NBA選手がオリンピックに出場するようになったのは、1992年にスペインで開催されたバルセロナ大会からだった。それ以降、NBA王者となった年の五輪で金メダルを獲得した選手は、過去3人しかいない。1992年の大会に出場したアメリカ代表のスコッティ・ピッペンとマイケル・ジョーダン、2012年のロンドン五輪に出場したレブロン・ジェームズ(当時はマイアミ・ヒート所属)のみだ。
今年の8月、ブラジルで開催されるリオデジャネイロ五輪にアメリカ代表として出場するクリーブランド・キャバリアーズのカイリー・アービングは、史上4人目の選手となることを目標に掲げている。
6月27日(日本時間28日)にハーレムで行なわれたアメリカ代表発表会見に出席したアービングは、「今シーズンは、自分のチーム、クリーブランド・キャバリアーズで成果をあげたい、という目標があった」と、語った。
「そして、今はUSAバスケットボールで成果をあげる機会を手にしようとしている。オリンピックに出場するチームに加われる機会を断念するのは難しい」。
「僕にとっては、昔からの夢だった。自分よりも、自分のチームよりも大きな存在の一部に加わってプレイしてみたいと思っていた。きっと素晴らしい経験になる。でも、NBA優勝に加えて金メダルを獲得するには、相当の努力をしないといけないのはわかっている。胸に”USA”と入ったユニフォームを着て、他国の選手との勝負になる。これは、僕たちの存在よりも大きなものをかけて戦う、ということ。そういう戦いに、代表チームの皆と一緒に臨めて嬉しく思う」。
アービングと同様に今回の代表に選出された中には、2016 NBAファイナルで鎬を削り合ったゴールデンステイト・ウォリアーズからも3選手が選ばれている。僅か8日前に行なわれたファイナル第7戦で戦った、ハリソン・バーンズ、ドレイモンド・グリーン、クレイ・トンプソンが、アービングと共に赤、白、青のジャージーに身を包み、アメリカの金メダル獲得に向け、一致団結して戦うことになった。
アービングは、ウォリアーズの3選手について、「彼ら3人がそれぞれチームにもたらしてくれるものを考えれば、彼らが勝者だということがわかる」と、話した。
「彼らも優勝経験者。大きなものを勝ち取るために何をすれば良いかを熟知している。彼らがチームにいてくれて、心強い」。
しかし、2016年のNBA優勝チームはキャブズだ。アービングは、2015年にウォリアーズの優勝に貢献したバーンズに、そのことを冗談を交えて伝えたという。
バーンズは、「彼に会ったとき、ジョークを言われたよ」と、語った。
「(2016 NBAファイナルは)もう過去のこと。同じチームで楽しくプレイするさ」。
優勝に至るまでアービングとは異なるキャリアを送ったバーンズだが、ファイナルでの敗戦がモチベーションになっていると明言。だからこそ、優勝候補筆頭と言われるアメリカが、手ぶらで帰国することがないよう、集中していると言う。
キャブズに敗れたことで、五輪に出場する重要性が増したかを聞かれたバーンズは、「もちろん」と、答えた。
「今回の経験は、素晴らしいものになるだろうね。それに、ファイナルで負けた辛さ以外のことに意識を向けられる。ホームに金メダルを持ち帰りたい」。
バーンズのチームメイト2人も、金メダルを獲得を目標に掲げている。だが、バーンズとは異なり、ファイナルでの敗戦が五輪出場の意味にかかわることはないようだ。
グリーンは、「ぜんぜん関係ない。別物」と、コメント。さらに、こう続けた。
「もしファイナルで勝てていたとしても、オリンピックで勝ちたいと思っていたよ。(NBAシーズンと五輪は)まったくの別物だから。こんな機会、なかなか得られるものではないよ。4年に1度の大会だからね。4年ごとにチャンスがあるかなんて、誰にもわからない。僕たちの国には、素晴らしい選手が大勢いるわけだから。僕は、このチャンスを生かして金メダルを獲得したい、と考えているんだ」。
トンプソンは、バーンズとグリーンの中間的な考えを持っている。
「もしNBAで優勝していたとしても、五輪出場を希望しただろうね」。
「もちろん、(五輪出場が)今年のオフシーズンのより所にはなるよ。金メダルを獲得するチャンスがあれば、少しは気分も良くなる。(ファイナルでの)敗戦を、もっとレベルアップするための機会として受け止めること。いつまでも引きずっているわけにはいかない。毎シーズンが長丁場で、厳しいものだからね。気持ちをクリアーにして臨まないといけない。僕は、そう確信しているよ。もちろん、最近のことだから、鼻持ちならない部分もある。(ファイナル第7戦の第4クォーター)残り1分の時点で同点だったわけだから、『あのときこうしていたら』、とかを考えてしまう。ただ、代表でのプレイに影響はない。これは、素晴らしい経験になることだからね」。
原文:Kyrie Irving glad he gets to chase history with three Warriors as teammates by Jesse Spector/Sporting News