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クリッパーズ、ジャズとのシリーズに敗れれば『チーム解体』の可能性も

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ロサンゼルス・クリッパーズのNBAプレイオフ2017用プランは、ブレイク・グリフィンの離脱により大きく狂った。ユタ・ジャズとのウェスタン・カンファレンス・ファーストラウンドは第5戦までを終え、ジャズが3勝2敗で王手をかけている。4月28日(日本時間29日)にソルトレイクシティで行なわれる第6戦を前に、『The Vertical』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が、クリッパーズについての見解を綴った。

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スター選手が集い、球団史上最高の日々が訪れるはずだった。だが、ここ何年もロサンゼルス・クリッパーズがNBA優勝を逃していることは必然だった。

そして今、一度も球団に訪れなかった『一つの時代』が終わりを迎えようとしている。25日(同26日)にステイプルズ・センターで行なわれたユタ・ジャズとのファーストラウンド第5戦に92-96で敗れ、後がない状況に追い詰められたからだ。

ブレイク・グリフィンが負傷離脱した時点で、ジャズのほうが優れたチームなのは明らかだった。ひょっとすると、もしグリフィンがプレイできていたとしても、第5戦に負けたかもしれない。ジャズはクリッパーズよりも戦力が厚く、連携レベルも上。しかも、今シリーズにかける意気込みでもクリッパーズを上回っている。今回のシリーズがクリッパーズにとって一時代の終わりを意味するのならば、ジャズにとっては新時代の到来とも言える。

ベテランのジャマール・クロフォードは、『The Vertical』に対し「自分たちにはブレイク抜きでも戦える公式がある。過去にも経験していることだから」と言う。だがチームの連帯感について聞かれたクロフォードは「もし今のチームに一体感がないとすれば……潮時かもしれない」と答えた。

それでもクロフォードは「でも、チームは一つになっていると思う」と続けた。

「数年前(サンアントニオ)スパーズとのシリーズでは1勝2敗になって、2勝3敗に追い詰められたけれど逆転して勝てた。今のチームの主力の大半は、あのシリーズを経験している。あの経験を生かせると思うんだ」。

もしジャズとのシリーズに敗れれば、今夏クリッパーズは重大な決断を下さなくてはならない。再びグリフィンがファーストラウンドで負傷離脱して敗退し、来季多額の贅沢税をリーグに支払うことになるにもかかわらず、現有メンバーを全員チームに呼び戻すのは現実的な選択とは言えない。オーナーのスティーブ・バルマーの財力をもってすれば問題ないのだろうが、賢明な判断とは言えない。

果たして、グリフィンと5年のマックス契約を結ぶことに意味はあるのか? ニューヨーク・ニックスと2年の契約を残しているカーメロ・アンソニーをトレードで獲得する選択肢はあるのか? クリッパーズは、クリス・ポールがフリーエージェントの権利を獲得する7月1日(同2日)に話し合いを設けるだろうが、ポールが決断を下すまで同じくFAになるJJ・レディックとの契約に関しては判断できなくなる。そうなった場合、レディックはサラリーキャップに余裕がなくなる時期を待たず、他チームと1年1700~2000万ドル(約18億9000万円~22億2400万円)程度の契約を結ぶことを優先するだろうか?

もしクリッパーズがこのままジャズに敗れれば、今夏は次のステップに向け、非常に複雑に入り組んだ過程を踏まなければならない。まずは第6戦に勝利し第7戦を行なう権利を獲得するのが先決だが、希望があった2年前のスパーズとのシリーズとは異なり、今回はすでに勝負が決した感がある。グリフィンは今季残り試合全休で、今のクリッパーズには付け入る隙が多く、脆弱そのもので、第6戦でも苦戦は必至だ。いよいよ、『何か』が終わる時期を迎えようとしているのかもしれない。

原文:Summer of uncertainty looms for Clippers by NBA.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ