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“スーパーチーム”の誕生を懸念するクリッパーズのドック・リバースHC「競技的な観点から考えれば厄介」

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昨年のオフにケビン・デュラントがゴールデンステイト・ウォリアーズに加入した時点で、誰もがウォリアーズがNBAファイナルに進出するのは確実と考えた。そして、ウォリアーズは3年連続のファイナルに勝ち進み、クリーブランド・キャバリアーズとのシリーズで圧倒的に有利と予想されている。

優勝を目的にスター選手が1チームに集う“スーパーチーム”の結成が最近のトレンドになっている中、ロサンゼルス・クリッパーズのドック・リバース・ヘッドコーチは、5月30日(日本時間31日)にテレビ番組『Mike & Mike』に出演した際、この傾向についての意見を述べている。

「昨年のデュラントのケースのように、スター選手が他チームに移籍するのは厳しいと言わざるを得ない。競争力のあるチームからすれば、非常に厄介なことだ。彼は昨年のプレイオフでウォリアーズに敗れ、そのウォリアーズに加入した。無論、彼の決断に何の問題もない。だが、競技的な観点から言わせてもらえれば、あり得ないと考えるのが自然だろう」。

「彼の決断には何の問題もない。あくまでも競技的な側面からの意見でしかない。私が現役の頃は、デトロイト(ピストンズ)に移籍するのは簡単なことではなかった。自分の時代はそうだったとしても、デュラントには他チームに移籍する権利があり、他のフリーエージェント選手も同じことをしている。どうすることもできない」。

リバースHCが繰り返し主張するように、デュラントはFA権を行使し、自ら希望するチームに移籍したにすぎない。だがリバースHCは、スター選手が集い、リーグ内で支配的な力を持つチームが誕生する傾向に難色を示している。

リバースHCは、ポール・ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンという“ビッグ3”を結成したボストン・セルティックスを率い、2008年に優勝を果たした。とはいえ、セルティックスのケースは、ガーネットもアレンもトレードで獲得したため、FA選手によるスーパーチームとは異なる。より近い例としては、2010年にFAになったレブロン・ジェームズとクリス・ボッシュが揃ってマイアミ・ヒートに移籍し、ドウェイン・ウェイドとの“スリーキングス”を結成したことが挙げられる。

スター選手ではないものの、有力FA選手もまた、優勝を目的に強豪チームに移籍する例が増加中だ。たとえば、デイビッド・ウェストは昨季サンアントニオ・スパーズに所属したが、昨年のオフにウォリアーズに移籍。デュラントほどのインパクトは残していないものの、強豪に加わり、ウォリアーズのチーム力を上げた一人であることは間違いない。同じことはクリーブランド・キャバリアーズにも言える。他チームなら先発ポイントガード級の実力者デロン・ウィリアムズが、優勝という目標を叶えるため、今季途中からキャブズに加わった。

スター選手が1チームに集まる傾向を抑止するため、NBAは、フランチャイズプレイヤーが現在の所属チームと契約を延長する場合、金銭面でライバルチームを遥かに上回る“スーパーマックス契約”を結べるよう労使協定(Collective Bargaining Agreement)を改定した。だがそれでも、最終的には選手の決断に委ねられてしまう。

噂されている通り、もし今オフ無制限FAになることが濃厚のクリス・ポールがスパーズに移籍すれば、昨年のデュラントのケースに近い状態が起こる。ウェスタン・カンファレンス内でウォリアーズに対抗できる数少ないチームにポールが加われば、ウェストの戦力図は大きく変わるだろう。スパーズのチーム力が強化されるのはもちろん、ポールを失うクリッパーズの弱体化は避けられない。

もしリバースHCがデュラントの決断を快く思っていないのであれば、仮にポールがスパーズ移籍を決めた場合、心中穏やかではいられないはずだ。

原文:Doc Rivers: 'Tough' to see Kevin Durant join Warriors 'from a competitive standpoint' by Jordan Heck/Sporting News

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