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[来日単独インタビュー]カイリー・アービング(3)「どんな相手にでも得点する自信がある。自分がどれだけ練習してきたか知っているから」

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「父は基礎をしっかりできるように仕向けてくれた」

――あなたは素晴らしい1on1プレイヤーで、もはや世界一と言ってもいいくらいなのですが、いい1on1プレイヤーでいるということに昔からプライドを持って取り組んできたのですか?

そうだね、それは常に自分の得意分野だった。いつも父親のプレイや、ニューヨークのバスケットボールを見てきて、自分が経験してきた文化の一部なんだ。コートの片側を空けて、相手が自分を止めるか、止められたらできるまで何度も、何度も繰り返すんだ。そういう文化だった。オシャレなムーブやクレイジーなトリックなどをたくさん見てきた。

でも父はいつも、バスケットボールというゲームを美しいものにしているパス・シュート・ドリブルといったゲームの基礎をしっかりとできるように仕向けてくれた。僕は父ほど背が高くなれず、他の人のように素早さや力がなかったから、どれだけ大きい相手でも、素早い相手でも対戦できるように、自分の中の基礎とクリエイティビティをひとつにしてプレイする必要があったんだ。どんな相手にでも得点する自信があるよ。自分がどれだけ練習してきたか知っているからね。

――確かに、あなたはいつも“マイカンドリル”(ジョージ・マイカンが常にこなしていたと言われるゴール下からのレイアップを繰り返すバスケットボールの基礎練習)を練習していますが、あれほど基本的な練習はないですものね。

その通りさ。でも、そこから始めたんだ。父と裏庭や体育館に行くと「よーしカイ、マイカンドリルレイアップ50本だ」って父が言うんだ。50本通常のレイアップを両手でやって、そのあとは50本リバース。それから右足を軸に50本、左足を軸に50本。それからバックボードの左上に当てて50本、右上に当てて50本。次はバックボードの左下に当てて50本、右下に当てて50本。そのあとはどこにも当てずネットを通す。そしてフックショット……。いつも父と2人で練習していた。そして12歳、13歳くらいになってからようやく自分1人で練習するようになったんだ。

「対戦するのが好きなのはエイブリー・ブラッドリーとクレイ・トンプソン」

――リーグの中で対戦するのが好き、もしくは嫌いな選手はいますか?

リーグの素晴らしい選手と対戦するのは好きだよ。1人はエイブリー・ブラッドリー(ボストン・セルティックス)で、もう1人はクレイ・トンプソン(ウォリアーズ)だ。あの2人とやっているのが一番嫌なんだ。自分がどこに行こうと常にボールを狙っていて、接触してくるし、肘を入れてくるし、僕も肘を入れ返したりしてね。

お互いをリスペクトしているのがわかると、それだけマッチアップのレベルも上がるんだ。お互いのパターンを研究しているからね。僕も相手のディフェンスを研究して、彼らも僕のオフェンスを研究しているから、自分のやりたいムーブを出すために必要なスペースをどう確保するかというやり合いになるんだ。それがとても楽しんだよ。素晴らしいディフェンダー相手に練習してきたムーブを仕掛けて成功すれば、間違いなく世界中どこでも通用するからね(笑)。

――対戦するのが好きな選手、嫌いな選手、両方への答えいうことですね。

そうだね。彼らはちょっとでも気を抜いたら僕が抜いてくることを理解しているし、逆も然り。僕が何か間違えれば彼らもそこを突いてくる。一度ハーフコート辺りでエイブリー・ブラッドリーにスティールされたことがあったんだけど、それまでにそんなこと経験したこともなかった。本当に綺麗にスティールされてね。「すごいな」って思ったよ。リスペクトしかないよ。

Kyrie Irving Clutch Bucket Tokyo

――今年前半にジョン・カリパリは自分がコーチしてきたケンタッキー大学出身の選手でチームを構築したら誰にでも勝てると話していましたが、デューク大学出身選手として、デューク出身チームを作るとしたら誰をロスターに入れますか?

全員だよ。プレイしたいという選手は全員欲しいね。ベテラン選手もたくさんいるし、デュークから(NBAに)上がってきた選手のクオリティは高い。特に今は1年生で上がってくる選手のレベルもとても上がっている。今年はジェイソン・テイタム(セルティックス)がトップ3で選ばれて、フランク・ジャクソンも2巡目(全体31位でシャーロット・ホーネッツに指名された後ニューオーリンズ・ペリカンズへトレード)で指名された。どんどんタレント溢れる選手たちが入ってきているんだ。

昔はデュークに1年だけ行くっていうのはあり得なかったけど、今はどんどん若い選手が育っていて、今後のNBAを変えて行くだろう選手たちがデュークに行ってくれると嬉しいね。ああ、あとハリー・ジャイルズも1巡目でサクラメントに指名されているね(ポートランド・トレイルブレイザーズに指名された後、サクラメント・キングスへトレード)。

――デュークにいたのは1年だけでしたが、選手としてコーチK(マイク・シャシェフスキーHC)にはどれほど影響を受けましたか?

(デュークに行ったのは)人生で一番いい瞬間のひとつだったよ。彼は僕に自信を植え付けてくれた。「これはお前のチームだ。お前の行く方向に我々も行く。お前がペースをプッシュして、オフェンスもディフェンスもリードするんだ。信頼しているぞ」って言ってくれたんだ。1年生でそれをヘッドコーチから聞くと、それだけ自信がつくよね。試合のスコアが何であれ、どんな状況でもコーチが信頼してくれているのがわかっているからね。

「来シーズンはとても高いレベルの競争になる」

――オフシーズンはいろいろな動きがあって、ウェストにスーパーチームがたくさん生まれているわけですが、2017-18シーズンの抱負をお聞かせください。

その競争をとても楽しみにしているよ。信じられないようなレベルになることはわかっている。選手たちは上手くなっていて、移籍した選手も多くいるなか、ここからはチームがどう上手く形成されて行くかが見ものなんだ。選手が新しいチームのシステムや文化に入るというのはとても難しいプロセスだからね。選手同士、マネージメント、組織、生活に慣れるのに時間がかかる。

ここからはリーグの人間性が楽しめると思うよ。6、7年プレイしたホームを去った選手が多いからね。最高なシーズンになることを望んでいるよ。来シーズンはとても高いレベルの競争が見られることは間違いないね。

――もちろん目標は優勝することだとは思いますが、個人的な目標はありますか?

まずはしっかりと健康状態を維持することだね。そしてチームをリードして鼓舞していきたい。一番大切なのは自分のチームにとってお手本となれるようにすることだ。そして最終的には楽しみたい。82試合は長いシーズンだからね。そしてもう一度ファイナルに帰ってくる。全ての試練が楽しみで、どんなチャレンジャーも歓迎だ。待ちきれないね。

――来シーズン楽しみにしています。

ありがとう。

協力:Nike Japan
インタビュー:大西玲央 Twitter:  @BullsFiJ
写真:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho, Instagram: jashinmizuho
構成:及川卓磨 Twitter: @oitaku

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ