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レイカーズに浸透するルーク・ウォルトンの主義

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ルーク・ウォルトンがロサンゼルス・レイカーズのヘッドコーチに就任するという報せを聞き、ジョーダン・クラークソンほど興奮を隠せなかった人間は少数派だっただろう。

「彼のHC就任が決まった直後、家の周りを5分くらい走った」と、クラークソンは9月28日(日本時間29日)の練習後に語った。

「友達に聞いてもらえればわかるけれど、ソファの上で3回か4回くらいは飛び跳ねたね」。

家具を飛び越すことなど、現在のレイカーズ内で1、2を争う身体能力の持ち主であるクラークソンには朝飯前。ウォルトンHCは、その高い身体能力をディフェンスに生かしてもらいたいと、期待を寄せる。

ウォルトンHCは、「彼にとっての挑戦は、有能なディフェンダーになること」と話す。

「キャンプが始まってからチーム練習を2度こなしたが、彼はベストの一人。アグレッシブで、胸をぶつけ、スクリーン越しに必死に付いて行っている」。

クラークソン自身は、レイカーズでの2年間を通じ、相手からファウルを引き出す技術、3ポイントシュートの安定感、そしてディフェンスなど、改善が必要な部分を理解している。

「守備は酷かったからね。正しくない位置を取ったり、いるべき位置にいなかったり、酷いときがあった。昨季はチームとしてディフェンスが良くなかった。でも僕は、個人のことと感じているし、本当に改善させたいと思っている」。

レイカーズは、カリフォルニア州大学サンタバーバラ校でのトレーニングキャンプ初日から2日間の練習のおよそ90%を守備に割いた。ディフェンスだけではなく、ウォルトンHCはオフェンスにおいても、これまでとは異なる考え方をチームに浸透させようとしていると、クラークソンは語る。

「正しいプレイがしたい。昨シーズン中は、オフェンスで正しいと思えるプレイができなかった。大学時代はタフなシュートを選択して、結果的にチームのフィールドゴール成功率が低くなった。今は、コーチがボールを回してイージーなシュートを打つよう指導してくれているから、ありがたい。本当に試合が楽になるからね」。

とはいえ、ウォルトンHCは、クラークソンにディフェンスに集中することを求めている。ただ、それと同時にオフェンス哲学を選手たちに説くことも忘れていない。

ウォルトンは、「ボールを動かすこと、選手が動くことは、どちらかといえばチームアイディアなんだ。何もせず、ただ立っている選手は一人もいない」と、説明する。

「もしチームがこの考え方を受け入れ、ジョーダンが今のような形でプレイできれば、きっと彼は素晴らしいシーズンを送れる」。

レイカーズの中ではクラークソン、ディアンジェロ・ラッセルがウォルトンHCを強く支持していることで知られているが、その他の選手にもコート内での自由なプレイが認められているという。

ウォルトンHCの理論の一つには、『成功は、選手に責任感を教え込むことで付いてくる』という考え方がある。現役時代にレイカーズに所属した当時チームを率いたフィル・ジャクソンは、コート上で対応が必要な問題が生じた場合、選手たち自身で解決策を見出すまで絶対にタイムアウトを取らない方針を貫いた。ウォルトンHCは、恩師の姿勢を例にあげ、「私は、選手全員に権限を与えたいと思っている」と、自身の理論を説明した。

「責任を負うことで、選手たちは自分がチームの持ち主の一人であることを理解する。そうすれば、よりハードにプレイするし、自分たちのチームであると認識することで責任を負うようになる」。

「より大きな役割を与えられることで、よりプライドを持つようになる。自分がチームを所有していると思えば、もっと強大な力を得たいとも思う。もちろん、適切な方法での実行が大前提になるが、私は選手全員が責任を持ってプレイすることを奨励する」。

こうした考え方が浸透しているのは、新人センターのイビカ・ズバックの姿勢からも見て取れる。直近3シーズンをクロアチア、セルビアのリーグでプレイしたズバックは、キャンプ初日からペリメーター内のシュートに取り組んでいる。欧州時代は、試合でアウトサイドシュートを打つとベンチに下げられ、試合終了まで出場機会を与えられなかったという。それ故に、レイカーズではやり易さを感じていると、ズバックは言う。

「3Pライン近くからシュートを打っても、悪いことをしているという気にならなくて良い。僕はシュートを決める自信があるからね。打てると思ったときにシュートを打って、何も言われないから、最高だよ」。

同日はキャンプスタートから初めて2部練習を行なう日で、午後の練習では実戦形式の練習が予定されている。選手たちが早くコートでプレイしたがっていることを察知するウォルトンHCは、こう語った。

「ここ2日間の練習の成果を見たい。ターンオーバー、軽率なミスも多いだろう。ようやく手綱を緩めて、選手たちにプレイさせるわけだからね。それに、皆がポジション、出場時間、全てのために競い合うわけだから」。

原文:Walton Seeks to 'Empower' Clarkson and Others by Joey Ramirez/Lakers.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ