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現役引退のティム・ダンカン 「歴代最高のパワーフォワード」との賛辞も

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7月11日、サンアントニオ・スパーズのティム・ダンカンが現役引退を発表した。偉大なキャリアを送ったダンカンについて、AP通信が伝えている。

ロサンゼルス・クリッパーズのジャマール・クロフォードは同日、「歴代最高のパワーフォワードだった」とダンカンに賛辞を寄せた。

1997年のドラフト全体1位指名でスパーズに入団したダンカンは、グレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチやトニー・パーカー、マヌ・ジノビリとともに、スパーズをリーグ最強チームの一つへと導いた。

MVP受賞2回、NBAファイナルMVP受賞3回、オールスター選出15回、オールNBAファーストチーム選出10回。ダンクよりもバンクショットを好む姿勢から“The Big Fundamental”(偉大なる基礎)の愛称で親しまれたダンカンは、カリーム・アブドゥル・ジャバー、ロバート・パリッシュとともに、1000試合以上に出場した歴代3選手の一人だ。歴代5位のブロック数、6位のリバウンド数、14位の得点数を記録している。

ジノビリはツイッターで「そのときが来るのは分かっていたけど、知らせにまだ動揺している」と、長年ともに戦ってきたダンカンの引退に思いを馳せた。

「14シーズン、彼と一緒にプレイできたなんて、非常に光栄だ! ありがとう、TD」。

NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、ダンカンを「NBA史上最も支配力を持つ選手の一人」と称し、「地味ながら自己中心的でないところが最高のチームメイトとさせた」と賛辞を寄せている。

「20年にわたり、ティムは情熱と品格をもって、スパーズとサンアントニオの街、そしてリーグを代表してきた。我々NBAファミリーの全員が、彼の計り知れない影響に感謝している」。

ダンカンは大型の広告契約を結ぶことなく、自分を見せるための会見を行なったこともない。だからこそ、レブロン・ジェームズやコービー・ブライアントのような並外れたパーソナリティーの選手たちのように目を引くことはなかった。

だが、ダンカンはリーグ最高のビッグマンの一人として、おそらくは歴代最高のパワーフォワードとして、そしてスパーズに消すことのできない軌跡を残した選手として、NBAの舞台を去る。

ブライアントはシーズン序盤、「僕ら選手はただ楽しみ、互いを評価するだけだ」と明かしていた。

「誰がより優れているとか、誰がより上だとか、そういうことじゃない。それまでのキャリアを受け入れるだけだ。そして僕は彼のキャリアを称賛している。お互いにね」。

2か月前、スパーズはウェスタン・カンファレンス準決勝でオクラホマシティ・サンダーに敗れた。第6戦での敗退が決まった瞬間、人々が気にしたのは、それがダンカンのラストゲームになるかどうかだった。そして、実際にそうなったのだ。ダンカンはこれまでのキャリア同様、チームからの公式声明という静かな形で引退した。今季のブライアントのような、お別れツアーもなく――。

[動画]ティム・ダンカン & コービー・ブライアント

敗退が決まった5月12日(同13日)のサンダーとの第6戦で、19得点をあげたダンカンは、第4クォーターが始まる際にポポビッチHCと話し合い、同クォーターの12分間を休むことなくプレイした。ラストゲームとなるかもしれない試合の一瞬一瞬を味わうように。そして試合が終わると、ダンカンは観客に手を振り、ロッカールームに向かう際に屋根を指さした。リーグで最もストイックなスーパースターの一人にしては珍しい行動だ。

1997年にダンカンが入団した1年目、スパーズは前年より36勝多くを記録し、翌年に優勝。その後、2003年、05年、07年、14年とタイトルを獲得した。

少なくとも最後の5年、引退問題と向き合ってきたダンカンだが、彼が変わることはなかった。年齢とともに頭には白いものが混じっていったが、彼の顔、肉体、そのプレイは、平均21.1得点、11.9リバウンドを記録した1年目の21歳当時とあまり変わることはなかったのだ。

ダンカンが140名のチームメイトと過ごしてきたスパーズは今季、球団記録となる67勝をあげた。ダンカンの個人的な数字は下がっていったが、コーチやチームメイトたちは、そのリーダーシップや知性、守備の存在感は変わらずトップクラスだったと明かしている。


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ