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ジミー・バトラー「チームが勝つために必要なことならなんでもする」

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12月20日に国際メディア向けの電話会見が行なわれ、サンアントニオ・スパーズとのクリスマスゲームを控えるシカゴ・ブルズのジミー・バトラーがメディアからの質問に答えた(一部抜粋)。


――スパーズとクリスマスゲームで対戦するわけですが、あなたとカワイ・レナードは同じ年にドラフトされ、今では2人ともリーグのトッププレイヤー、トップリーダーになったと言えます。彼と対戦することに何か特別な思いはありますか? そして彼はなぜあれほど優れたディフェンダーなのでしょうか?

彼はディフェンダーとしてだけではなく、選手としても優れているよ。攻守ともに素晴らしいプレイをしている。夏のオフだけでなく毎日努力していることが、自分と彼のキャリアがうまくいっている秘訣だと思うよ。自分を誰かと比較することはないから、誰が相手だろうといいプレイをしないといけないと思っている。毎晩、自分のチームが勝つために必要なことならなんでもするという気持ちでやっているんだ。自分のマッチアップが誰であろうと、我々が勝つことが大事なんだ。どの選手が誰より上手かったではない。チームが試合に勝つことが全てだ。

――これからサンアントニオに乗り込みスパーズと試合をします。スパーズは最近ティム・ダンカンの永久欠番セレモニーを行なったばかりです。グレッグ・ポポビッチ率いるスパーズのような強いチームと対戦するというのはどのような心境ですか?

ティムの背番号が永久欠番になったのは、彼にとってとても光栄なことだと思う。彼は驚異的な選手だった。彼のことはコート上でもコート外でも良い話しか聞いたことない。クリスマスにサンアントニオに行き、アウェイで勝利するのは大変なことだけど、我々は十分それを成し遂げることができるチームだと思っている。こういう試合はチームとして楽しみにしているんだ。弱いほうのチームとして見られているかもしれないが、関係ないよ。我々はこの大好きなスポーツをプレイしたいだけなんだ。競い合って、またクリスマスゲームで勝ちたいね。

――今年はオリンピックがあり、ブラジルでプレイしましたね。オリンピックに参加したあと、良いシーズンを送る選手の例がこれまでにもたくさんあるわけですが、あなたにはどのような影響がありましたか? 金メダルを獲得するチームの一員でいることは、あなたの成長にどのように繋がりましたか? そしてもう一つ、昨シーズンから多くの先発メンバーが抜けました。パウ・ガソル、デリック・ローズ、ジョアキム・ノア……自分がリーダーに、チームの中心になったことをどのように受け止めていますか?

まず、オリンピックはとても良い経験だった。素晴らしい選手と共にいること、彼らがどう試合に取り組んでいるか、試合をプレイしていないときにこんなに努力しているのかというのを見られたこと、そして個人的に仲良くなれたこと。どれもとても自分にとって大きかった。多くを学んだよ。

そして、確かに今のチームは昨年からだいぶ顔ぶれが違うけど、今の仲間が好きだし自分の役割も全く問題なく受け止めている。他の選手もそうだけど、自分にとって今年は毎日が勉強なんだ。みんなが一番話題にあげる2人、(ラジョン)ロンドとD(ドウェイン)ウェイドが来て、彼らは毎日僕に何かを教えてくれる。そして自分の後ろにも若い選手たちがいて、彼らのことをしっかり揉んでやって、ウェイドやロンドのレベルになるためにどうすれば良いか、僕が教えてやる必要があるんだ。それが自分の仕事だと思っている。

――ブルズはクリーブランド・キャバリアーズを倒し、スパーズのアウェイ無敗記録を破り、ユタ・ジャズもアウェイで倒しています。しかしミネソタ・ティンバーウルブズやダラス・マーベリックスなど、勝つべき相手に負けたりもしていることについてどうお考えですか? そしてブルズが現在3ポイントショット成功数でリーグ最下位なことについてどう思いますか?

わからないよ。なんである試合は勝って、ある試合は負けるのかは説明できない。たまに序盤から気の抜けたプレイになってしまっていることがある。好きに言ってくれて構わないけど、そういうときもあるんだ。シュートが入らないときもあるし、自分の思い通りに事が運ばないときもある。うつむいて悔しがるしかないよ。スリーに関しては、僕はスタッツを気にしない。そういうことにあまり執着しないタイプなんだ。

しっかり守って、ボールをバスケットに入れれば、2点であろうが3点であろうが勝てる。試合を通して1本しかスリーを決めてなくても勝てることはもう証明している。だから我々にとって今大事なのはディフェンス面なんだ。先ほど挙げてくれたようなトップチーム相手に我々がやりたいように守ることができれば、誰だって倒せると思うよ。

――チームのリーダーシップについて話していましたが、ウェイドとリーダー役を分け合うのはどんな感じか教えていただけますか?

さっきも言ったように、チームをリードするというのはいろいろな形があるんだ。彼の場合、とにかく勝ち方を知っている。優勝するのに何が必要かを知っている。彼はそれをやってきているし、今でも常にジムに行って身体をケアしている。自分や若い選手たちは彼のそういう姿を注視しているんだ。それが、彼のように何年もリーグでプレイし、彼のような選手になるために必要なことだからね。コートにいないときだって彼は毎日常に努力し続けているんだ。

――リーグ入りしたときから今にかけてだいぶリーダーとして成長し、今ではチームを批判することもたまに見られます。リーダー役として、チームの力を引き出すために彼らを批判すべきかどうかの判断や、タイミングを見計らったりするのですか?

このチームは全員もういい大人だと思っている。だから誰かを批判したら、彼がそれをいい方向に受け止めてくれることを期待している。毎回メディアに伝えるのは良くないけど、たまにはそのときの流れで話すこともある。もちろん、誰もが良いプレイをしたいと思っているはずだ。ただ、悪意を持って誰かが何かをしているなんて言うことは絶対にないけど、もっと良いプレイをしないとって思うことはある。

自分の仕事をしっかりしなければならない。自分の役割を果たさなければならない。自分も例外ではない。そしてそれができていなければ、誰かがそれを伝えなければならない。そうしなければ、何が悪いのかも気づかないからね。それが僕の仕事だと思っている。傷ついてしまってもしょうがないよ。もう大人なんだ。誰も「かわいそうだね」とは思ってくれないのだから、みんなしっかりと自分たちの仕事をしなければならない。

――先ほども話に上がりましたが、今シーズンのブルズは多くの変化がありました。しかしチームにとって、MJ(マイケル・ジョーダン)時代以来優勝できていないということが大きくのしかかっています。チームの顔となった今、シカゴが待ち焦がれている「MJ時代以来の輝きをもたらさなければならない」というプレッシャーは感じますか?

全くないよ。プレッシャーはないし、自分をマイケル・ジョーダンと比較することなんて絶対にない。今日自分はどこまで行けるかって1日ずつ挑んでいき、また明日に向かっていく。今はこのチームにとって必要なことにしか集中していないけど、もちろんこの街のために優勝したいと思っている。そして我々はそれを達成できるとも思っている。ただ、あまり先を見すぎると、今やるべきことがおろそかになってしまう。

――リーダーシップや、マイケル・ジョーダンと同じチームでプレイすることについて話していただきましたが、チームのスタッフ、ファン、もしくは他の選手から、90年代の思い出に浸っているのではなく今優勝しなければ、というプレッシャーを与えられたことはありますか?

それをプレッシャーだとは思わないし、誰かがそれを言う必要もないと思うよ。僕はは僕で自分の物語を歩みたい。スコッティ・ピッペン、マイケル・ジョーダン、デニス・ロッドマンたちと同じチームにいた選手としてではなく、勝利をもたらした選手として知られたい。今は自分の物語を書いているところなんだ。当たり前だけど、プレイするのは勝つためだ。だから当然そうしたいと思っている。でもMJの影の中で生きようとは思わないよ。最高の自分になるために頑張っているんだ。

――Dウェイドとの関係性について教えてください。

彼は素晴らしい。コート上、コート外での彼の振る舞いを見ていれば、なぜ彼が多くのオールスターゲームでプレイし、オールNBAチームに選出され、何度も優勝しているのかがわかる。彼の周りにいるだけでそれを感じることができるんだ。コート外でも、この地域のために、街のために彼がやっていることや、家族といるときの顔を見ていると、本当に人間として素晴らしい人なのだなというのがわかる。

みんなはバスケットボール選手としての彼を知っているかもしれないけど、コート外では周りにたくさんの愛情を振りまく1人の人間なんだ。それがドウェイン・ウェイドのドウェイン・ウェイドたる所以だ。けれども、コートに立った途端にスイッチを入れ、競争心溢れる選手に切り替わる。彼がなぜあれほどの選手なのか、あれほどのキャリアを送ってきたのか、そしてこれからもこのコミュニティにとって素晴らしい人であり続けるということを毎日見せてくれているよ。

翻訳・構成:大西玲央 Twitter: @BullsFiJ


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ