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[来日単独インタビュー]カイリー・アービング(1)「シューズ制作のすべてのステップに関わっている」

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「日本は初めて」

――ようこそ日本へ! さっそくですが、今回のツアーについて少し教えてください。

まずはここ東京で始まるんだ、昨日到着した。『CLUTCH BUCKETツアー』として台湾と北京にも行く予定だよ。とにかく今ここにいれることが嬉しい。こういう経験は初めてだからね。日本に加えて台湾と中国でのお土産話を家族と友人にするのをとても楽しみにしている。

――日本に来るのは今回が初めてですか?

そう、日本は初めてなんだ。中国は広州と上海に行ったことがある。台湾は初めてで、北京の街も初めてだからとても興奮しているよ。

――おそらく世界中で愛されているのだと思いますが、あなたのシューズは日本で大人気です。自分がバスケットボールをするときも必ずコート上に何人も履いている人がいます。シューズを作る過程にはどれくらい関わっているのですか?

あなたが想像できる全てのステップに関わっているよ。シューズの底から、トップのデザイン、ミッドソール、つま先部分、内側のクッション、シューズの見える部分、全てうちのブランディングチームからのインスピレーションだったり、自分の文化、生い立ち、今やっていることに共鳴したことを全て落とし込めていることをとても感謝しているよ。カイリー1から今の3まで大きな進化を遂げてきた。

Kyrie Irving Interview by NBA Japan
インタビュー時、最新作『カイリー3』を左右色違いで着用していたカイリー・アービング Photo by Mizuho Nishio

――選ぶのは難しいかもしれませんが、一番お気に入りのモデルはありますか? やはり一番思い入れがあるのはカイリー1ですか?

ああ、そうだね。ナイキは僕の想像をはるかに超える技術を持っているから、僕のプレイスタイルに合わせたシューズを作るためにもの凄く細部にこだわっているんだ。そのおかげで、ピボットするときの摩擦力や、ソールのグリップのおかげで瞬時に止まることができたり、僕のプレイに合わせたアドバンテージを得ることができる。

今のこのシューズはポイントガードやシューティングガードだけでなく全てのポジションに最適で、とても軽量なのにしっかりと足元を固めてくれ、劣化することもなくシューズの質は常に保たれるように作られているんだ。

「ナイキはいつも間違いない」

――新しいNBAユニフォームの製作にもあなたは情報提供していたそうですが、これはどんなプロセスだったのか教えてください。

とても興味深いプロセスだったよ。第一に、自分がNBAのユニフォームを作る過程に参加できるなんて思ってもみなかったからね。難しかったのは、NBAのユニフォームというものがこれまで作り上げてきたオリジナリティと伝統を維持することだった。ユニフォームにはかつての選手たちが乗り越えてきた厚みと重みというものがあるんだ。ナイキになった今、そこを大切にしながら今の選手たちがユニフォームに腕を通したときに、過去の選手たちのプライドを同じように感じられるようにしたかったんだ。だからナイキのユニフォーム製作の打ち合わせに参加できたのはとても楽しかったよ。

――プレイにはどれほど影響があるのですか?

僕としては、パフォーマンス的には優れているであろうことはわかっていた。ナイキはいつも間違いないからね。ただやっぱりNBAのユニフォームという厚みというものを大切にしたかったんだ。裾のところにサイズが書いてあって、文字の刺繍があって、背中に自分の名前と数字があって……今年プレイする選手たちのためにもそういったところを維持しながら進化させることが大事だった。

――リーグ入りしたとき、あなたはとても若かったのですが、これまで憧れていてNBAに入ったことで会うことができた選手はいましたか?

僕が最初にNBAに来たなって感じたのはロサンゼルスにいたときだ。(ロサンゼルス)レイカーズとの対戦で、コービー(ブライアント)は3試合連続で40得点以上を記録したんだ。うちがその3試合目だった。ルーキーとしてそれを目撃できたことが最高だったのを覚えているよ。「信じられない、コービーがうち相手に40得点している」って見とれてしまう瞬間が何度かあったね。

「役割が新しいものに変わるのは誰にとっても難しい」

――リーグに入ってからサポートしてくれたベテラン選手は誰かいましたか?

実はそんなにいないんだ。アントワン・ジェイミソンがいて、彼はいいベテラン選手だった。アンソニー・パーカーもいたね。でも2年目くらいでもはや僕がベテランというチーム構成だったから、若くしてチームのリーダーになるというユニークな状況にいたんだ。

ただレブロン(ジェームズ)が来てそれは一変して、リーグで一番若いチームから一番年齢の高いチームになったんだ。ベテラン選手をたくさん契約して、今までいた若い選手たちは別の道を辿ることになった。気づけばチームで自分が一番若い選手でありながらも、チームのリーダーでは居続けたからそれは興味深かったね。

――当初自分のチームだったのが、一気に巨大戦力になったときの移り変わりにはどう対応しましたか?

最初は難しかった。自分の役割が新しいものに変わるのは、誰にとっても難しいようにね。チームのポイントガードでいるのと、レブロンのような偉大なスーパースターがやってくるのでは大違いだからね。

まず彼はしっかりと保持しながらゲームをコントロールする、それが、彼が偉大な選手である理由なんだ。だからそれに合わせてチームをうまく機能させながらも、自分の最大限を発揮する方法を見出す必要があった。たまに積極的になりすぎたり、消極的になりすぎたりしながら、自分はどういった役割がこのチームと一番フィットするのか理解する必要があった。多くの人が思っているよりもこれは難しいことなんだ。

>>>[来日単独インタビュー]カイリー・アービング(2)「コート上で自分が不安だと感じる場所はもうない」

協力:Nike Japan
インタビュー:大西玲央 Twitter:  @BullsFiJ
写真:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho, Instagram: jashinmizuho
構成:及川卓磨 Twitter: @oitaku

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ