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マイケル・ジョーダン来日 トークセッション全文 「私が毎日プレイする理由はただ一つ。バスケットボールへの愛です」

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Michael Jordan in Tokyo

10月15日、東京都江東区にある東京都現代美術館で、エア ジョーダン1誕生30周年を記念するイベント「MUSEUM 23 TOKYO」のオープニングイベント/プレスプレビューが開催され、マイケル・ジョーダン本人によるトークセッションが行なわれた。その全文をお届けする。出演:マイケル・ジョーダン、ティンカー・ハットフィールド(ナイキ クリエイティブコンセプト担当副社長)、佐々木クリス(MC)


 

“私が毎日プレイする理由はただ一つです。バスケットボールへの愛です”

佐々木クリス(以下クリス):マイケル、あなたのバスケットボールに対しての貢献、ご自身でどのように考えていますか?

マイケル・ジョーダン(ジョーダン):そうですね、私が言えることは、私が毎日プレイする理由はただ一つです。バスケットボールへの愛です。私がプレイしているのを見ていた人にはその愛を感じて欲しいと思っていました。そのほかの要素は全て、そこから付随しているものなのです。それがあるからこそ、毎日より良いバスケットボールプレイヤーになるために努力もできたのです。

クリス:バスケットボールへの愛――。あなたのような偉大な人からの言葉はとても大きな意味を感じます。

ジョーダン:そうですか。ありがとう。

クリス:あなたのジャンプマンのシルエットはブランドを象徴するものにもなり、多くの人が知るものとなっていますが、選手として、シューズに対する要求はどのようなものだったのでしょうか?

ジョーダン:彼ら(ジョーダン ブランドの制作チーム)と議論を交わし、彼らは多くの技術革新や素晴らしいアイデアを出してくれました。私からも多くの要求を出しました。快適に、私が望むプレイができるものを求めました。シューズは私のプレイにとって根幹となるものです。プレイに要求される要素を全て制作チームにぶつけ、それをシューズに落とし込んでくれたのです。その期待に十分に応えてくれたおかげで、私はシューズについて心配する必要はまったくありませんでした。30年間、その期待に応え続けてくれたのはとても素晴らしいことです。常に新しいコンセプトを生み出し、消費者もそれを理解してくれていると思います。

 

“30年前の時点で現代のバスケットボールに十分対応できるシューズを生み出していたことを誇りに思います”

クリス:お話をお伺いしていると、NIKEチームとのコラボレーションには多大な信頼を寄せているようですね。

ジョーダン:(ハットフィールドのほうを見ながら)彼と? え!? ――冗談です(笑)。お互いに異なる背景を持ちますが、そこからいろいろなアイデアを出し、技術革新と共に信じられないような素晴らしい商品を生み出すことができました。30年間、毎年、常にシューズを改良し続けることができたのはすごいことです。

クリス:あなたが現役の頃と今を比べ、バスケットボールはどのように変化したと感じていますか?

ジョーダン:全体的に速く、そして選手は大きくなりましたね。ただ、技術的なスキルの面ではそこまで変わっていません。その意味でも、30年前の時点で現代のバスケットボールに十分対応できるシューズを生み出していたことを誇りに思います。

クリス:ティンカーはどうでしょうか? もしマイケルがまだ現役でプレイしていたとしたら、シューズを生み出すプロセスにはどのような変化があったと思いますか?

ティンカー・ハットフィールド(以下ハットフィールド):それはまさに我々がコンセプトとしてきたことです。もし、今でもマイケルがプレイしていたとしたらどのようなことを要求されるだろうか? ということを考えながらデザインしているのです。彼は今でもプレイにどのようなことが要求されるか、鋭い見識を持っていますからね。

クリス:マイケル、ジョーダン ブランドの将来のことをお伺いしたいのですが、ジョーダン ブランドには素晴らしい選手が所属し、バスケットボールだけではなく、全てのスポーツにもカテゴリーを広げています。今後の展開はどのようなものになりますか?

ジョーダン:引き続き、新しい革新的アイデア、新しいスタイルに挑戦し続けるだけです。そしてバスケットボールだけに留まらず、ランニング、女性向け、ゴルフ、野球、サッカーにも展開しています。これまでの30年の経験を生かし、より幅広く、全てのスポーツに関わっていくことでしょう。

 

“ジョーダン ブランドの考え方は、バスケットボールに限らず、人生の全ての面で言えること”

クリス:マイケル、今日は日本の高校バスケットボール選手(福岡大附属大濠高校)が来ています。彼らにどのようなアドバイスを送りますか?

ジョーダン:まず、バスケットボールへの愛がないとダメだということです。もしそれに対する愛があれば、より良くなるために毎日努力することを厭わないでしょう。ジョーダン ブランドは、コンセプトとして「勝利への執着」を掲げていますが、勝利のためには毎日やれることを全てやるということです。今日、私が着てきたTシャツにも書いてありますが、「Every Single Day」、つまり、一日一日、昨日より今日、今日より明日、毎日良くなるために、その瞬間、その瞬間に集中してそのときのことに全力で取り組むということです。もし彼らがそのことを理解できれば、バスケットボールの選手として、より良い人間になるために、大きな助けとなり、成功することができるでしょう。これはバスケットボールに限ったことではありません。もしかしたらビジネスかもしれないし、他の多くのことでも同じことが言えます。この、ジョーダン ブランドの考え方は、バスケットボールに限らず、人生の全ての面で言えることなのです。

クリス:人生がそうであるように、ということでしょうか。

ジョーダン:そうです。

 

“もし成功したければ努力を惜しんではならないのです”

クリス:大変残念ですが、そろそろ残り時間が少なくなってきてしまいました。最後にお伺いしたいと思います。この質問に対しては、会場の皆さん、世界中の皆さんそれぞれ別の答えをお持ちになるかもしれません。マイケル、あなたにとってジョーダン ブランドとはどのようなものでしょうか?

ジョーダン:マイケル・ジョーダンという個人よりも大きなものです。これは信念のようなものであり、もし成功したければ努力を惜しんではならないのです。一日一日、より良くなるために努力をするという考えで、これは私個人というものではなく、人生の在り方そのものなのです。

クリス:ティンカーはどうでしょうか?

ハットフィールド:私にとってのジョーダン ブランドは、かつてはマイケルが空中に飛んでいるジャンプマンというものと考えていましたが、今はそれ以上のもので、ある種の象徴だと感じています。マイケルが語ったように、何かを愛し、その世界でベストになるために努力するということの象徴のようなものだと感じています。バスケットボールだけではなく、他のスポーツ、そして人生の在り方にも通ずるものです。

クリス:マイケル、日本だけではなく、世界中の人々に、今後ジョーダン ブランドにどのように関わって欲しいと考えていますか?

ジョーダン:我々は皆さんの声に耳を傾けます。バスケットボール選手、シューズを買ってくれる人からのフィードバックをシューズに反映させます。彼らの声がジョーダン ブランドの成功に大きく貢献してくれています。ただ声を聞くだけではなく、実際に商品開発に生かすのです。称賛の声と同じように、批判の声も受け止めます。

クリス:マイケル、ティンカー、今日はあなた方のような方々からジョーダン ブランドについての貴重なお話を聞くことができて大変光栄でした。世界中の皆さんに代わって、あなた方のジョーダン ブランドへの多大な貢献、そして30年にわたる素晴らしい瞬間、思い出にお礼を申し上げたいと思います。

Translation by Yusuke Masuda/NBA Japan/PERFORM, Photos by NBA Japan/PERFORM


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ