち以上に大きなことだと分かっている。僕やカイルは若い選手たちに『このチャンスは常にあるものじゃない。これを生かそう』と言っている。みんなも分かっているよ。僕らはそうみている。特に負けていて試合があるときはね。次の日の練習や次の試合にそういう姿勢で臨んでいる。そういう感情や活気があるのは素晴らしいことだ。

――プレイオフでエリートチームを倒すには、若手が良いパフォーマンスをしなければいけない。

そうだね。でも、彼らはそれをしてきた。スターターが第4クォーターにプレイしなかった試合がどれほどあったことか。それも、順位が低いチームとの試合だけじゃない。良いチームとの試合でも、だ。素晴らしいチームとの対戦で、コーチが僕らを見て、僕らは『彼らに試合を終わらせよう』なんてこともあった。若手がそういう自信を持つのは素晴らしいことだ。僕らの功績も大きいと分かっている。だけど、彼らの功績も同じようにあるんだ。

――これほど楽観的にポストシーズンに臨むのは初めて?

そうだね。僕らはトップから底辺まで落ちたこともある。そういう感覚を知っている。どんどん近づいていてくる感覚を知っている。それが失敗の美しさでもあるんだ。誰だって失敗したくない。でも、成功するのに何が必要か理解しなければいけないんだ。僕らは精神的にそういうところにあると思う。僕らは自分たちがやるべきことを分かっている。

原文:Morning Tip Q&A: DeMar DeRozan by David Aldridge/NBA.com(抄訳)


今なら1か月間無料で見放題! スポーツ観るならDAZN!!

著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ