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レブロン・ジェームズ、引退表明のコービー・ブライアントについて語る 「彼のようになりたかった」

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Kobe Bryant, LeBron James

クリーブランド・キャバリアーズのレブロン・ジェームズが、今季限りでの現役引退を表明したロサンゼルス・レイカーズのコービー・ブライアントについての思いを語った。AP通信のトム・ウィザーズ記者が伝えている。


幼い時分、レブロン・ジェームズはベッドルームの壁に、敬意を込めてコービー・ブライアントの写真を飾っていた。

ジェームズは、12月1日(日本時間2日)のワシントン・ウィザーズ戦前にメディアの取材に応じ、「彼(ブライアント)のようになりたかった」と、語った。

ブライアントが今季終了後に現役を退くことを表明してから2日後、ジェームズは、アメリカ代表として共にオリンピックでプレイし、自身がより高みに達するために背中を押してくれ、NBA史上最も著名な選手の1人としてコートを去る偉大な選手への感謝の気持ちと、愛情を言葉にした。

「僕たちは、いつも競い合って、引きずり降ろそうとし合った」。

「でも、それと同時にお互いを尊敬し合った。なぜなら、お互いにどれだけバスケットボールに心血を注いでいるかを知っていたからだ。僕はいつだって、コービーに関する意見を言葉にしてきた。コービーがどれだけ偉大な選手であるかをね。彼のような選手は二度とリーグに現れない。二度とね」。

ジェームズは、取材時間の大半をブライアントの功績を称えるのに費やした。そのブライアントは、自身が育ったフィラデルフィアで、現役最終年の“お別れツアー”をスタートさせた。

偉大な功績を残す選手となるブライアントがかつてNBA選手としての第一歩を踏み出したように、ジェームズもまた、オハイオ州アクロンで、無敵のオフェンス技術を誇る選手のプレイを模倣し、彼に近づくため、やれることをすべて実行した。

「高校生の頃に髪型をアフロヘアにしていたのは、コービーの影響だった」と、ジェームズは当時を振り返る。

「感化されたのは(マイケル)ジョーダンと常に言っているけれど、ジョーダンは手の届かない、はるか遠くにいる存在。コービーは僕にとって憧れの存在で、彼のようになりたくて、彼のようにプレイしたかった。それに、彼が僕をコンペティターとして次のレベルに導いてくれた。競い合うこと、そして絶対に倒れないという気持ちを持つことがどれほど重要かを彼は教えてくれた」。

ジェームズは、ブライアントが残した印象的なプレイの数々を挙げた。2006年に81得点をあげた試合、フェニックス・サンズ戦で決めた決勝ジャンプシュート、インディアナ・ペイサーズ戦で見せたティップダンク、デンバー・ナゲッツ戦で決めたボールを背後に回してからの360度ダンク……etc.

ジェームズはそれらすべてを自身で再現できるものの、もう二度とお気に入りのプレイリストに追加されるシーンが見られないことへの葛藤に苦しんでいる様子だった。

「終わりを迎えるというのがわかっているというのは、本当に寂しい」。

オフシーズン中のハードなトレーニングの最中、ジェームズは、頭の中でブライアントがどこかのジムで練習している姿を思い浮かべていた、と言う。彼がクロスオーバードリブルの技術を完璧に近づけ、アンストッパブルなフェイダウェイジャンプシュートの技術を磨き、追い込む姿を――。

「コービー・ブライアントがいるからこそ、もっとレベルアップしないといけないことを僕は理解していた」。

「彼がジムで、レベルアップするために練習していることを知っていたからだ。とても上手い選手だということを知っていたからだ。だからこそ、練習したくないと思った日や、もうこれ以上やれないと感じた日には、いつだってコービーを思い浮かべた。彼がレベルアップすることをわかっていたから、自分自身に『1日休んだら、彼のアドバンテージになるんだぞ。休むわけにはいかないだろ? 休んだらダメだろ?』と、自分に言い聞かせてきたんだ」。

「それに、どこかで彼が猛練習していることを知っていたから、キャリアを通じて彼の存在をモチベーションアップの材料にさせてもらった。それがなくなるのだから、少し寂しくなるね」。

ブライアントを尊敬して止まないジェームズには、心残りがある。2009年のNBAファイナルで、世界中のファンが渇望したキャブズとレイカーズの対戦を実現できなかったことだ。大舞台でブライアントと対戦できなかったことを後悔していると言う(※その年はキャブズを破ったオーランド・マジックがファイナルでレイカーズと対戦し、レイカーズが優勝した)。ジェームズもブライアントも、2007年以降にファイナルに出場しているが、直接対戦は実現していない。

ジェームズは、「(レイカーズ対キャブズのファイナルを)世界中のファンが見たかったのを知っている」と、語る。

「僕自身、それに僕たちも実現させたかった。彼は勝ち上がり、僕は辿りつけなかった。残念だよ。実現させられなかったことを、本当に残念に思っている」。

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ