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レブロン・ジェームズ「ケビン・デュラントと自分の移籍は状況が違う」

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NBAファイナル第3戦を終え、6月9日(日本時間10日)に行なわれる第4戦を前日に控えたレブロン・ジェームズがメディアの質問に答えた。自身がコートに立っていないときのチームの苦悩や、ケビン・デュラントがウォリアーズに加わったことを自身が経験した移籍と比べ、その違いをじっくりと語った。

ーー何度か移籍したことがあり、その難しさ、全てがうまくいくまで時間がかかることを理解している身として、ケビン(デュラント)がすぐにチームに馴染み、完璧なチーム状態を作り出せていることを凄いと思う?

まず、彼がこれまでキャリアを通して積み重ねてきた成功を凄いと思っているし、彼が選手として成長していっているのを見るのは楽しい。ただ移籍に関しては、彼と自分のキャリアは違うと思っている。(ウォリアーズは)すでに出来上がったチームで、自己を犠牲にしてチームにとって必要なことをなんでもやる選手で組み立てられている。

あのチームはもう出来上がっていた。彼はチームにやってきて、必要なことをやればいいだけだった。そして彼はそれをやっている。自分がここを去ってマイアミ(ヒート)に行ったときは、新たにチームを作り上げる必要があった。8、9人新しい選手を投入して作り上げる必要があったんだ。そしてここに戻ってきたときも、新たに作り上げた。

ただ彼が自分のスタイルを少し変え、何本か自分のシュートを犠牲にして、常に自分がボールを持っているという状況を捨てたことは評価するよ。でもそれがあのチームにとって機能することなんだ。だって、ゴールデンステイトやサンアントニオやクリーブランドにきて自分のプレイを犠牲にしたくない選手なんているかな? 優勝争いをできることがわかっているのだからね。

ーー昨日の試合(第3戦)であなたがコート上にいる時間帯といない時間帯の得失点差は、レギュラーシーズンを物語っているようだった。今後あなたが休憩しているときや試合を休んでいるときでも、このチームが安定したパフォーマンスを見せるにはどうすればいい?

わからない。今はその答えはわからない。リードを守れないという事実は当然いやだし、自分がいるいないに関係なくリードを保つことができないのが嫌いだ。チームメイトのためにも、自分のためにも、関係している全員にとってこれはいやなことだ。そして昨夜は、またそれが起こった。確か第1Q残り1:43でベンチに下がったときは31-29でリードしていたが、そこから10-0のランをやられ、31-39になった。32か、3ポイントシュートのビデオレビューが行なわれて1点追加されたから。

このチームを相手にしているとき、そういった連続失点は絶対に許されないものだ。そしてあなたが言うように、レギュラーシーズン中もプレイオフ中も、チームとして正しい解決策を見出さなければならない。正しいメンバーがコートに出ているか、もしくは出ている選手たちがしっかりと自分たちの仕事を高いレベルでやれているかってね。それは答えを見つけないといけないことだ。

ーー試合残り50秒、2点リードするなかで、あなたがパスするのではなく自ら得点すべきだと批判する人たちがいる。そういった批判に対するあなたの返答はなに?

あなたがここ数年、僕がここで言い続けてきたことを聞いていたかわからないけど、どうでもいいと思っているよ。昨日の試合で僕は101回ドライブを仕掛けた。実際は101回なんかじゃないけど言いたいことはわかるだろ。102回目のドライブをせずにごめんなさい。批判ってなんだ?終わってみればどうでもいいことだよ。

ーーもしあのプレイをもう一度できるとしたら、もう一度あのパスを出す?

もしあのプレイをもう一度できるなら、まずはスクリーンをかけてもらう。それですでに5ファウルしているドレイモンドが僕にスウィッチしてくる。彼が少し体勢を崩した隙をついて左にドライブする。KDがヘルプに来るのを確認する。ステフィン・カリーがケビン(ラブ)をカバーしにいくのを確認する。そしてコーナーにリーグ史上最も優れた3ポイントシューターの一人であるカイル・コーバーがいるのを確認して、彼にシュートチャンスを与える。全く同じことをするよ。

ーーKDの話に戻すが、あなたがマイアミに移籍したとき、時代は違った。あなたやケビンのような選手を獲得するには、ロスターを一掃して1から始める必要があった。今では、優勝チームがケビン級の選手を獲得することができる。それ、はリーグにとっていいことだと思う? そしてそれはフェアだと思う?

ちゃんとルール上で行なわれていることだ。僕の状況と違うのは、多くの選手がドラフトで入団していることがゴールデンステイトのいいところなんだ。あのチームのトッププレイヤーのうち3人はドラフトで入団しているから、CBA(労使協定)を理解していればわかると思うけど、バード例外条項で彼らをチームに残留させることができている。

だからステフ(カリー)、クレイ(トンプソン)、ドレイモンド(グリーン)をチームに残しながらも、昨年の夏にやったようにハリソン・バーンズを放出し、(リアンドロ)バルボサと(アンドリュー)ボーガットを再契約しないだけで(デュラントのような)選手を獲得しにいくことができたんだ。

僕がマイアミに移籍したときは、UD(ユドニス・ハスレム)とDウェイド(ドウェイン・ウェイド)のほかにバード例外条項で残留させたい選手がいなかったから、キャップスペース(年俸総額上限までの余裕)をたくさん空けてチームを一新させた。それでチームは(クリス)ボッシュと僕を獲得するチャンスを得て、我々が給料を抑えることでマイク・ミラーも獲得することができた。リオ(マリオ・チャルマーズ)はドラフトで獲得した。やはり状況が違ったよね。完全に違う。完全に違うよ。

しかしフェアかどうかって? どうでもいいよ。個人的にはすごくいいことだと思う。リーグにとっていいことだ。テレビ視聴率を見てみなよ、リーグに入ってくるお金を見てみなよ。バスケットボールは大人気だ。ファンも楽しんでいる。フェアかどうかなんて僕が判断を下すものではないよ。

自分が誰と対戦していようと、それが4人の殿堂入り選手であろうと、このシリーズの前に話したように、ドレイモンド、クレイ、ステフ、KDであろうと、2人であろうと、どんな状況であれ、僕はバスケットボールをプレイできることに興奮している。だから他の選手が自分のチームに選手を加えているのがフェアかどうかなんて僕には判断できないよ。

それが今の主流なんだ。90年代にニューヨーク・ヤンキースがどんどん選手を獲得していったのはフェアかい? (ダラス)カウボーイズがディオン・サンダーズを獲得したのはフェアかい? そのチャンスがあったんだ。

聞いてくれ。よくあることなんだよ。これはスポーツだ。もしベストプレイヤーの一人と契約するチャンスがあったら、やればいいよ。なぜやらない? もし自分がオーナーになったら、僕は全員と契約したい。楽しみなよ。

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ