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FAのケビン・デュラントに最適なチームは?

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レブロン・ジェームズには申し訳ないが、究極のウォリアー(戦士)は、ケビン・デュラントだ。

デュラント自身も、今後数日内にゴールデンステイト・ウォリアーズへの移籍を決断すれば、誰よりも自分が幸せになれると気づくべき。NBA入りから9シーズン優勝を追い求めてきたデュラントは、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、スティーブ・カーと一緒に仕事をすれば、確実に目標を達成できる。

2016 NBAファイナルでクリーブランド・キャバリアーズに第7戦の末に敗れたウォリアーズにとっても、デュラントは補強対象としては完璧だ。ファイナル第5戦からシュートが入らなくなったハリソン・バーンズとデュラントを入れ替えれば、2017、2018年の優勝候補筆頭に躍り出るだろう。仮に、レブロン・ジェームズが、スーパースターを欠くイースタン・カンファレンスで今後数年連続してファイナルに進出したとしても、デュラントがいればウォリアーズが優位なのは明らかだ。

フリーエージェントになるデュラントにとっては、自分が加わることで完成されるチームへの移籍を考えることこそ、正しい選択と言える。ここ数年、デュラントをよく知る周囲も、本人が最終的な決断を下す上で、優勝の可能性が最も重要な要素になると見ている。

7月1日(日本時間2日)の午前0時1分から、FA選手との交渉が解禁される。ニューヨーク州のリゾート地ハンプトンズに滞在しているデュラントは、交渉解禁後、現所属先のオクラホマシティ・サンダーを含め、6チームと交渉を持つ予定のようだ。しかし、その内の3チーム――ボストン・セルティックス、マイアミ・ヒート、ロサンゼルス・クリッパーズ――には、即優勝を狙えるだけの力は備わっていない。

NBA関係者の話によれば、まだまだ大規模な補強は必要になるものの、2014年のシーズンMVP受賞者であるデュラントは、サンダーで優勝する可能性がない、と決めつけることはないと見ている。何を考え、どのチームと契約すべきかを知っているのは、デュラント本人のみ、というわけだ。

ヒート、セルティックス、クリッパーズは、ハンプトンズ滞在を楽しめるだろうが、休暇時期の交通渋滞にはまるのと同様に、デュラントとの交渉は時間の無駄でしかない。

先週オーランド・マジックとトレードを成立させたサンダーは、サージ・イバカと交換でマジックからビクター・オラディポ、アーサン・イリヤソバ、2016 ドラフト全体11位指名のドマンタス・サボニスの交渉権を獲得した。

イバカは、サンダーにとってジェームズ・ハーデンの代わりにはなれるはずがなかった。2012年のオフ、ヒューストン・ロケッツにハーデンをトレードで放出したことが、サンダーにとって最大の問題となった。サンダーはハーデンよりもイバカを残す方を重視したが、2012年以降ファイナルに進出できていない。

リオデジャネイロ五輪に出場するチームUSAの発表会見に出席したデュラントは、オラディポの獲得について、「良い補強」と、語った。だが、ウォリアーズのチーム力を上回れるだけの補強ではない。オラディポは、まだNBAで勝てるチームの一員になったことがなく、ポストシーズンも経験していない選手。戦力アップにはなるだろうが、サンダーに待望の”ビッグ3”が誕生したわけではない。サンダーは、今もデュラントとラッセル・ウェストブルックの二大エースが牽引するチームのままだ。

もしデュラントがサンダーに残留したとしても、激戦区ウェスタン・カンファレンスを勝ち上がり、ファイナルに辿りつける可能性は低い。もしウォリアーズの一員となれば、自分のプレイにだけ集中し、心の余裕も生まれるだろう。今後数年は主力が残り、2017年のオフにFAとなるカリーも、すでに長期残留希望を明言している。

それでもデュラントがサンダーを選択した場合、今度は来年のオフにFA権を取得するウェストブルックがチームに残るかどうか、という不安を抱えなくてはならない。もしウェストブルックが移籍を決断したら、デュラントがサンダーに残る意味などあるだろうか? そして2017年に移籍の道を考えたとしても、その時点でウォリアーズがデュラントを獲得できる状況にいるかなど、誰にもわからない。

デュラントは、以前から直近17年で5度の優勝を誇るサンアントニオ・スパーズを称える発言をしている。2014年のプレイオフでは、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルでサンダーを下したスパーズが優勝した。

同年のスパーズとのシリーズ中、デュラントは、スパーズのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチの手腕について、こう語った。

「何人もの選手が動こうと、彼は安定したチームを作っている」。

「ひょっとすると、このリーグでは、優秀なHCを持つことが何よりも大事なのかもしれないね。どれだけ素晴らしい選手を獲得できたとしても、その選手たちをオーケストラのように指揮できる指導者が必要になる。それこそ、スパーズにあるもの。偉大な選手たちに加えて、素晴らしいコーチがいて、選手1人1人の強みを引き出して、1つのチームにまとめ上げている」。

だが、これはデュラント個人の意見。たとえポポビッチHCほど優秀な指導者がいたとしても、デュラント、ラマーカス・オルドリッジ、カワイ・レナードのコンビネーションが機能するかどうかは不明だ。デュラントがスパーズに加わったら、オフェンス面で交通渋滞が起こってしまうことだってあり得る。それに、オルドリッジとレナードがどう反応するかもわからない。これがウォリアーズなら、デュラントは何の問題もなくプレイできるのではないだろうか。

今のスパーズが抱える問題点は、トニー・パーカーの後継者となるポイントガード不足だ。年々衰えが見られるパーカーに代わって、オフェンスの舵を取れるPGはいない。FAのマイク・コンリーを獲得し、そこにデュラントが加わったとしても、オルドリッジ、レナードを含めた連携が上手く機能するかは、実際問題やってみなければわからない。

現時点で、デュラントが求める即優勝を狙える環境が整備されているチームは、ウォリアーズしかない。

もしデュラントがウォリアーズへの移籍を決断すれば、“アルティメット・ウォリアーズ”が完成する。

原文:Warriors are the only team that can give Kevin Durant what he apparently wants by Mitch Lawrence/Sporting News


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