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圧倒的なアメリカ五輪代表だが、ライバルたちを軽視せず

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アメリカ代表は20年にわたり、世界のバスケットボール界のトップを保ってきた。主要国際大会は4大会連続優勝中で、平均31.5点差をつけて45連勝中だ。そのうち、一桁点差での勝利はわずか3試合だった。

近年、アメリカはベストプレイヤーを全員起用しているわけではない。それでも、相手を支配している。リオデジャネイロ・オリンピックのロスター12名のうち、10名が五輪初挑戦だが、それもおそらくはたいしたことではないだろう。

マネージングディレクターのジェリー・コランジェロは8月4日(日本時間5日)、「米国内で我々が幸運にも次々にタレントを輩出できたという証だ」と胸を張った。

「男女ともにあらゆる年代のカテゴリーで大きく成功してきた。才能に恵まれた我々は非常に幸運だ」。

米国代表はリオ五輪の優勝候補だ。NBAのMVP投票で上位10名に入った選手のうち、7名が代表メンバーになっていないにもかかわらず、五輪出場18大会目にして15回目の金メダル獲得が有力視されている。8月21日(同22日)、アメリカが再び金メダルを獲得し、53連勝を成し遂げていなかったら、それはショックな出来事であろう。

だが、予選リーグが終わり、ベスト8が決まると、そこからは7試合のシリーズではない。五輪の決勝トーナメントは一戦勝負で、試合時間は40分だ。“金星”の可能性も高まる。

スペインはアメリカが金メダルを手にした過去2回の決勝で脅威となり、ベテランであるチームの核も変わらない。フランスは多彩なNBAのタレントを擁しており、世界で最もリングを守れる選手(ルディ・ゴベール)がいる。リトアニアとセルビアはアメリカのリズムを狂わせられるチームだ。

アメリカ代表はリオ入りの前にエキシビションマッチを5試合こなしたが、そのうち4試合の相手は五輪に出場するなかで下位の3チームだった。テストができたわけではなく、予選リーグでアイデンティティを築かなければならない。

カイリー・アービングは「どの試合も向上するためのチャンスだ」と強調する。

「僕らはラインナップを、自分たちがチームとして望むリズムを見出さなければならない。そして前に進めながら、互いに期待することを理解しなければいけない。そのためには、ほかの素晴らしい国々とハイレベルな試合をこなさなければならない」。

決勝トーナメントまでスペイン、リトアニア、開催国ブラジルとは対戦しないアメリカだが、一発勝負は何が起こるか分からないものだ。

この10年、コランジェロや米国代表のマイク・シャシェフスキー・ヘッドコーチは、対戦経験がないチームとの一発勝負に向けて準備を改善してきた。日本で行なわれた2006年の世界選手権準決勝では、シャシェフスキーHCがギリシャの選手たちを背番号で認識していたが、このセミファイナルに敗れて以降、アメリカはスカウト面を改善してきたのだ。

コランジェロは、「我々の選手たちがただユニフォームを着て戦えば相手を一蹴できるというわけではない」とし、すべての試合が重要だと強調した。

「我々は適応していかなければいけない。準備をしなければいけない。とても、とても真剣に、すべての対戦相手をとらえている」。

10選手が五輪初出場というのも、良い方向に働くかもしれない。彼らは最も高いところでメダルを獲りたいと望み、勝利に飢えているからだ。

デマー・デローザンは「僕らはすべての試合にラストゲームのつもりで臨む」と意気込んだ。

「そのメンタリティを保ち、相手が来るのを待とうとしなければ……試合が始まれば、リードできるかどうかは僕ら次第だ」。

また、クレイ・トンプソンは「プレッシャーとの付き合い方は知っている」と述べる。

「僕らはとても強いし、こういう状況でインテンシティ(激しさ)のレベルをさらに上げるんだよ」。

連勝はいつか止まる。五輪での米国の勝率が95%を上回っているとはいえ、一つの敗北でバスケットボール界のトップという立場は危うくなる。支配と失望の間はほんのわずかだ。

シャシェフスキーHCは「厳しい大会となるだろう」と気を引き締めた。

「世界選手権でも五輪でも、常にそうだった」。

「『こんな大勝をしているじゃないか』と言うかもしれない。だが、とても、とても拮抗しているんだ。リトアニアはロンドンで我々を倒しかけた。スペインとの金メダルを争った2試合は非常に難しかった。イスタンブールでもトルコはとても、とても難しい相手だった。ブラジルは予選リーグで我々を倒しかけた。我々は厳しい試合を戦ってきたんだ。だから、簡単だと言われても、我々は信じない」。

原文: Dominant U.S. team not about to underestimate foes by JOHN SCHUHMANN/NBA.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ