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第4戦でわかった5つのこと

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ゴールデンステイト・ウォリアーズとクリーブランド・キャバリアーズによる2015 NBAファイナルも、第4戦までを終えて2勝2敗のイーブンとなった。ウォリアーズは、第4戦でアンドレ・イグダーラを今季初めて先発に起用する大胆な策を用いて、103-82でキャブズを下した。この第4戦からわかった5つのことを、NBA.comのスティーブ・アシュバーナー記者が紹介している。


1. スティーブ・カーHCは勇敢で巧妙

試合前にリポーターからメンバーを変更するかと聞かれたカーHCは、「いや、変えない。第3戦と同じメンバーでいく」と明言した。しかし、蓋を開けてみればアンドレ・イグダーラを今季初めて先発に起用し、負けられない一戦でスモールラインアップを採用した。リスキーな決断ではあったが、カーHCの“英断”により、ウォリアーズはシリーズを2勝2敗のイーブンに戻すことができた。

カーHCは、ただ単にラインアップを変えただけではなく、試合開始からキャブズに7-0のランを許した後もスモールラインアップを維持し、試合のペースを上げることで対抗。それから前半が終わるまでの22分間で54-35と大きく上回り、主導権を掴んだ。

2. キャブズは疲労困憊

西海岸からの移動を含め、5日間で3試合という日程に加え、キャブズはわずか8選手でローテーションを回している。レブロン・ジェイムズは第4戦で41分プレーし、20得点、12リバウンド、8アシストというマックス契約クラスの数字を残しはしたが、常に2人以上にマークされ、精神的にも肉体的にも限界の状態だ。トリスタン・トンプソンとマシュー・デラベドバも、負傷離脱したケビン・ラブとカイリー・アービングの代役として先発出場を続けているが、戦力という面では、10人によるローテーションを組み、セカンドユニットが先発並の出場時間を記録していないウォリアーズが圧倒的に有利なことは間違いない。

3. ベースライン上の安全確保

第2クォーター残り4分43秒にアンドリュー・ボーガットのファウルを受けたジェイムズは、コートに着地した際、勢いあまってカメラマンに激突。頭部をカメラに強く打ち、裂傷を負った。ジェイムズは治療を受けてプレーを続けたが、何故、未だにコートサイドに多くのカメラクルーやフォトグラファーがいることで起こり得る危険リスクを回避しないのかを疑問に思う意見も少なくないだろう。NBAは、ベースライン付近での危険を避けるため、以前よりはカメラの位置をコートから遠ざけ、回避ゾーンを設けはしたが、それでも危険だ。選手協会副会長の1人であるジェイムズが、次の労使交渉の席で、危険回避についての提案を出したとしても、驚くべきことではない。

4. 母(または祖母)は成すべきことを知っている

第4戦で17得点の活躍を見せたグリーンだが、第3戦までは平均9.2得点、フィールドゴール成功率26.7%と苦しんだ。シュート練習のおかげで改善したわけだが、審判の判定に対しての意識を変えたのも功を奏したらしい。グリーンは、第4戦後の会見で、母親と祖母の影響があったことを明かしている。

「母と祖母に、『判定について文句を言い過ぎ』、『プレーに集中しろ』と言われてね。文句ばかり言っていると、バスケットボールを知らない頭の悪い奴に思われるとも言われたよ。だから、起こってしまったことは仕方がないと思うようにした。無駄なエネルギーは使わないようにしようともね。試合と、自分がやるべきことに集中しようと思ったんだ」。

5. 戻った均衡状態

ここまで来ると、互いにホームで最低1試合ずつ戦う3試合によるシリーズで雌雄を決するかのようにも思えてくる。もしウォリアーズが優勝すれば、おそらくイグダーラがビル・ラッセルNBAファイナルMVPアワードを受賞するだろう。反対にキャブズが優勝すれば、孤軍奮闘を続けるジェイムズの手にトロフィーが渡るはずだ。ジェイムズは、ファイナルについて、こう語っている。

「世界最大の舞台で、世界中の人たちに見られている。この舞台で戦えること、そしてプレーできることを幸せに思うべきだ。周りの意見や、プレッシャーや、シリーズに関連することなんて関係ない。そんなことに意味はないんだ。コートに出て、プレーするだけ。人生を通してプレーしてきたバスケットボールをやるだけ。それで出る結果を受け入れるだけだから」。

原文: Five things we learned from the Warriors' Game 4 win by Steve Aschburner/NBA.com (抄訳)

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