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ケビン・ラブがパニック障害を告白

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「我々がどれだけ無敵に見えたとしても、結局はひとりの人間なんだ」。

これは精神衛生上の問題に取り組むチャレンジに対するトロント・ラプターズのスター選手、デマー・デローザンの言葉だ。デローザンは先月「このうつは僕に勝る」とツイートし周囲を驚かせ、 『トロント・スター』のダグ・スミス記者に自身のうつ病に関して詳細に語っている。

「同年代の人がどれだけ経験しているかもよくわかっている。誰かが僕を見て『彼も同じ経験をしているが、それでも彼は頑張っている、成功している』って思ってもらえるだけでも嬉しいよ」。

デローザンが自身の困難を告白したことは、クリーブランド・キャバリアーズのケビン・ラブにとって自身が抱えている問題を明かすきっかけにもなった。3月6日(日本時間7日)、『The Player's Tribune』に掲載されたラブの記事で、彼が11月5日(同6日)のアトランタ・ホークス戦で突如パニック発作に襲われていたことを明かし、それ以降は精神衛生上の問題に対する意識が変わり「その瞬間が警鐘となった」と説明している。

「パニック発作が終わった時点で一番大変な時間は終わったと思っていたが、真逆だった。それからはなぜ起きたのか、なぜ周りに話したくないのか、悩み続けることとなった。自分にとって未知の世界であり、とても混乱した。でもこれだけは確かだった。自分に起きたことを隠して前に進むわけにはいかないってね。そうしたいと考える自分もいたけど、パニック発作とそれに起因しているものをないがしろにするわけにはいかなかった。先延ばしにして、もっと問題が深刻になってから向き合うのは嫌だったんだ。それだけは分かっていた」。

デマー・デローザン インタビュー

キャブズの支援もあって、ラブはセラピストの元に通うようになり、助けが必要だということを受け入れることを学んだ。それまでは、こういった問題を打ち明けることは「弱さ」であると考え続けていたのだ。

ラブはこういった会話をできる環境をデローザンが作ってくれたと認め、同じ問題を抱える人々にチャンスを与えていると言う。ラブは「デマーが先週うつ病について話していたのを見たのが、筆を取るきっかけのひとつとなった」と綴っている。

「何年もデマーとは対戦してきているけど、彼が何か問題を抱えているなんて思ってもみなかった。とても考えさせられたよ。多くの人々が様々な問題を抱えながら生きていて、自分たちしかその問題を経験していないんじゃないかと考えてしまっているのだなってね。でも実際は、自分の友達、同僚、近所の人と多くの問題を共有しているはずなんだ」。

「デマーがあの話をしたことで救われた人がいるはずだ。我々が把握しているよりも多くの人が、うつ病を抱えている自分が決して変わり者ではないと感じることができている。彼のコメントは、そういった感情を少し取り払う助けをしてくれた。そこに希望があると思うんだ」。

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実際そうなのだ。単純に病気と向き合い、自分が感じていることを口にするだけで、こういった問題と密接に関わりあっている『恥』の感情を和らげることができる。筆者自身もその経験がある。

正直に話すと、私は生きてきた27年間の約半分をうつ病とともに歩んできている。何かを上手くやれても、喜びや達成感を感じることができなかった。面白いものを見ても笑うことができなかった。バスケットボールの試合やビデオゲームで負けても悔しさがこみ上げてくることはなかった。何にも関心が持てなかったのだ。自分がなぜ何も感じることができないのか理解できないことに対してだけ、寂しさと怒りがあった。

自分は周囲の雰囲気を悪くしているのではないかと考えるようになっていた。自分がいなくなることがベストなのではないかと考えるほど闇を抱えていた。自傷行為をする人の気持ちもよく理解できた。痛みであったとしても、少なくとも何か感じることができるのだ。

家族の多大な支えのおかげで、自分が問題を抱えていることに気づくことができた。医者にかかり、自分のうつ病は脳の化学的不均衡によるものだと知ることができた。薬を服用し、セラピストにも定期的に通うようになった。「骨が折れたらすぐ病院に行くだろう? だからこの病気だって治さなければ」と自分に言い聞かせることができたのだ。

ラブが言うように、セラピストの部屋にいるのは「とても怖いし難しい」ことだ。でも何度もやっていると、楽になってくる。一歩ずつ、前に進むことができるのだ。

社会での精神的な問題も同じだ。NBA選手であるラブとデローザンは、一瞬にして何百万という人々に発信することができる(ラブのツイートは数時間で2万リツイートを超えた)。プロスポーツ選手が自分たちの状況を“弱さ”ではなく“強み”として見せることができれば、多くの若い男女が自分を表現することは決して弱みではないと気づくことができるかもしれない。それは本当に勇気が必要なことなのだ。

私の言葉はラブやデローザンほど発信力はないが、ひとりでも多くの人にこういったメッセージを伝えられることができるのであれば、喜んで発信する。世界中の人々に語りかける必要はないが、ラブが言うように感情を「押し殺す」よりも誰かに話すほうがよっぽど良い。自分を助けるだけでなく、周りの人の助けにもなれるかもしれないのだ。

原文:Kevin Love, DeMar DeRozan demonstrate power, not weakness, in addressing mental health by Sporting News / Jordan Greer


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