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[来日合同インタビュー]カイリー・アービング「日本の文化を味わうことができて嬉しい」

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(代表質問:佐々木クリス氏)

偉大な選手っていうのは最前線に立ち向かっていくんだ

――まずは東京へようこそ! ここまでどうですか?

とても楽しんでいるよ。ここの文化や出会った人々との経験は最高だよ。ナイキを通してこうやって世界中の人と繋がれることに興奮しているし、人と接することが大好きなのでとても感謝しているよ。

――今日のイベントはどうでしたか?

まず日本におけるバスケットボールというスポーツを成長させることに関われたのが嬉しい。NBAだけでなくバスケットボール自体が今人気を集めていて、こうして夏にやってきてたくさんのファンや子供たちと交流ができた。こんなことができるなんて夢にも思わなかったよ。親友のアレックスは連れてきたんだけど、家族にも見せたかったね。東京や日本についてはいろいろ聞いていて、実際こうしてやってきて日本の文化を味わうことができたのは嬉しいね。

Kyrie Irving Clutch Bucket Tokyo

――今日は多くの選手たちが「クラッチ」ということを経験できたと思います。7秒間アイソレーションの練習、スキルチャレンジ、試合も最後の最後までわからなかった。「クラッチ」でいるというのは、どういうことですか?

落ち着いて、何も恐れず、 闘争本能を持ってどんなにプレッシャーがあろうが、いちかばちかの状況であろうと高いパフォーマンスができることだ。若い世代にはなるべく知識を分け与えたいと考えていて、そうすることによって僕が何を言っているか理解できるようになると思うんだ。7秒以内のプレイ、クラッチであること、それ以外にゲームには大切な要素がたくさんあるのだけど、そういった瞬間でチームに活躍することを求められたら、結果を残す必要があるんだ。

――あなたはどうやってクラッチプレイヤーになったのですか?

子供の頃からそういう姿勢でプレイしてきたんだ。試合を決するときはボールを持っていたくて、自分だけでなくチームのためにも素晴らしいプレイができると自分を信じていた。1本のシュートが試合の勝敗を決めるという重みを肩で感じながらも、その挑戦が大好きなんだ。そしてそれに対応する準備をしてきた。子供の頃から今に至るまでそう言った大きな場面をたくさん経験してきたからだいぶ慣れたよ。

――「慣れた」って言える選手はなかなかいないと思います。

怖いものなんだよ。だから萎縮してしまう選手もいる。でも偉大な選手っていうのは最前線に立ち向かっていくんだ。失敗しようが成功しようが、僕はその責任を負うことができる。

一番大切なのはチームメイトと正直に話し合い、お互いの目を見て話せること

――リーグ最高のポイントガードと呼ばれることも多いのですが、自分のことをどういう選手だと思っていますか?

まずは素晴らしいチームメイトであると思っている。チームメイトに与える愛情と激励、プレイしているときも僕は彼らを信頼していて、彼らも自分を信頼してくれている。自分の才能を自分だけでなく、チームの成功のためにも生かすことができる。それが自分の突出している部分だと感じている。大事な場面で結果を出していることもあるけど、一番大切なのはチームメイトと正直に話し合い、お互いの目を見て話せることなんだ。そうやってチームメイトと素晴らしいケミストリーが作れると信じている。忠誠心、そしてお互いの面倒を見ることが大切だと信じている。

――今日はメンタリティやクラッチについて話してきましたが、そういったことが自分の中で本格的に動き出したのはいつからですか?

小学4年生かな。4年生の頃からとても真面目に取り組むようになって、それからは毎日プレイしているよ。まあ毎日とは正確には言えないかもしれないけれど、とにかくたくさんの時間プレイしている。試合をするだけでなく練習もとてもしている。だいぶ慣れてきたけど、バスケットボールへの愛情は増すばかりだね。

Kyrie Irving Clutch Bucket Tokyo

――シーズンが終わってからもう1か月以上経ちますが、あと少しで優勝というところまで行きました。昨シーズンをどう評価し、次のシーズンに向けてどう取り組んでいきますか?

すごいシーズンだったね。チームとして良い時期もあれば悪い時期もあり、選手個人が立ち向かわなければならないチャレンジも多くあった。チームメイトとしてお互いについて学んだこともあった。そういったことをグループで経験すると、生涯彼らとは恩を感じ合うような存在になるんだ。家族との時間を犠牲にし、娘との時間、友人との時間、そういったことを全て犠牲にしながらNBAでの優勝を目指し、自分がなれる最高なバスケットボール選手になろうと努力するんだ。何ものにも代え難いことだよ。

そんなシーズンを送っても優勝まで届かなかったから、自分の中でさらに火がついたよ。信じられないかもしれないけど、ゴールデンステイトで舞っていた紙吹雪を一枚取ってあるんだ。来シーズンのモチベーションにするためにカバンに入れてある。だから来シーズンのモチベーションはそれでわかってくれるよね。

最終的な目標はできるだけ優勝すること

――カイリー3について教えてください。

デザインの全ステップに関わっている。細部にかなりこだわっているんだ。ファンや買ってくれる人に対して自分がどういうものを提供できるかとても気にしているからね。自分が90年代に生まれたことで、オールドスクールなものとニュースクールなものを両方融合させて、それをこのシューズに落とし込むことができた。

シューズに込めた物語や配色は僕のことを表しているのだけど、みんなにはこれがみんなのことを表現していると感じて欲しいんだ。僕はひとり親家庭で育ち、2人の姉妹がいて、家族をとても愛している。父は本当に最高で、僕が夢を叶えるためになんでもやってくれた。だから僕はいつも出会ってきた僕の人生を影響してくれた人たちに自分がやることを捧げるんだ。彼らが僕のシューズを履いてくれたら、僕からの愛情がそこに詰まっていると感じてくれるからね。その愛情はファンにももちろん、買ってくれる人や誰にでも注いでいるものなんだ。

それがシグネチャーシューズを持てる素晴らしいところなんだ。世界のあらゆることと触れ合い、人々に影響を与え、僕も影響を受け、様々なことを学んで人間として成長できるんだ。

――このツアーを通してさらに多くの人々に出会い、インスピレーションを得られるということですね。

間違いないね。日本に来てからもいろいろことに注目している。もともと観察深い人間なんだ。日本でのファッション文化や、街の灯りだったり、小さなカフェ。今日原宿に行ったときもファンは大騒ぎで、もう信じられなかったよ。大勢のファンが僕のシューズやジャージーを持っていて、信じられなかった。僕にとってそれは非常に大きな意味を持つことだった。

Kyrie Irving Clutch Bucket Tokyo

――先ほど紙吹雪をモチベーションのために取ってあると話していましたが、今あなたを選手として突き動かしているものは何ですか?

ゲームの愛、上手くなり続けたい、自分がなれる最高の選手になりたいという、時をかけて育まれた情熱だね。最終的な目標はできるだけ優勝することだ。このゲームからできるだけ得るものを得て、その知識を次の世代の子供たちに渡していくことで、世代が回って行くんだ。

――日本のファンへのメッセージをお願いします。

イベントでも話したけど、情熱を見つけて、それを育てて自分のものにし、自分にとって意味のあるものにするんだ。他人にできないなんて言わせないこと。そして自分の周りにいる人たちを大切にして、周りを愛すること。そして自分でいることだ。

(メディアからの質問)

代表に選ばれたら、2020年には東京に絶対戻ってくる

――オフシーズン中はクリス・ポール、ポール・ジョージ、ゴードン・ヘイワードなど大きな動きがたくさんありました。それに対してキャブズの戦力はもう整っていると考えていますか?

今はとてもユニークな状況にいる。リーグを見渡すと多くの選手たちが動いていて、動いていないチームに対して大きなプレッシャーになる。我々のチームは今それを静観している状態だけど、フロントはチームにとって必要な動きをしてくれるだろうと信じているよ。

――オリンピックの正式種目となった3x3についてどう思っていますか?

素晴らしいと思うよ。オリンピックの既存の種目に新たなダイナミックを加えることができると思う。3on3バスケットボールみたいな競技はほかにないからね、オリンピック種目になったことで、これまでオリンピックに出られなかった選手たちにチャンスが回ってくることが嬉しい。アメリカにはU16のチームがあったりして、才能を持った新たな選手がどんどん出てくることになる。

――次回のオリンピックは日本で行なわれますが、オリンピックチームの一員としてまた戻ってくる可能性はありますか?

待ちきれないよ。コーチ・ポポビッチ(グレッグ・ポポビッチHC)とUSAバスケットボール協会が僕を選んでくれたとしたら、2020年には東京に絶対戻ってくるよ。オリンピックが東京にやって来たときこの街がまたどうなっているのか見るのがとても楽しみだ。とても美しいことは間違いないだろうね。日本はなんでもとてもリッチに素晴らしいものを見せてくれる文化があるから、とても楽しみにしている。

日本にはカイリーっていうファンがいるよ

――オリンピックで金メダルを獲得することとNBAで優勝することの違いを教えてください。

オリンピックの金メダルっていうのは、15人別々のチームからやって来た選手を集めて、ひとつの目標に向けてプレイするというとても難しいものなんだ。多くのエゴを管理し、出場時間を管理し、様々なタレントを管理して、1か月半でチームをまとめてあげなければならない。そして金メダルを獲得しないといけないというチャレンジがある。

NBAではいつもプレイしているチームで、チームメイトも10か月ずっと一緒にいる。オリンピックが1か月半なのに対して、NBAファイナルに行くまでにはとても長い期間を要する。でもどちらも素晴らしい経験で、金メダルも優勝もどちらもできたことはとても嬉しい。

――試合前に行なうルーティンはありますか?

あるよ。J・コールの音楽を聴いて大好きなバンドの『Majestic」という曲を聴いてメンタル面を整える。足首をテーピングして、指のふたつのタトゥーにもテーピングして、試合に挑んでるよ。

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――最後にメッセージをお願いします。

まずはとても温かく迎えてくれた日本に感謝したい。僕や家族だけでなく、このツアーに関わっている人たち全員に見せてくれたことにとても感謝している。また戻ってくることをとても楽しみにしている。この世界ツアーを、東京で素晴らしいスタートを切ることができた。空港についたときからファンのサポートは素晴らしかった。今日のキャンプに来てから若い子供たちや原宿に来てくれた子供たちにも感謝したい。日本が自分にとってセカンドホームのひとつになってくれると嬉しいね。これからも日本のことを応援し、自分がこれからどこに行っても日本を代表する気持ちでいるよ。日本にはカイリーっていうファンがいるよ! ありがとう!

協力:Nike Japan
文:大西玲央 Twitter:  @BullsFiJ
写真:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho, Instagram: jashinmizuho
写真・構成:及川卓磨 Twitter: @oitaku

[特集]カイリー・アービング来日『CLUTCH BUCKET東京』


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ